<後日談>
(さて、かのおいしい『親子丼』をごちそうになったものの、
なぜか自分が作ったものでないとするステラに、疑問を感じる婀陀那
その真相を突き止めんとするため、自分のところにいる、杜下の暗部の一人、
紫苑にことの真相を話してみるのですが・・・)
婀:のう、紫音殿(こちらが彼女の本名)・・・、つかぬ事をお聞きしますが。
そなた、驍様の『親子丼』を食された事がおありか?
紫:え? は、はぁ・・・。 あの、それが何か?
婀:そうか、おありか・・・。(やはりのぅ・・・、だがなぜ、あんなウソを?)
紫:あの、もしかして、婀陀那様、御前の作られたあの『親子丼』を・・・?
婀:うむ、今日頂いた。 しかし、あの方は、頑として『蜆亭』のものというて、聞かぬのだ。
妾が姐上に事の真相、話そうと思うたら、強かにつままれたのじゃよ。
紫:ぷっ! ふふふ、なるほど、御前らしいですね。
婀:なに? “らしい”とは、またどういう事じゃ?
紫:あの方ほど、こと褒められるのに関して、苦手な方もいませんからね。
それに、そうですか・・・、あなた方も、御前の“洗礼”を受けられたのですね。
婀:何? 洗礼?
紫:そう、なにしろ、 あれ は、杜下の前メイド長、直伝のお味なのですから。
婀:なんと・・・!
紫:それと、いかがでした? お味の方は。
婀:うむ・・・、見てくれはもちろん、あのように・・・
紫:見事に、“親(鶏)と、子(卵)がマッチしていた”でしょう? おめでとうございます。
これで、晴れてあなた方も、御前と“親”と“子”の関係になれたのですから・・・。
婀:(成る程・・・それで驍様は・・・) つまりは、血と肉の関係、切っても切れぬ仲・・・・ということですかな?
紫:はい・・・。 それにしても、私も久々に食べてみたくなりました。 御前のお手製料理・・・。
(やはり、ここでも、少なからず影響を与えていた『松元ハナコ』の影・・・。
それに、彼の微妙な味加減、さじ加減などは、殆どこの人によるものだったのです
ですが・・・、今、その人は故人であり。
その影を引きずるという事はあまりよろしくないものなのです。)
―――これでほんとの了―――