<に>
阿:(こっ・・・・・・これが、コンパとかいうものの会場ですの??) り、理解できませんわ・・・・
メ2:おっ! 新入り到着ー! まずは飲め飲め〜!!
阿:うぐっ! な、ナニを・・・?(グビグビ・・・・) ぷっはぁ〜〜! ヒクッ!
ひゃひょ・・・・ほへ・・・・
<対訳;何よ・・・・これ・・・・>
あはらくらっ、くらっ・・・・
<対訳;頭クラッ、クラッ・・・・>
ヒックッ!!
メ2:おっ! 嬢ちゃん、イケル口だねぇ〜?! ホレ! もっと飲め〜〜!!
阿:う゛っ!!(グビグビ・・・・) ぷっはぁ〜〜 ヒクッ!
な・・・なんらら・・・いいひもひ〜・・・
<対訳;な・・・・なんだか・・・・いい気持ち〜・・・・>
も・・・もっほ、もっへひへぇ〜・・・・!!
<対訳;も・・・・もっと、持ってきてぇ〜・・・!!>
ヒャックッ!
(その飲みっぷりに、周囲半ば唖然)
メ3:おおおっ! なっかなかつぇぇぜー? こいつ・・・・そぅら、もっとイケー!!
阿: こ・・こんなんひゃ・・・・てんでんたりまひぇんわぁ・・・・
<対訳;こ・・・こんなんじゃ・・・・全然足りませんわぁ・・・・>
ひっくっ!
んにゅふふふん・・・・
<対訳;んふふふ・・・・>
ヒャッ!
(なんと・・・・一升瓶軽々と・・・・(^^;;)
阿:(グビビ・・・・・)
ぬん〜! いいひもひぃ〜! らんらんにょってひまひひゃまひょ〜〜!!
<対訳;ん〜! いい気持ち〜! だんだんノッてきましたわよ〜!!>
(そして、婀陀那戻ってくる・・・・)
婀:うんっ?! なんだか騒がし・・・・・・何ッ! あやつは!! ひょっとすると、欠員の一人とは・・・。
し、しかし・・・・またいい飲みっぷり・・・・なんと?! 既に一升空けたとな??
(しかも、ノリに乗りまくって、とうとう歌まで歌い始める阿恵華。
その曲の数々は・・・『空』や『アジアの純真』、『そばかす』等の、和製ポップスが主流のようである)
婀:ほ、歌の方もなかなか・・・・人は見かけによらぬものだのぅ。
阿: Hey! どぅも〜、ありにゃとうごじゃいましたはぁ〜!
<対訳;Hey! どうも〜、ありがとうございましたぁ〜!>
にゅふゅふょ・・・・ちゅかれましぃたわ〜ッと!!
<対訳;んふふ・・・・疲れましたわ〜ッと!!>
婀:ちょっと・・・・横いいか?
阿:うんにゅ? どうじょ、どうじょ・・・・(あれ?)・・・・ひゃっ!あはひゃは!!?<対訳;あっ!あなたは!!?> ヒャックッ!
婀:ふふ、あの倉庫の一件以来だのぅ? お互い・・・・・どうした? 何をそう震えておる? ひょっとして、酔いでも醒めたか?
阿:い・・・・いへ・・・べっつに・・・・(ぺしぺし! ブルブル!)
婀:ふふ、怖いのか? 柾木の次期当主ともあろうお方が、“未成年”にして、酒を喰らうと言うことをチクられるのが。
阿:そっ・・・・・・・それはっ!! (うううっ・・・・・・・)
婀:ははは・・・・・まァ、そんなに心配するな! ここに居る者にそんな野暮な事をしでかす様なヤツはおらん!
阿:で、ですが・・・・万が一・・・・
婀:もし、したとしても、そやつは仲間を裏切った罪で“村八分”にされる・・・・・永久にな・・・・
阿:大人になっても? ・・・・・ですか?
婀:そうだ 阿:そう・・・・それじゃあ・・・・・
婀:おィ、どこへ行く? 阿:ちょっと、手洗いに・・・・
婀:(ふふ、柾木の姫君が、よもやこんなところにのぅ・・・・)
ふふふ、こいつは少し・・・・いや、大幅に見直さねばならんようだな・・・。
阿:あぁ〜、びっくりした。 ま、まさか、森野の公主様がいたなんて・・・(しかし、こんな手の込んだこと、一体誰が・・・・)
まッ、いいッか!今は青春を謳歌するのよっ!
(阿恵華部屋に戻る、すると・・・・? そこには、グラサンをかけた見知らぬ男が歌っていた・・・・)
男
〔さらば青春〕
〔大空と大地の間に〕
〔冬の稲妻〕
(選んだ曲は、全て古いものばかりであったが、その歌声は、そこにいた全員を魅了するには十分であった)
阿:は・・・なんてステキな声。
婀:やはり、あんたもそう思うか。 実は、この者、先程入室したばかりであったが、『済まん、済まん』で通してな、そのまま歌い出したのじゃ。
妾も声には自信があるが・・・あそこまでは・・・到底無理じゃな。
阿:そう・・・なんですの・・・・・(阿恵華、ここで キッ! と前を見据えて) はい! 次、参ります!!
阿恵華
〔ロビンソン〕
〔愛のしるし〕
〔息も出来ない〕
婀:ふふ、姫君は負けず嫌いのようだな・・・・では妾も。
婀陀那
〔堕ちた天使〕
〔Hot stuff〕
男:やるねぇ、お二人、ではこちらも・・・
男
〔恋人よ〕
〔白夜〜離したくない〜〕
〔群青〕
〔きっとどこかで〕
メ3:す・・・すっげぇ〜・・・おぃ! ここなんかまるで、コンサート会場みたいだぜ?! メ6:オレ達、得してるよな?!
メ5:あったりぼうよ!! コンサートだったら金払わなきゃなんないんだぜ?! メ2:ダヨナ〜〜! ヒューヒュー!!
婀:はははは、お前らも存分に騒げ! 今この一瞬を謳歌しようぞ??!
阿:・・・。(この方・・・・本当は・・・・そうね、きっとそうよ・・・・・)では、次は、わたくしが。
婀:(うんっ?! 心なしか、この者の表情が、変わったような?)
阿恵華
〔悪女〕
〔化粧〕
〔時代〕
〔ファイト!〕
婀:(な・・・・・ッ! この者・・・・今の妾の心情を?)
メ6:あ゛っ! を゛いッ! なんだ!そのクレ〜唄は! 場が白けちまったじゃあねーか!!?
メ4:姉御、どうしちまったんです? うっ伏せたりして・・・。 顔を上げて、あの中坊に言ってやって下さいよ!?
婀:うるさいっ! お前ら・・・この歌を・・・・聴きたくないのだったら・・・・・・出ていくがよい!!
メ6:な・・・・・ッ?! メ4:えええっ??!
(と、ここで、謎の男、俄かに立ち上がり、メンバー達をなだめすかして、部屋から出す、そして・・・・・)
男:済まなかったね、・・・・・さ、続けて・・・・ 阿:はぃ・・・・。
男:いい歌・・・・だよね、どうだい? 泣いて、心が洗われたかい? 婀:い・・・・いや・・・・妾は決して、泣いてなど・・・・・
男:君も、ほとほと強情だね。 もう少し素直になったらどうなんだい?
婀:素直に・・・・・・(スナオに・・・・)すな・・・・・(ジワ・・・・)うっ・・・・・ううう・・・・・・
ポタリ・ポタリ・・・・
阿:(え・・・・・ッ?! 涙?) あの、どうされたのです? わたくしが何か?
男:いや、なんでもない、そのまま歌いきって・・・・・
阿:は・・・・・はぃ。 ・・・・・・・・いいえ、やはり、わたくしは、ここで止めさせて頂きます。
どうも済みません。 あの・・・公主様?
婀:い・・・いいえ、とんでもない。 妾の方こそ、恥ずかしいところをお見せして・・・(涙を拭って) 申し訳ない、せめてものお詫びに・・・・
婀陀那
〔Starting Over〕
〔Love〕
〔Puff〕
阿:(やっと・・・やっと、ご自分の心に気付いて頂いたのね。 あなたは、本当は優しい心の持ち主、それが、今までの苛烈な環境が変えてしまった。
でも、もうそんな事はわたくしが決してさせはしない!!)
男:(やはり、両家の未来は、この方たちが握っているようだな、後々のことは、成り行きに任せれば、いずれは・・・・・)
(と、ここで、謎の男、静かに退室)
婀:おや? あの男は? 阿:さぁ、お手洗いにでも行ったのではないでしょうか?
婀:それでは、妾達も・・・ 阿:お開きになさいますか?
婀:そうですな・・・・・・
(ここで、全員退室・・・・)
(阿重霞と婀陀那、帰りの道中にて)
婀:ふふ、有り難う、柾木殿。 久々に歌いたい歌を歌うことが出来て、すっきりできたよ、それに、悪いものも出しましたしな。
阿:いいんですよ・・・・こちらこそ・・・・
婀:申し訳ない。 いや、実のところ、敵側のご息女のあなた様の事は、生憎、悪い噂しか吹き込まれていなかったから、
可笑しな姿しか想像していなかったのですよ。 例えば・・・・・、
阿:例えば? 婀:そうですなぁ、意地っ張りで、強情で、人の言う事をまるで聞かない・・・・とか・・・
阿:まっ! 人の事を『悪鬼羅刹』みたいに・・・・・・失礼しちゃうわ?!
婀:ですから、謝ったではないですか。 それで、そちらは?
阿:恥ずかしい話、似たようなものです。 目は吊り上ってて三白眼だの、口は耳元まで裂けているだの・・・・・
婀:おぉ・・・・それはヒドイ・・・・ 阿:でも、これであいこですね?
婀:ですな・・・・・それでは、 んっ・・・・・・(婀陀那、阿恵華に向かって、利き手を差し伸べる)
阿:えっ? (ニコ・・・・) はい・・・・
ギュ・・・・・・・
阿:願わくば・・・・ 婀:我等が家の関係を・・・・
阿:断ち切る・・・・いえ、修復するのよ! 婀:『望みは高く果てしなく』ですか、これはまた大きく出ましたな、姫君・・・・
阿:いいえ、これも、あなたの協力あったればこそです、公主様。
(硬く握り締められた手は、約10分彼女たちの手を離れようとはしなかったといいます。 さて、一方、これより少し前、少し離れた場所にて・・・・
静かに退室した男の前に、以外にも、柾木家の重鎮の姿が)
男:(あっ・・・・あの方は・・・・) 瀬:ご苦労でしたね、驍殿。 それで、上手くいったの?
男:ふふ、やはり、バレてしまいましたね。 えぇ、今頃、恐らく彼女達自身、固い握手でもしているんじゃないですか?
瀬:しかし、杜下の次期当主ともあろうお方が・・・・よろしいのですか? お父上に疎まれるようなことを自らして。
どうなのです? “杜下驍”殿。
驍:私は、正直、父のやり方を快く思っていません。 そりゃあ、世間では、『仏の善三郎』と、呼ばれているらしいですが。
裏では、森野を操って、柾木にけしかけたり、また、その逆も然りです。
そして、程よいところへ自分たちが割って入ってくる。 私には、このような行為、偽善としか映らない!
そういうやりか方を・・・・・私は許せないんです。
瀬:それは、昔、あなたが、お父上に附けられた、背中の傷のせいでもあるの? 驍:それもあります。 ですが、人として!!
瀬:許すわけには行かないと? なるほどねぇ・・・ま、いいでしょ。 あなたの成長ぶり、篤と拝見したから、これはこれで良しとしましょ。
驍:申し訳ありません、このような若造がえらそうな口を利いたりして。 瀬:いいのですよ、それに、私は、阿恵華ちゃん迎えに来ただけだから。
阿:あっ! 瀬戸の大叔母様・・・あら? 傍らのあの人は?
驍:では、御免!!
(驍、そう言い残し、その場を走り去る)
瀬:あら、阿恵華ちゃん、どうだった? 楽しかった? はじけちゃった?? 阿:はぃ、瀬戸様。 あの、先程までいらした方は?
瀬:あぁ、あの人ね? ちょっと道が分からなくなったから、教えてくれ・・・って 阿:ふぅ〜〜ん・・・・(そうなの・・・)
瀬:さ、お父上に叱られないうちに家に帰りますよ? 阿:あっ! 待ってください!!
(それは、あまりにも静か過ぎた・・・・『嵐の前の前兆』というには余りにも・・・
両家の息女たちは和解したが、両家の親はそれを知るべくもなく・・・・間もなく・・・・、悲劇の幕が上がろうとしていた。
そう、それは、とある男の“死”をキッカケに・・・・)
――了――