<さん>

 

(サヤが驚いたのも無理はない。 そこに佇んでいたのは、“人”ではなく、かすかに見えるもう一対の腕と。

これまた薄っすらとしか見えない翼を持つものがいたからである)

 

サ:お・・・お前・・・一体??

婀:分からぬ。 妾本人でもな。 じゃが、物心がついた頃より、時折こうしたものが見えるからとて、化生扱いされておったのは事実じゃ。

  この17年間、こうはなる事がなかったので忘れかけていたのじゃがな・・・・。

サ:な・・・・なんだって・・・?

 

J:(彼女本人が? 強力なプロテクトをかけているとでも・・・・? でも、それが本当なら全ての辻褄が合うわね。

  この5,000年間、全く見つからなかったのも、その本領が発揮される事なく転生を繰り返していただけに過ぎなかったんだわ。

  でも、この私がいるときに発見する事ができるなんて・・・・これは運が良かった・・・と見ていいのかしら?)

 

婀:せっかく・・・・忘れかけておった不快な思いを、同時に思い起こさせてくれおって・・・・。

許さんっ! 妾は絶対貴様らを許さんぞうッ!!

出でいッ! 我が剣ジグムンドよっ!!

 

 

ザンッ!(突如として現れる大剣一振り)

 

サ:ウウッ! な、なんてバカでけぇ・・・

J:(出たわね、彼女自身の武器・・・あ〜あ、こりゃ終わったな)   あっ! あれは!!(Joka、ここで土手をあるいている人影を見つける)

 

婀:消えいッ! 目障りじゃ!!

 

ブウウゥゥン!            ズシャ!     ブシュ・・・ッ!! ドシュ・・・・

 

(その一振りで数十はいたであろう異形の者を滅してしまう婀陀那。 しかし、彼女自身の興奮はいまだ冷めあがらず、ついには・・・・)

 

婀:(スチャ・・・)お主等・・・この妾の姿を見たな? 不憫じゃが、このまま返すわけには行かぬ・・・・覚悟せよ。

サ:(やらなきゃ、こっちがやられちまう!!) くっ!!

J:ひぃぃぃッ! そんなの八つ当たりだようっ!  あっ! カン兄ィ〜〜っ! ちょっとこっち大変なんだ、助けてよ〜ぅッ!

 

カン:ありゃ? ありゃあよくみるとJokaのヤツじゃねぇーか。 帰りが遅いからどこで油売ってっかと思えば・・・。

  あぁ?! あんだ? お前・・・

婀:ふん、バカがのこのこと出てきおって、ついでにお前も始末をつけてくれる。

 

J:≪ダメよ・・・やっちゃ≫                                             カン:≪ワーカってます・・・って、心配しなさんな。≫

 

婀:喰らえいッ!!                                                       カン:・・・・・・・ヒュッ!。

 

ヴン・・・・          シュ・・・・ トンッ!

 

婀:あ・・・・ぐぅっ。(ドサッ)                                            サ:ンな・・・・(あれだけ殺気立っていたヤツを・・・軽くいなした??)

 

カン:ふぅ・・・・んで、後ろのヤツはどうするんで?                         J:う〜〜ン、やっぱさぁ、見ちゃったんだし・・・・

カン:じゃあ、決まりだな。                                                 J:しょうがないよね。

サ:(何? 何を言っているんだ? こいつら・・・) まさか・・・・このオレも・・・・って事か?

カン:で、なけりゃどうだとでも?                                           サ:ふふ・・・・冗談にしちゃ笑えん

カン:果たしてどうかな?

 

サ:抜かしやがれ! 何?!!                                        カン:甘ぇ〜〜ンだよ、このオレと対等にやりあおうって事自体。 済まねぇな。

 

トン・・・ッ!

 

サ:うぁ・・・・(ドサッ)

 

(かなり腕の立つ婀陀那、サヤを向こうに回したこの男は何者? それと気になるJokaのセリフの数々・・・一体彼女達は何者なのであろうか?

それはさておき、そこからしばらく経っての事)

 

婀:≪・・・・さん、・・・・那さん。≫(・・・・誰じゃ、妾を呼ぶ声は・・・) ハッッ!!(ガバッ!)

お:婀陀那さん! あ・・・良かった、気が付いたのね・・・。                     婀:あ、姐上? ご無事・・・だったのですか?

お:は? どうしたの・・・? 婀陀那さん、何を言って・・・

サ:あんた、後ろの大きな石に蹴躓いて、オレの手刀、モロに喰らっちまったんだよ。 当たり所が悪かったんで、どうかと思ったんだが・・・

婀:さ、然様か・・・。

 

サ:いや・・・それにしても、このオレと対等に渡り合える・・・なんて、意外とやるねぇ。 あんた、タダもんじゃあないんだろ?

婀:ふ・・・しかし負けは負けじゃ。

サ:何、運が悪かっただけの事よ。 あの石さえなかったら、這いつくばってたのは、オレかもしんねーしな・・・。

お:あなた・・・・ご自分をよく知っていらっしゃるのね。

サ:ああ、そりゃ当然だろ? 果し合い一つにしたって、自分の力量をまず知ってなくっちゃあな。

婀:じゃが、運も実力のうちじゃ。

 

サ:そうか・・・・それじゃ、とりあえず今回は 引き分け ってことにしといてやるよ。

お:ええ? どうして? あなたが勝ったのは明らか・・・

サ:すまないが、そうさせてくれよ。 このオレ自身、どうもこの勝負、納得がいかないんだ。     それじゃあな。

お:あ・・・・どうも・・・。(ペコ)

 

婀:・・・。(おかしい、やはり・・・何かおかしい。 この場に何か足りぬものがあるような・・・それに、妾が蹴躓いたのは本当に石であったのか?)

お:どうなさったんです? 婀陀那さん・・・・何か??

婀:い、いえ何でも。 では帰りますか、姐上。                                   お:そうね、そうしましょ。

 

 

(なんと・・・そこにいた三人、(おひぃさん・婀陀那・サヤ)全員が、Jokaとカン・ネイの存在を忘れている・・・?

そういう奇妙な事に会いながらも、今日も日が暮れてゆくのであります。)

 

 

 

―――了―――

 

 

 




まえ                           あと














後日談