<X>

 

 

〔なんとか――― 紆余曲折ありながらも、事の次第を受けたカミイラ―――

早速ながらも、翌日には学院の全校生徒たちの前に立ち・・・・〕

 

 

カ:この私が、今日からお前達の面倒を見ることになった、カミイラという者だ・・・。

  私のやり方は、今までのとはちょっと厳しいからな・・・そこのところ、覚悟しておくように・・・・以上―――!

 

不:あぁ〜〜ん? あんだぁ―――?

不:おめ・・・先公か・・・?!

 

カ:あぁ――― この度赴任してきた・・・・学長だよ。

 

不:ほぉ〜〜なら・・・ここのバカ教師どもの・・・トップってわけだ―――

 

カ:・・・・・(ふっ)

  おぃ・・・人を敬う心がまだあるなら・・・その辺にしておけ―――(ギロ!)

 

不:(な―――)なに??

不:(ぐっ―――)な、なんつぅ・・・・眼力・・・

 

カ:(にぃ)今までの・・・ここのこやつ等は、どうかは知らんが・・・・。

  この私を、こやつ等と同じようにぬるく考えておったら・・・・命がいくつあってもたらんぞ―――

 

 

〔開口一番、脅しとも取れる宣言をし、並み居る札付きの不良(ワル)共を向こうに回したカミイラ―――

しかし、このことが、口先ばかりではないことが、判明したのも事実だったのです。〕

 

―――ガラ―――

 

カ:おぃ―――席に着け、欠をとるぞ。

 

不:ああん―――? だが・・・あんた、学長なんだろがよ。

不:だったら、偉っそうにふんぞり返って座ってれば、いいんじゃねぇ〜〜のぉ〜〜?

 

カ:・・・・・。

=ダーク・ストレイト=

 

不:ふぎゃおっ―――??!

不:あばばば・・・・

 

不:あっ―――てめ、この・・・何しやがるかぁ!!

 

 

カ:(フン・・・)なに・・・って、決まってるだろう・・・『罰』だよ。

  それに、言ったはずだねぇ・・・私を、今までの教師達(ヤツら共)と一緒にするな―――・・・って。

 

  その二人は、私をあからさまにナメた・・・その報いを受けたんだよ。

 

不:うっ――――・・・

 

 

カ:――――そのことが分かったんなら、早速授業をはじめようとするかね。

 

 

〔自分に対し、不適切な言動を行った不良二人には、『闇の拘束』の術式をかけ・・・・また、

そのことを非難しようとした仲間の不良一人には、ナゼそうなったのかの説明をつけておいたのです。

 

でも・・・・またしばらくすると・・・・〕

 

 

―――ガタッ―――

 

カ:おい・・・今、授業中だぞ・・・ナゼ席を立つ。

不:あぁ?! 誰がこんなつまんねーコト、じっとして聞いてられッかよ!!

 

カ:ほぉ・・・・つまらんか・・・そいつは失礼したな。

  では、どこの部分がつまらないのか・・・・忌憚なく述べてくれないか。

 

不:ぁあ?! なんでそんなん・・・いちいち・・・

 

カ:いいから―――・・・言え!

それとも、何か? こんな簡単な定理・・・今更教えられるまでもない・・・とか?

 

不:あ―――・・・ああ、そうだよ、実に簡単で、退屈しちまうぜ―――

 

 

カ:そうか――― なら、一つお前にご教授、願おうか・・・

  『人』の死は、その固体の著しい破損に伴い、生命活動の停止などによるが・・・・

『霊的生物』の主たる“天使”や“悪魔”の死は、ナニをもってそうだといえる?

 

不:えっ―――そ、そんな難しい事・・・分かるわけないじゃんよ。

 

カ:そうかぁ―――? だが、このことは、今教えている、基本的なことを知っていれば、それを応用して応答(こた)えられるものなのだぞ?

  基礎(それ)を簡単すぎて退屈など――― 人様をナメすぎるにも大概にしておけよ――――

 

―――ゾ・ク―――

 

 

〔またも、授業中のときに席を立ち上がる者・・・しかもその者の屁理屈としては、『教えていることが簡単すぎてつまらない』とは・・・

でも、カミイラも然る者、そんな屁理屈をものともせず、ねじ伏せてしまったのです。

 

そして―――〕

 

 

カ:(ふ〜〜―――・・・)ヤレヤレ・・・今日一日、何とか終わったねぇ〜〜・・・・ッと。

  ――――に、しても・・・ここも随分と変わったもんだ、不良(ワル)ぶるにしても、腰がすわってない――――っちゅうか。

 

 

〔するとその時―――〕

 

 

キ:やはりあなたもそう思う―――?

カ:(うっ!)ま・・・まさか――― キリエ様?!!

 

キ:(ぅふ)どうも・・・それと、もうお一方・・・

ジ:これはどうも・・・じゃが、無事初日終えたようじゃな、カミイラ。

 

カ:ジョカリーヌ・・・。

  あぁ、まあな、だがこれはどうしたことだ―――? あやつら、ジョセフのときより程度が低いのに、態度と口だけはいっぱしだとは・・・

 

ジ:はは――― 坊主には、二人して手を焼かされたからな・・・。

  じゃが――― 今ああして見たものが、ここで起こっておる真実なのじゃ・・・哀しむべきではある・・・がな。

 

キ:(くす―――)でも、前代未聞の大うつけ君を手懐(てなず)けたあなたなら・・・・造作もない事でしょ?

 

カ:・・・・・えぇ―――― ジョセフらのグループは、ナニをするにしても、一本筋の通っていたやつらでしたが・・・・

  今のは、そんなのはかけらもない――― 事実、私がひと睨みしただけで、縮こまらせるって・・・・他愛もありゃしないよ。

 

ジ:ははは――――違いない。

 

 

〔自分以外、誰もいないはずの学長室からは、一人の少女の声―――― と・・・白き人影が・・・・

実はこの正体は、キリエとジョカリーヌ様だったのです。

 

ジョカリーヌ様は、以前学長だったから分かるのですが・・・キリエちゃんはなぜ??

 

その理由は、カミイラ(の魂)を『次元のよどみ』から、もとのこの世界に戻したから――――

つまりは、カミイラにしてみれば恩人であり、主従の関係に近しいものだったから・・・なのであります。

 

 

それよりも、今日のあの出来事・・・カミイラにしてみれば、子犬がキャンキャン騒いでいる程度にしかとっていなかったようで、

その背景にも、過去にはもっと手を焼かされていた存在(=ジョセフ)がいたので、赤子の手を捻るモノにしか感じていなかったようでもあります。〕

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――了―――

 

 

 

 

 

 

 

あとがき