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〔なんと、ここで、値千金の、この方からによる助け舟が―――!!〕
ジ:ところで――― 学院の講師の件じゃが・・・
キリエ殿、そなた・・・・お一人、心当たり有りき――― と、申されておりましたな?
キ:ええ――― 言いましたわよ?
ジ:それは――― 一体どなたの事で、ございましようか―――?
キ:(フフフ――――・・・)いいのですよ―――・・・そんなに、おトボケになさらなくとも――――
ジ:・・・・・・。
キ:恐らく――― あの人の事は、他の誰よりも、あなたの方が、ご理解していらっしゃる事・・・でしょうしねぇ。
ジ:もしや――― とは、思いますが・・・・
その者・・・とは、あやつの事でありましょうか―――?
キ:(クス・・・)
ア:(ジョッカりぃ〜〜〜ん! ないす助け舟!!)
で?で?? 誰なの?その気になる人!
ヱ:(助かったぁ〜〜〜)
あ!もしかして・・・前長老様の事では??
ア:あっ!案外・・・そうかもねェ〜? あのヒゲジジィなら、ジョカりんもよっく知ってることだしぃ――
ヱ:うんっ―――♡ そうですよね、きっと。
エ:・・・・・残念ながら、彼の事ではありませんよ。
へ:(ほ・・・・っ)げ、猊下・・・・。(よかったぁ〜〜世界は・・・・救われた・・・・)
〔さすがはジョカリーヌ様、エリアちゃんの怒りの炎を鎮め、しかも逸れた話の本筋も、元に戻してくれたようです。
すると――― キリエちゃんは、その人物の事を、ジョカリーヌ様はよく知っている・・・と、いうのです。
その事に、ひょっとしてそれは、前長老の ジョセフ=ベーリング ではないか―――と、アダナとヱルムの両名は思ったようです。
でも、その事を否定したのは――― 先程まで、憤怒の表情をしていた、エリアちゃんだったのです。
(どうやら彼女・・・この時は、既に怒りの色は醒めていたようで・・・これには、へカテさんも安堵の胸をなでおろしたようです。)
いや――――し、しかし??〕
キ:あぁら――― さっきまで、地獄の鬼でさえ逃げ出しそうな表情をしてらしたのに―――
もう醒めあがっちゃったわけなのぉ〜〜? あいも変わらず、単純なんだから・・・・(クスクス)
エ:(かちんッ―――☆)・・・・・・・。#
へ:(あぁ――――っ! 折角立ち直っていたのに・・・なに要らない事を言ってるんですかっ―――!! 団長!!!)
ヱ:でっ・・・でもぉ、前長老様でないとしたら、一体誰なんでしょうね???(アセアセ)(←話題逸らせるのに必死・・・^^;;)
エ:・・・・・・・・それはですね?
キ:(クス・・・)それは、恐らく、ヱルム様も、そして・・・・アルディナさん、あなたも、その人の事を既に存じ上げているはず・・・ですよ。
エ:あ゛・・・・。(―ブ―ll;;)(←セリフとられて・・・^^;;A)
ア:は―――・・・何?私も???
キ:ええ、そうですよ。
〔ここで、キリエも少し黙っていればよかろうものを・・・・またまた要らない一言で、エリアをカチンとこさせたようです・・・
が、今度はヱルムが上手くフォローを・・・前長老以外には一体誰が―――・・・
その問いに、エリアちゃんが答えようとしたのですが、すんでのところで、キリエちゃんにとられてしまったようです・・・。
ですが―――― どうやらその人物・・・ヱルム・・・ましてや、アダナでさえも知っているようなのですが??〕
ヱ:(え―――・・・い、一体、誰なのかしら・・・?)
ア:(誰・・・・なんだ?)
キ:(フフフフ・・・・)まだ・・・・思い出せません――――?
まぁ・・・その人のお蔭で、ヱルム様も、そしてあなたも・・・イヤぁな思いをさせられたのは、曲げられようもない事実―――ですからねぇ。
ア:え―――? 一体誰の事・・・(はっ!!) ま・・・まさか!!
キ:(ニィ・・・)
ア:あ・・・あいつの――― カミイラの事を言ってやがるのか―――!?
キ:他に、誰の事――――だと?
ジ:・・・・・・・。
ア:じ・・・・冗談じゃあねえ! 大体あいつのせいで・・・こいつが・・・ヱルムが、どんなに辛い目に遭わされてきたか―――
そいつを知ってんのか―――!!?
ヱ:アダナ・・・・さん。(キュ・・・っ)
キ:でも、ジョカリーヌさんを除いては、あの方をおいて、適任はいない―――と、思ったのですけれども・・・・
それとも――― アダナさん、あなたがおやりになる・・・・と、いうのでしたら、話は別―――に、なってきますけれど――――?
ア:うぅ・・・・・ッ・・・・ぐ。
〔その・・・・人物とは、今の彼女達にとってみれば、忘れようとしても、忘れられない存在・・・・。
かつて――― その者の策略で、親友二人は、その命を賭して、闘わなければならなくなったり―――
しかも、ヱルムにしてみれば・・・その後に、精神的にも追い詰められる一因にもなった事を、その者から受けた事―――――
今の・・・ヴァンパイアである、ヱルムを、それに仕立てた張本人・・・・
真祖:カミイラ=エイデル=ゲーリング
その人の事だったのです・・・・。
すると、やはり・・・・アダナはその事に猛反発をするのですが、他に候補がいない以上、
『あなたがする?』
との、キリエの問いに、つい返答に詰まったようです・・・。
そして――――〕
ヱ:アダナさん・・・私の事を心配してくれるのは、ありがたいです・・・。
でも、でも――― 事は、思った以上に深刻なんです! 他に・・・候補者がいない以上・・・あの人に頼むより他は―――!!
ア:でっ――― でも・・・ヱルム、あいつは、お前にとって――――
ヱ:私なら―――平気です。
それに、これからが大事な時なのに、私情にばかり捉われていたのでは、他の皆に示しがつかないでしょ―――?
ア:ヱルム・・・お前――――
ジ:(ヱルミナール殿・・・お強う・・・なられましたな・・・)
へ:(ヱルムさん・・・辛い―――辛い判断だったろうに・・・それにしても団長・・・・)
〔そう、カミイラにいかなる理由が存在したにしろ、ヱルムにしてみれば、苦い思い出のある主・・・
そんな者に、頭を下げる―――とは、屈辱の何者でもなかったのです。
しかし―――・・・では、キリエは、そのことを知っておきながら、あえて???
すると――― この後、彼女達は、カミイラを説得すべく、彼女の城へと赴く事となるのですが・・・・
その前に、このキリエの前に、エリアが歩み寄り・・・・・〕
エ:(はァ・・・・)全く・・・あなたも、好きモノよね・・・・。
キ:あら、何の事?
エ:何も、好き好んで、自ら“汚れ役”をしなくても・・・・ってことよ。
私でしたら、もう少し―――
キ:あぁ! あの事?! まぁ・・・・いいじゃない、第一あなたが説明をしたところで、生ヌルいだけだし・・・
それに、こういう“汚れ役”、いつも私が担(にな)ってきたじゃない。
エ:(でも・・・ねぇ〜〜・・・アレの後のコレですもの・・・・気が引けるのよ、私としては・・・・)
〔そう――― 実は、エリアも、カミイラ推薦を考えてはいたようなのです・・・・が、
キリエが言ったように、エリアちゃんが説明をしたのでは、今ひとつ物足りなくなってしまう―――と、いうのです。
それゆえの『汚れ役』――― そして、それをいつも“担ってきた”・・・・とは・・・。〕
これから、
彼のペテロ・グラードの城にて、
何が起こるというのでしょうか―――――
――――了――――