<伍>
(そして、二、三日後、三人仲良く退院する運びとなったのです。)
ナ:ああ、あたしはこれから教会の方へ行くんで、ここでお別れだよ。
お:どうも・・・申し訳ありません、いらぬ事をしてしまって・・・
また、何か機会がありましたなら、協力させていただきますので。
ナ:いや、いいんだよ、別に気になんかしなくても。
今回のにしたって、自分に油断があったわけなんだし、
ま、いい教訓になった・・・ってワケだよ。
お:ナオミさん・・・。
コ:体、大事にして下さいみゅ。
乃:・・・・大事にねみぅ・・・・・・。
ナ:あぁ、それじゃあね。
乃:・・・・・・ばいばい・・・・・・。
(そして、おひぃさん、コみゅ、乃亜の三人は、ギルドへの帰り道を進んでいたのでありますが・・・・)
お:あら?(あそこから来るのは・・・・)
臾魅ちゃんに、サヤさん、それに・・・・Jokaちゃんに、婀陀那ちゃん、ステラさんまで・・。
あの、どうしたのです?わざわざ出迎えに来なくても・・・
サ:違うんだよ、シホのヤツが、臾魅だけに教会の方へ来いって言うからさ、
それじゃあオレも・・・・っつったら、“お前は来るな”って言われてね、
まぁた、奴さん、いかがわしい事でも考えてんじゃあないかと思ってさ、
それで、皆もお誘いした・・・・ってワケさ。
お:それでは、わたくしも、ご一緒させて頂けませんこと?
サ:ああ、もとよりそのつもりさね。(ニッ)
(そう、どうやら、シホは臾魅のみに用があったようなのですが、
既に、彼女の正体も割れている今、不安にかられたサヤが、他のギルドのメンバー達にも、声をかけたようです。
そして、教会に着いた一行たち・・・・)
マ:なんだね。また君達、来たのか・・・・つくづく物好きなんだな。
サ:おぃ・・・お前、また何 企んでいやがんだ? ええ?ソロン!!
マ:(フン・・・)まぁいい、その前に一つ、言っておくぞ。
確かに、今の私には ソロンの魂 が宿っているのだが、
行動そのものはシホの・・・・彼女のものなのだからな、
つまりは、私は彼女の代弁者にすぎん・・・・という事なのだよ。
臾:はあぁ?なんやん、ゆーとることがわけ分からんわ。
マ:分からないなら、分からないで結構。
本題に入るぞ・・・・、ここ最近、仕手のレベルの方が高いのは分かっているな、
その対応策だ、幸いナオミも退院したようだし、臾魅にも来てもらった次第なのだが・・・・
ナ:あのさぁ、あたし、まだ包帯取れてないんだけど??
マ:それは別に構いはせんよ。
それでは、まづ初めに臾魅からだ、お前『炎』の方は使いこなせるようになったか?
臾:へ?あ・・・はぁ、まぁなんとのう・・・・。
マ:なんだ・・・・頼りないやつだな、まあいい。
ガサゴソ・・・
(ここでシホ、あるものを臾魅の前に出したのです。
よくみると、それは木箱であり、その箱には厳重な封が・・・
梵語で綴られた呪符が、十重にも二十重にも施されていたのです。)
マ:お前、この箱に見覚えは?
臾:あ・・・・っ!こ、これは・・・・
母ァちゃんの・・・母ァちゃんのやあらへんか??
マ:その通りだ、お前の母より、私が預かっていたものだ。
霞織から、お前が『炎』を使いこなせるようになったら、これを渡すように・・・・とな。
コ:なんなのみゅ?
乃:・・・なんでしょみぅ・・・・・。
臾:・・・・やっぱりそや、『角鬼腕:氷室』や・・・・。
マ:炎は扱えても、氷の方は・・・・どうかな? しかも、それを同時に!!
臾:ええっ?!ど、同時に・・・でっか? ム、ムリやわそんなん・・・。
マ:ほう、できんか?
だが、お前の母は、それを使いこなす事によって、“ストライカー”として名を馳せたものだぞ?
臾:か、母ァちゃんが??
・ ・・・・ほんなら・・・・うちにも、できるか・・・・なァ?
マ:出来なくてどうする、お前は“夜叉”の末裔なのだろうが、
それに、お前の母を超える使い手になってみたいとは思わんか??
臾:(う・・・っ!)分かった・・・・分かりましたがな。
うち、それ言われると、めっちゃ辛いねん・・・・
分かりました!精一杯やらしてもらいまっさ!
マ:(ふぅ・・・手間のかかるヤツめ・・・)
よし、続いてはナオミだ。
ガサゴソ・・・・
(そして、またも、木の箱を目の前に差し出すシホ。
しかし、今度のは、先程の臾魅のものよりも厳重なものが・・・)
マ:お前にはこいつをやろう・・・・。
だが、正直私としては、賛同できかねるのだが・・・
もう一人の私たっての願いだからな・・・・いたしかたがあるまい。
ガタ・・・
(そういわれ、ナオミ、訝しげにもその箱の蓋を開けてみるとそこには・・・・?)
ナ:(うんン??) な、なんだ・・・?こいつは・・・銃???
(見ようによっちゃあ、生き物にも見えるけど・・・・)
マ:そいつは・・・・その武器銘は、『魔銃:ストラディ・バリウス』!!
J:(ええっ??!そ・・・・それ・・・って!!)
婀:な・・・・・っ、何?? ス、『ストラディ・バリウス』じゃと??!!(バ・・・・バカな!!)
お:い、一体どうしたの?婀陀那ちゃん・・・・
婀:あ・・・・あの・・・・行方(ゆきかた)知れずのモノが・・・・
よ、よもやこのようなところにあった・・・・とは。
お:で、ですから・・・・説明して下さらない?
婀:あれは・・・・ですなぁ、 銃 とは申しても、その実は魔界の生物なのですよ・・・。
お:ええっ!!?そ・・・・そんな・・・・
婀:・・・・シホ殿! いや、シホ殿の体を借りし悪魔よ!! 妾は知っておるぞ!!
かつて、それを手にしたもので、この世に生きておるものなど、おりはしないという事を!!
コ:ど、どういう事なんですみゅ!!?
婀:昔・・・・何かの書物で眼にした事がある・・・・それにはの、こう書かれてあったのじゃ、
“かつて、『魔銃』と呼ばれるものあり、
その形状、怪異なれどその威は凄まじきもの也。
されど、持ち主の身を喰らいて存在する也。
持ち主の心、強かりし時には、その力 超人的に発揮する也。
されど、その心、折れし時には
そのモノの糧とならん・・・・。”
婀:・・・・・とな。
ス:そ・・・・っそれじゃあ・・・。
婀:そう・・・その心が折れぬ限りは、その所持者は、文字通り最強の存在・・・・
じゃが、一度(ひとたび)心が折れてしまうとなると、
たちどころに『魔銃』に、身も心も食われてしまう、という算段になっておるのじゃ。
マ:まぁ、そういうことだ・・・。 どうだ?怖気(おじけ)づいたか?
ナ:・・・・冗談だろ? あたしをこんな無様な目にあわせてくれたヤローを・・・・
あたしはヤツを許しゃしないよ、頂こうか・・・・そいつを・・・・・。
マ:なら・・・・契約は成立・・・・だな。(ニ・・・)
婀:な・・・・お、お待ちなされ!ナオミ殿!! 今一度考え直されてはいかがか?!
ナ:・・・・心配してくれてるのは、ありがたいんだけどさ・・・
折角くっついてるこの腕、元の反応に戻る保証なんてどこにもないんだしさ・・・・
それに・・・・こいつは賭けなのさ、この命、喰われようが、何されようが・・・・な。
ようは、心が折れなきゃいいんだ、そうなんだろ?元締め。
マ:いかにも・・・・。(いい度胸だな・・・・私は、お前が気に入ったぞ・・・)
それでは・・・・これより儀式を始める・・・・。
古の契約に基づき、我れはその力を求めん、我が身に宿りて契約の効力とならん
『プロミサイズ』!!
バチッ! バチ・・・・バチ・・・・
グ・・・ッ ブジュルルル・・・
ズ・・・・ ・・ズ・ズ・ズ・ズ・・・・・
ナ:う゛・・・・っ! う・・・・うぐあぁぁ!!
バチッ!−☆ バチ・・・・
シュウ ウゥ ゥゥ・・・
マ:・・・・どうやら、無事済んだようだな、暫くは動かさんほうがいいだろう。
それでは、私はこれで失礼させてもらうよ・・・・。
お:な・・・なんだか、とっても大変な事になってきましたわね・・・・。
(そして、教会から出て、それぞれの家路につく途中・・・・)
臾:な、なぁ・・・ひぃさん。
お:はい、なんでしょう?
臾:あの・・・・ちょいと、明日から特訓につきおうてもらえへんやろか?
お:あなたの・・・・その『炎』と『氷室』についてですわね・・・・。
臾:(コク)
お:分かりました。 わたくしも、一度乗りかかった船ですからね、
知らん振りをしておくわけにもいかないでしょう。
婀:それでは・・・・不肖、この妾も同行させていただきますぞ。
お:あら、ありがとう、婀陀那ちゃん・・・。
臾:おおきにな?婀陀那はん。
ナ:それじゃ、その特訓あたしも付き合わせてもらうよ。
お:え・・・・?で、でも、ナオミさん、あなた、その腕・・・・。
ナ:へへっ、どういったワケだかね、ほれこの通り。
ス・・・・ ・・はらり
お:あ・・・・。(ぜ、全快・・・・している??)
ナ:けどね、違和感全くない・・・・って言えば、そうでもないんだけどね。
サ:そんじゃあ、その特訓、オレも付き合ってやろう。
コ:あたしもいくみゅ〜〜〜!!
乃:・・・・あたちも・・・・・・。
J:あっ!あたし、あたし! あたしも忘れちゃいかんですよ〜〜っ??!
ス:・・・・・ワシはどうすべぇか??
お:あら、あなた・・・・お留守番でも構いませんのよ?
ス:んン〜〜ひぃちゃんのいっけづぅ〜〜
ワシだけ仲間はずれはヤ〜〜なのよ?
お:仕方が・・・・ありませんですわね。
では、なるべく足は引っ張らないで下さいな?
ス:うっへぇ〜〜〜い。
(なんと、ひょんな事から、臾魅、ナオミの特訓に付き合うことになったギルドの人達。
これからど〜〜なっていくのでありましょうか???
それでは、続きは次回の件(くだり)まで・・・・)
――――了――――