<漆>
〔怒りに任せ、己のもつ発雷の能力を、相手に向け放つイゾルテ・・・・そして、その技能をもろに受けるジィルガ・・・・
が―――・・・しかし?〕
ジ:この程度の・・・・雷で、私を屈せるものと、思ってるのではないでしょうね・・・・。
サ:ナニ―――? アレだけの雷撃を受けて・・・ヤツは不死身?
〔そう・・・その身に受けているのは、100万vの電流・・・普通の身体を持ち合わせている者ならば、一瞬のうちに黒焦げに・・・
でも、ジィルガは、それを受けても、実に平然としていたのです。
その事に過(よ)ぎる“不死なる身”の影・・・と、そう思っていた刹那―――〕
ジ:・・・・。(グラ・・・)
―――どさっ!―――
臾:ゅ〜〜て、ぜんぜん平気やないやんっ―――!
ナ:い・・・いや、違うぞ! みてみろ、アレを・・・
―――ぶすぶす・・・ぐずぐず・・・―――
臾:あり?? 形が―――・・・崩れてもぅたやん・・・
バ:あれは―――・・・変わり身。
イ:なんだと―――・・・?
ジ:フっ―――・・・貴様達は・・・よくこの手に騙される・・・。
イ:(ナニっ?!) ぅお―――・・・キ、キサマ・・・いつのまに?!
ジ:(ふぅ・・・)(パカ)・・・・どうやら、時間ね。
愉しく―――・・・は、なかったけど、寝る前の準備運動程度にはなったわ・・・それでは、明日も朝が早いから・・・・
グーテン・ダーク、イゾルテ・・・・。
〔いきなり大言壮語した者が倒れたか―――と、思いきや、その形は、灰になり崩れ去り・・・
しかし、それはいわゆるところの“変わり身”の術であり、だとすると・・・ジィルガの本体はどこへ?
すると―――・・・イゾルテの真背後からは、不敵な笑みを漏らすものが・・・
そう、このウイッチと称する者は、皆の見ている前・・・で、あるにもかかわらず、
この悪鬼の背後まで忍び寄っており、総てにおいてのイニシアチブを取っていたというのです―――・・・
それから、彼女のしたこととは・・・おもむろに、持参していた銀の懐中時計を開け、
時間の確認をしたあと・・・の事は、言わずもがな・・・だったようです。〕
バ:(凄まじきは・・・これが本場・・・と、言うヤツか―――)
サ:(噂通り――― いや、それ以上・・・だな。)
ナ:(お・・・畏るべきはウイッチの―――)
臾:(は・・・はわわ・・・)
ジ:なにやら、バタバタしたけど―――・・・とりあえずは終わったわね。
ねぇ―――・・・あなた達・・・。(クル)
バ:――――・・・・。
サ:――――・・・・。
ナ:(ッ・・・・く!)
臾:(ヒ―――・・・!!)
ジ:(ん?! うふふ・・・)アハトゥング。
バ:(なに??)
サ:(あはと―――・・・?)
ナ:・・・??
臾:・・・・・。(←気絶寸前^^;;)
ジ:アハトゥング―――・・・『傾注』つまり、こちらに注目せよ・・・と、言うことよ。
ねぇ――――あなた達・・・現在(いま)自分が人間である事を・・・感謝しておきなさい。
では――― グーテン・ダーク。
〔そう――― 終わってみれば、彼女へと続くところ、屍山血河が累々と築かれていたわけであり・・・
その事は同時に、ジィルガ=魔女という図式が、否が応でも成り立つことでもあり・・・
しかし――― 一番に憂慮しなければいけないことは・・・・
彼女は、自分達を手伝いにやってきたわけではなく、寧ろ――― こちらの粗を探し、仕置くこと・・・・
そして――― 元締め・シホのいる教会で、今回の仕手の終了を報告をしようと思ったところ・・・・〕
マ:おお――― 戻ったか。
ところで―――・・・顔色が優れないようだが・・・・何かあったのか?
サ:ぁあ? ああ―――・・・いや、なぁ・・・出会っちまったんだよ・・・。
マ:ナニが―――?
バ:ナニが―――・・・ってな、例のヤツ・・・ウイッチが・・・さ。
あれは相当なもんだった・・・な。
こいつは、うかうかしてると、あの大鎌で頸をスッパリやられかねんぞ―――
ナ:ま・・・またぁ、変なコト、いいっこなしですよ??
バ:あっ―――・・ああ・・・。
臾:せやけど――― 何ぞ、変なきんちょー感ありましたなぁ。
あ゛〜〜・・・お蔭でのど乾いてもーたがな・・・つめたぁ〜い茶でもしばきたいわァ・・・・。
―――はい、どうぞ・・・―――
臾:あっ・・・コラまたおおきに―――・・・・(って) ブッ!!
ナ:えぇ・・・・って、ぇええ???
バ:な・・・なんで――― あなたが、ここに・・・?
ジ:うふ、よく考えると、こんなに遅くなってしまっててェ・・・・そうしたら、お屋敷の門も閉まっていることでしょうしィ・・・・
ですからァ、一晩だけ、こちらに泊め置いてもらう事にしたんですゥ。
サ:(い―――・・・意外とちゃっかりしてんな・・・こいつ。)
〔なんとも―――・・・そこには、先に去っていたはずのジィルガ女史がこの場に??
どうやら――― 彼女の逝く処、波乱万丈―――・・・と、言ったところのようです。〕
―――了―――