<二>
〔その一方、こちらでは、こぉんなことが・・・・〕
サ:そういえば、この前行った『明石の鯛』、あれは美味かったなぁ。
臾:ほうですなぁ〜。
瀬戸内の荒波にもまれて・・・ホイでもって、身もきゅっと締まってて・・・
茉:へぇ〜〜―――明石の鯛・・・・かぁ。
私は、『関サバ』に『関アジ』だね。
雪:うんうん、あれもおいしいよねぇ〜〜。
脂もすんごくのってて・・・・ねぇ、葵は?
葵:―――・・・私は、『土佐の初鰹』・・・―――
雪:ふぅぅ〜〜〜ん。(随分と・・・渋いトコ決めてくるわね)
――――ところで、男性陣は?
惣:そうだなァ・・・・オレは、魚より、どっちかッっうと、肉だな。
例えば・・・・『猪』とか。
安:猪――――っすか、でもそれ、独特の臭みがありません?
惣:へへ――― そこがまたいいのよ。
煮てよし、焼いてよし! おまけに、『牡丹鍋』とくりゃあ――― そうっすよね?板長。
政:ん―――― そうだな。
ところで―――― 婀陀那様方は、いかがなもので?
婀:ん――― 妾・・・か?
そうじゃのう・・・・肉といえば、やはり牛、その中でも、『シャトー・ブリアン』なんぞは、絶品じゃったの・・・。
茉:(シ・・・・『シャトー・ブリアン』・・・・)
雪:(な、なんというか・・・さすがに、口にしてるのが違う・・・と、いうか・・・・)
葵:―――・・・痛風(ぼそ)・・・―――
婀:ん? 葵どの・・・・今、何か言いましたかの??
茉:いっ・・・ぃいえぇ〜〜・・・・なんでも・・・
雪:き、気のせいなんでわぁ〜〜??
葵:―――・・(むぐむぐ)・・―――
婀:・・・・・然様か、まあよいわ。
ところで、姐上は?
お:わたくしですか―――? そうですねぇ・・・・。(とはいえ、言おうとしたのは、あらかた出ちゃったし・・・・)
お魚では『ふく』、お肉では『金華豚』ですかね。
惣:は〜〜〜―――。(こいつは、また通好みな・・・・)
安:ほわ〜〜―――。(おいら達と、住んでる世界が、所詮違う・・・・っていうか・・・・)
政:・・・・・・。
〔ほぉ〜〜〜、皆さん、さすがにいいもん、喰っていなさいますねぇ。
(『明石の鯛』に『関サバ』、はてまたは『シャトー・ブリアン』デスか・・・・)
――――と、まあ、今回のお話しは、これがメインなんです。
そぉ〜〜〜う、つまりは、食材の中で、ナニが一番『旨い』かということ。
そして、そんなところへ・・・・この三人が、加わる事と相なりまして―――――・・・・〕
瀬:おゃ―――― まぁ―――― なんだか、おいしそうな話で、盛り上がっちゃってるようだわねぇ〜。
お:(えっ?!)あっ――― せ、瀬戸――――・・・いえ、大女将様。
はい、そうなんです、皆さん、さすがにここで働いているだけあって、おいしいものを、いろいろ知っていらっしゃって・・・・
婀:ところで――― 瀬戸様や、静音殿、社主殿は、今までで、一番おいしいと思われたものは―――?
静:私・・・・ですか、そうですねぇ・・・・。
『銀鮭のハラス』とか、『鱧の水洗い』とか・・・・あ、そうそう『君魚』なども、よろしいですよね?
臾:ほわ・・・・。(い、今、こん人の言うた事、うちようわからへンわ・・・・)
サ:へぇ・・・・。(こいつも、おひぃや、婀陀那と、負けずおとらじ・・・・ってとこだな)
瀬:(ふふ―――・・・)さぁっすがね、静さん。
ここでも、上お得意様にしか出さないもの、出す辺り・・・。
静:お、大女将・・・・。
ス:ま、まぁ〜〜―――、それだけ品質が、折り紙ついてる・・・・って、事っすから。
瀬:それも・・・・そうね。
ス:そういう――― 大女将は??
瀬:んん―――? 私ぃ? そうねぇ・・・・
『烏骨鶏の卵』に、『すっぽんの生き血』、それとあと・・・『猿の脳みそ』なんかがよかったわねぇ〜〜。(にまぁ)
お:(す・・・『すっぽん』!!? に・・・)
静:(『猿の脳みそ』?!!)
婀:(っっ・・・・って、それは西大后が、晩年に食しておったものではないデスかァ・・・・)
ス:(この人・・・・一体、いくつまで生きるつもりなんぢゃろ・・・・)
〔せ・・・瀬戸さん、そりゃちょいとやりすぎて!!
すっぽん・・・・までは、まぁ〜〜分かるにしても・・・・『猿の脳みそ』は、さすがに行き過ぎなんでわ??
(ほれ・・・・一同、引いてるぢゃないの・・・・(^^;;)
―――――と、まあ、おジョーダンはさておいて・・・(ジョーダンだったンすかい!(^フ^゛)
この男――――の、おいしかったものは・・・・と、いうと??〕