第弐講 あぁ、仲良きことは良き事かなカナ〜〜・・・・ (-フ-;;)
――さて、臾魅が、ギルドに入って三ヶ月、初めはぎこちなかった彼女も、持ち前のその明るさで周囲に溶け込み始める。――
臾:お疲れさーん! さて、ウチも早目にこの仕事終わらせてしまわな。 ふぅ、ここおもてたよりも肉体労働多いねんな〜、あっ! お疲れさーん!
あれ? なんや、おひぃさんかいな。 なんぞ用でっか?
お:わたくしは不本意ですけど、一応きまりですからね。 明日の夜にあなたを食事に招待して差し上げます。
呉々もどこぞの誰かさんの様に、遅刻なさらないようにねっ?!
臾:はァ〜〜ん・・・そらまた、ケッコーな規則でんな〜。 (んっ?! おおっ! こりゃまたケッコーええとこのレストランやないか!!)
へへっ、ゴチになりまッさー!!
お:ふんッ!!
(・・・とまぁ、こんなヤリトリありながらも、自分のアパートに戻る臾魅。 ・・・・・でもそこには・・・・・?)
臾:へっへー、どやら明日の晩飯代は浮きそうやんな〜、うんっ?! (と、郵便受けに目をやる) “キ色い封筒”・・・・・。
ガサッ!
臾:明日の夜かいな、仕方あらへんな。 (ピッピッピッ)あ、ドンか、ウチや、明日休ませてもらうからな、そんじゃ(ピッ)
サ:あっ! おい! 臾魅! くそっ! 一方的に喋って、一方的に切りやがった。 まさか?
(ピッピッピッ)あ、オレだ・・・サヤだ、なぁ、ナオよ、ちょいと聞きたいことあるんだが、誰か臾魅に“仕事”請け負わせたヤツ知ってるか?
そうか・・・知らねぇか。 分かった、悪かったな・・・じゃあな(ピッ)
仕方ねぇ、直接“上”に聞いてみるか。
(ピッピッポッ)あぁ、オレだ・・・サヤだ、マクドガルを頼む。
マ:あぁ、私だ。 なんだサヤか、今回はお前に“仕事”を依頼していないはずだが?
サ:(今回は?) 臾魅か! 臾魅なんだな!!? (くっ!! やはりそうだったか・・・) 分かった・・・・(ピッ)
(その翌日)
お:あら? 今日臾魅さんはどうしたの? お休み? サ:あぁ、急用が出来たらしくてな、今日はあいつは休みだ。
お:あら、そう・・・。 サ:なぁ、おひぃよ。 ちょいと今夜付き合ってもらいたいんだが・・・・どうだ?
お:“どうだ?” も何も、今日の夜には大事な会合があるのよ? ご存知でしょう?
サ:あぁ、存じ上げ奉ってるよ! だが、当の本人いねぇ―んじゃ、意味ありゃしね―んじゃねぇのか?!
たかが、あんたんとこの家の人間に、臾魅をお披露目するだけなんだろ? そんなのいつだって出来るんじゃねーのかい!?
お:“たかが”とは何よ! それに、わたくしの家の人間も、そんなにヒマじゃございませんのよ!!?
サ:(ちっ! これだからお嬢は・・・・)
まぁいい、とにかく今夜の会合はキャンセルしな、その代わりといっちゃあなんだが、ちょいと面白いものを見せてやるからよ。
お:ふぅ・・・・仕方ございませんわね、今回だけよ?
サ:・・・・・・それでいい(ニッ)
(そしてその夜)
お:それにしても、随分とうすら寂しいところに連れて来ましたわね、まだ行くようなの??
サ:あんた・・・・オレがここに入る前に何やったか知ってるか? お:え? えぇ・・・・人づてには・・・・確か、“吸血鬼”なるものを・・・
サ:そう、殺していた・・・・いや、正確には“狩っていた”というべきかな、第一オレ自身その“吸血鬼”『ヴァンパイヤ』なのさ・・・
お:え・・・・・っ
サ:通称『狩り手』とか『始末する者』とかいう名で呼ばれている連中がいてな。
オレ、臾魅とあともう一人メンバーがいるんだ、オレはその中でも『同族狩り』をしているというわけさ。
お:そ、そうでしたの・・・・(なんて苛烈な)
サ:いや、“でした”じゃあない、未だにソレはつづいてんだ。 そして、あいつが今日『ギルド』を休んだのも、そいつが原因なのさ。 それに・・・・
お:それに?
サ:通常オレたちは群れて行動はしない、よほどの事がない限りはな。 一人一人が考えるベストの範囲内で行動をしているのさ。
お:それでは、今回はどういう事ですの? サ:これがオレが考えた中での“ベスト”の行動というわけさ。
(少し開けた場所に出る)
お:(あら?) ここは・・・・ サ:気をつけろ・・・・いるぞ。
☆―ガ・・・・・・シィィン・・・・―☆ (一瞬火花が散る・・・・そして?)
サ:(あいつは・・・・怒愚魔か、ちと手ごわいかな。)
臾:(く・・・ッ)しぶといやっちゃなぁ・・・・・これでもくらいやッ!
『煉獄掌』!
ゴウッ!!
(臾魅、右腕に装備された『角鬼腕:炎』から、炎を纏った一撃を繰り出す・・・だ・が・・?)
臾:どやっ!
サ:(まだ、甘い・・・・)
お:あっ! 臾魅さん。
臾:なんや、効かへんのかいな。 なんか今日調子悪いねんなぁ。
怒:所詮、お前などに倒されるワシではなかったということよ! グァーッハッハッハ!!
臾:うるさい、余計な事や。 ウチはなぁ、あんたをどうしても、許すことがでけへんのや、ウチの母ちゃん殺したお前はなぁ!!
お:(ええっ! 臾魅さんそんな事が・・・・)
怒:ほほぅ、お前あの一族の生き残りか! こいつはいい!! 一族そろいも揃ってワシに殺されにくるとは! こいつはケッサクだ! はは、愉快愉快!
臾:(くっ・・・・)ウチの母ちゃんの技、喰ろうてみぃ!!
『不動火焔煉獄掌』!!
(臾魅、先ほどの『煉獄掌』より強力な一撃+αを繰り出す、これにはさしもの怒愚魔もたじろぐが・・・?)
怒:グオッ! ・・・・・クックックッ・・・・グァーッハッハッハ! こんなもの、あの女の足元にも及ばぬわぃ!!
どれ、ぼつぼつ死ぬか、その後でその肉を貪り喰ろうてやろう。
臾:き、効かへん・・・そんな・・・ウチと母ちゃんの技が・・・くっ・・・・。
バキッ!
臾:ぐあっ!!(ドサッ!)
(怒愚魔の攻撃をモロに喰らい、おひぃ、サヤのいる木の根元近くまで飛ばされる臾魅)
臾:うっ、う・・・・ちっくしょう、なんや体が・・・・、ちっきしょう!! ゴメン、母ちゃん、ウチ、仇キとれへんかった・・・ゴメンな。
怒:ククククク・・・・・・どうやら観念したらしいな・・・・なら死ねィ!!
(すると、木立から人影が現れ、その人影寸前で、怒愚魔の突進が止まる)
バシイィ・・・・ン!! ジ・・・・ジジ・・・・・
怒:何ィ! お前は!!? 臾:あっ、ひぃさん・・・どうしてここに・・・・(結界?)
サ:オィ、大丈夫か?
臾:それに、ドンも?? (どないなってんねや?)
お:むぅんッ!!
シュ・・・バチィッ!!
(怒愚魔、はじかれる)
お:さ、わたくし達が来たからにはもう安心なさいな。 臾:ひ・・・ひぃさん・・・
サ:ふっ・・・・見ての通りだ、怒愚魔!! お前の攻撃はかわされた、一気に形勢逆転だ、このまま尻尾を巻いて逃げちまいな!!
怒:フフン、誰かと思えば 裏切り者のサヤ じゃあねぇか。 ここでキサマらを葬ればワシの株も、一気に上がるというもんだわぃ!
サ:てめェーも・・・・分かってねぇな、このオレが出っ張ってきたってことは・・・・(って)おいっ! おひぃ! お前、一体どうするつもりなんだ!!?
お:あなた・・・・確か、怒愚魔さんとおっしゃいましたわね、許しませんのことよ・・・
わたくしの大事な会社の従業員をここまでいたぶるなんて・・・・相応のカクゴは出来ているんでしょうねぇ?
サ:おいっ! 一体何考えてんだ! お前!! そいつは日頃相手をしてる連中とはワケが違うんだぞ?!! 傷を負ったってすぐ回復しちまう、
特殊な攻撃法でしか死にはしないヤツら・・・・それが『闇の眷属』、『不死なる者』“ヴァンパイヤ”なんだぞ!!
怒:なんだと? この小娘風情が、このワシを倒そうというのか? 先程のがマグレだという事がまだ分からんか!!
キサマら三人束になっても、まだ腕が余りクサルわ!!
お:あら、それはどうかしら?? 第一、こちらのデータも知らないで結論だけを出すというのは、愚の骨頂ですことよ?!
それに、闘ってみなくては、実力の程は測れませんからね。 サヤさん、臾魅さんをお願いね。
サ:ンなっ、分かったよ・・・好きにしな。 (なんだ? こいつのこの自信のありようは・・・・・)
怒:クックックッ・・・・キサマ・・・あれだけの実力の差を見てまだ分からんのか、ワシにはあの『不動火焔煉獄掌』でさえも効かぬのだぞ。
まぁいい、こんなうら若き女子は実に久しぶりだ、いたぶって、嬲って、そして喰ろうてやるわ。
お:なんて下劣な、第一その技はまだ彼女の術の未熟なせいです、決してあなたが強いというわけではありませんですわよ!?
怒:ほざくなぁ〜〜〜小娘ェ〜〜〜〜!
バッシィ〜〜ン・・・
怒:なにっ!?
臾:また寸前で・・・やっぱ結界なんか?? サ:ほぅ、言うだけの事はある。
お:あら、どうしたの? もしかして、それで全力?
怒:ふっふフフフ・・・・こいつは失礼した、安心しろ、今度は手加減ナシだ!!(ニゅ)
臾:んゲッ! なっ!!? サ:腕がもう四本・・・・
臾:う、ウチ、こんなんとやろうとしてたんかいな・・・・(はは・・・・)
サ:あんッ?! お前、まさかそんな事すら知らないで闘ってたのか? お前もヤツの事をいえねぇな・・・・
お:あら、それなら、まだ婀陀那ちゃんの方が凄いわよ?! あんたなんて所詮・・・・(フフンッ)
臾:(な・・・なんやてェ〜〜?? あの婀陀那はん・・・・がぁ?) サ:・・・・・・・・・・。
怒:死ねェ〜〜〜〜〜〜〜〜〜ィ!!
お:浅慮なっっ! 喰らうがよい!
“オン・ダキニ・アビラウンケン・ソワカ”
{我、汝を収束せり!!}
怒:なっ・・・! その術はぁ!? うおおォォォォォ・・・このワシがこんなところでえぇぇェェェ・・・・・
臾:なっ! 片手で“六芒”切った跡で、その後巨大な“魔方陣”っ?! まさか・・・これって!?
サ:“封印術”か・・・(それも、相当高度な・・・) なるほど、ヤルな、あいつ。
お:奥技『六魂封滅陣』ですわ。 ふふ、なかなか楽しかったですわよ・・・・怒愚魔さん
臾:あ、あんなん巨きかった円陣が、一瞬にしてちぃそうなって・・・・怒愚魔もろとも消えても〜た・・・
(なんちゅう威力や・・・ウチらの『不動火焔煉獄掌』よりも凄くないか?)
お:(ふぅ、まだまだ・・・・ですわね) あら?(サヤ・・・さん??)
臾:あれ? ドン、どないしたんや?
サ:ふ、ご苦労だったなおひぃ、これはほんのお礼だ・・・受け取りなっ!
ジャキン! ドヒュ・・・・!!
(サヤの手から、一振りの赤黒い刀身の刀が現れたかと思うと、おひぃをバッサリ・・・?)
お:え・・・・っ??! 臾:あぁ、恩人になんてことすんねん! ・・・ってひぃさん斬られてへん??
サ:バカが、足元を見てみろ。 それがおひぃの首に見えるか。 臾:こっ・・・これは? 一体どゆことやねん??
サ:ふっ、見たか我が秘剣“斬獲セシ者”『魔忌利』 それにな・・・これは、こいつらの良く使う手なんだよ、
人の影に忍び込んで、背後から襲う・・・オレが気付いたから、やる前にたたっ斬った、それだけの事よ。 驚かして済まなかったな、おひぃ。
お:いえ、いいんですのよ。 それより、大丈夫? どこか痛いところは? 怪我はない? ゴメンね・・・
今まで辛く当たっちゃって・・・ゴメンなさいね。 (おひぃさん臾魅を優しく抱擁する)
臾:(え・・・っ、この人・・・こんなにも、優しゅうて、あったこうて、強ようて・・・・それに、・・・・いい匂いや・・・
なんか、まるで母ちゃんに抱かれとるみたいや・・・・)
母ちゃん・・・・・。
お:えっ? 何か言いました?
臾:ううん・・・・なんでも・・・・ない・・・・もう少し・・・このまま・・・・
サ:(良かったな、臾魅)
(さて、そろそろ二人とも落ち着いてきたようで)
お:あっ! そうだわ! すっかり忘れてました! 今日はもう遅いことですし、私の部屋で休んでいきなさいな!?
そして、“ギルド”には三人一緒に行けばよろしいのよ!!
臾:へ? いいんでっか? ンな事して・・・ サ:あ、オレは遠慮しとくわ。
お:あら、遠慮することないのよ! サヤさん、今回のお礼もしたいし、丁度いいのよ!!
サ:へぃへぃ・・・(こいつは言い出したら聞かねーからなぁ)
(そして、おひぃの部屋にて)
臾:ふぅ〜〜、お風呂先に頂きましたで〜〜? おおきに!! サ:さて、次はオレが・・・・ お:どうぞ
臾:はぁ〜気持ちえがったぁ〜〜、汗掻いた後の風呂って、また格別やねんなぁ〜。 ありゃ? これ・・・ってオカリナやん。(ピー・ピー!)
はは、ダメやんなぁ、うちこんなん苦手やってん。
お:うふふふ、こうやって吹きますのよ。 (おひぃ、ここでとあるメロディーを奏でる)
臾:(あれ? この旋律どっかで・・・・)ええ曲やんなぁ、なんちゅう曲や? お:うふふふ、それはまだ ヒミツ よ? そのうち分かりますわよ。
臾:なんやん、ケチやなぁ。 でも、ま、ええっか。 なぁ、今んとこ、もいっぺん聞かせてもらえんやろか?
お:いいですわよ? わたくしもいい練習になりますからね。 臾:(練習? なんか、発表会みたいなんあるんかいな)それにしてもええ曲やんなぁ〜〜♪
(そして翌日、おひぃを迎えに来た婀陀那は、一種異様な光景に出くわす)
婀:サヤ・・・・殿に、臾魅殿。 どうして姐上のマンションに??
臾:ぅん? こん人に泊まってけー言われて サ:ま、そういうこった
お:昨夜は中々スリルに満ちて面白かったですわよ〜? 婀陀那ちゃんもいればよかったのに・・・
臾・サ・お:ねェ〜〜?
婀:・・・・・。(また姐上、妾の与り知らぬところで何かやらかしたのか??) ふぅ・・・ヤレヤレ
臾・サ・お:気苦労がたへぬのぅ!!
婀:ぐっ・・・・・(こやつら・・・)早く、車に乗りなされいっ! 遅れますぞッ!?
臾・サ・お:はぁ〜い!
(そして、いと高きところにてそれを見守る人影あり)
女:運命の歯車が今ゆっくりと・・・・・
――了――