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〔その一方――― こちらでは、ゼクスとキリエが、ヘカテのいる居住区へきたようです。〕

 

 

ゼ:おぉ―――い! いるんだろ? 開けてくれよ―――!!(ドンドンドン!)

 

へ:はァい・・・・ナニよ、こんな夜更けに・・・。

  なぁンだ・・・ゼクスじゃ・・・(う゛え゛っ??!)だっ・・・団長ぉ―――お?!!

 

キ:ナニよ・・・そんなに驚かなくてもいいでしょ?

  それとも・・・なぁ〜〜に? 私が、ここにきちゃまずかったかしらぁ〜〜?

 

へ:あ゛っ――― い、いいえ・・・。

(そぉは言っても、この人関わると、ロクな目に遭ってこなかったからなぁ・・・)

 

  それで・・・なんのご用件でしょう?

 

キ:そんなことより――― 中に入らせていただけない?

へ:あぁ――― ハイ、分かりました、どうぞ・・・

 

 

キ:あら――― 案外、こざっぱりとした部屋ね、何かインテリアはないの?

へ:は―――はァ・・・・生憎と・・・(イヤミ?)

 

キ:そこで―――・・・(ごそごそ) こんなのはどうかしら?

 

 

〔キリエが―――― 纏っている自分の外套から取り出したものは、鉢植えに植えられた観葉植物・・・・

だった―――の、ですが・・・〕

 

 

へ:あッ、これは『グーベルスタン・ヤスデ』ではないですか・・・・これを私に??

 

キ:(フ―――・・・)あなた・・・・今、それを見て何も感じられない?

 

へ:え・・・?(ス・・・)

  (はっ!!)こっ・・・・これは!!

 

キ:どうやら、分かったようね・・・そう、それはドルイドによって復活した植物なのよ。

 

ゼ:いっ?? ちょっと待ったって―――! でも・・・それって確か、ヱルムって人にあげた花だったんじゃ・・・

キ:(クス)えぇ―――確かに・・・ね。

  でも、これもあれと同じ場所で採取してきたサンプル・・・なのよ。

 

へ:(同じ―――場所?)一体、どこなのです?

 

キ:(ニャ)樹海・・・。

 

ゼ:ええっ?! じゅ・・・樹海・・・って・・・

へ:わ、我々も、ここの者達も『聖地』と呼んでいるあそこで―――・・・ですか、でも、一体どうして・・・・

 

キ:(フフッ)それは実に単純明快。

  定期的な見回りを、グラディウスと一緒にしていたら、あそこを荒らそうとしていた不埒な輩と出くわしてね・・・

  キレーにお掃除して差し上げたのよ。

 

ゼ:ハぁ―――

へ:なぁる―――

 

キ:それも、『ヴェンティシュカ』でね♡

 

ゼ:(ンガ・・・)って・・・それ―――って・・・

へ:(ヒク)よ・・・よりによって『狂獣』を゛ですか・・・・しかし、団長、そんなことしたら―――

 

キ:そうなのよ(ほぅ)、今日のあの子・・・絶好調でね? それで勢いあまっちゃって・・・・

  あの子が通ったあと、凍結粉砕されちゃったんだけど――― その時に、これが発動した・・・・ってことなの。

 

へ:ドルイドが―――ですか・・・。

  しかし、この“禁忌の術式”は、あの人と共に、猊下が葬り去ったはずなのでは?

 

キ:でも、ここには、曲げられようもない事実があるわ―――

 

へ:だ・・・団長、あなた・・・今度は一体ナニを―――・・・

キ:企んで――― って言いたいの? まぁ―――そうは言わずに・・・私の言っている通りに動いて頂戴な。

  それとも――――イヤなの?(ザワ・・・)

 

へ:い・・・(ゾク・・・)いえ・・・・そんなつもりは―――・・・

 

キ:そう――― ならば、あのアルディナという人の背後関係を総て洗って頂戴。

  どんな些細な事でも構わないわ――― それと併せて、今回私とグラディウスが入った、樹海の碑文の解読も―――・・・ね。

 

ゼ:(へっ??)でっ・・・でも、それは、多分猊下がジョカリーヌって人に頼んでる―――って・・・

 

キ:・・・・でしょうね。

  でも、こちらも独自のデータを所持していても悪くはないわ。

 

  ――――と、言う事で、頼みましたわよ、ヘルネリア。

 

へ:御意に―――。

 

 

〔そして、ここでも平行して、樹海でのナゾの碑文の解読が進められていたようなのです。

 

さて―――この結果が、吉と出るか、凶と出るか、は別として――― 一方の、こちら・・・・アダナは――――〕

 

 

ソ:『なあ―――・・・アルディナよ・・・』

ア:zzZZ・・・・(すぅ―――すぅ――――)

 

ソ:『寝付きおったか・・・ならば、いまのうちに・・・』

 

 

〔どうやら、今までアルコールが効いてきたのか、カウンターで眠りこけていたようす―――・・・(この時のソロンは、既にアダナの体に戻っています)

 

そこでソロンも、あの時の不思議な現象を確かめるために、アダナの潜在意識に潜り込み、調べてみるようなの・・・・ですが。〕

 

 

ソ:『むぅ――― なんなのだこれは!!

  ここだけが、異様にプロテクトが硬いとは・・・ならば・・・〜〜〜〜―――――・・・・

  ッっ・・・くぅぅ・・・ダメ・・・か。』

 

 

〔かの『魔皇』をしても、容易に破る事のできないプロテクト―――

そんな強固なモノが、一個人の内にあるとは思ってもみなかったようなのですが・・・・

 

――――と、そんな時・・・・〕

 

キ−−−−ン                          キィ――――ン

キィィ――――――ン

 

 

ソ:『な・・・っ、なんだと? このワシを・・・閉じ込めたというのか? どういう事だ―――』

 

 

〔ソロンは『魔皇』、『魔皇』はソロン・・・今は封ぜられている存在ではあるものの、

全ステータスは、ジョカリーヌ様をも上回るモノを有しているはずなのに・・・こうも簡単に、監禁の憂き目に遭おうとは―――・・・?〕

 

 

ア:・・・・・。(ス・・・)

  (ふ・・・バカなヤツ・・・私なんかに興味を持たなくてもいいものを・・・)

 

  だが――― 一番に小うるさい存在(ヤツ)を黙らせとけば、しばらくは時間を稼げようというもの・・・

  (それに・・・うっかりだけど、出ちまうとは・・・・ね、気をつけないと・・・)

 

  さて――――と、帰るとするか、お家へ♡

 

 

〔今の――― 気になるアダナの物言い・・・。

彼女は、一体なんの事を言っているのでしょうか。〕

 

――――総てのナゾを孕みながらも―――――

――――しづかに夜は更けていくのです――――

 

 

 

 

 

 

―――了―――

 

 

 

 

 

 

あと