<伍>
〔が―――しかし・・・ここで運命の悪戯か・・・
この夜、自宅に戻り、風呂上りの一杯を引っ掛けついでに見たメールの中に、
その“裏切り者”が、誰であるかを臭わせるモノがあったのです・・・。〕
バ:ぷふぅ〜〜―――ッ・・・。
さぁて・・・メールは・・・と。(カタカタ・・・)
ふぅん―――・・・5件・・・か、そのうちの一件が、重要度の高い―――― うっ!! こ・・・これは!!
〔そう―――― そのメールには、本文はなく・・・その代わりとして、一つの添付ファイルがあったのです・・・・
しかも、それは――――・・・〕
バ:こっ――― これは・・・! 魔界の貴族の家系図・・・一体どこの―――・・・
な・・・・ぐ・・・・
ナグゾスサール
な・・・っ!! ナグゾスサールだって?!! お、大物中の大物・・・
そ、それがなんだって・・・こんな家の・・・家系・・・図・・・・が・・・(ぅん?)
〔今、バーディーがもらした、『ナグゾスサール』という家名は、実は魔界の貴族の家柄の名前・・・・
しかも、この家は、魔界では相当名の通っていた、いわば『名門中の名門』であり・・・
かつての“神界”との紛争の折には、一群の将を輩出したほどだったのです。
そして――― その系譜のうちで、最も最後尾に当たる者の名・・・つまりは、現在の当主か、あるいは世継ぎの名が―――・・・〕
バ:な―――・・・なんだって!!? じ・・・ジィルガ?!!(ワナワナ・・・)
〔そう・・・その最後尾に記された者こそ・・・
ジィルガ=ナハトミュンゼン=ナグゾスサール
なんと、くしくも、あのジィルガ女史と同じ名が、書き記されていたのです。〕
バ:う・・・うぅむ・・・。(こ、これは・・・名が名だけに、慎重に取り扱わないと・・・・いけないな。)
厄介なことに、ならなければいいが―――・・・・
〔こうして――― あくる日からバーディーは、ジィルガを重要参考人としての目で、見るようになっていたのです。〕
ジ:ほらっ―――そこ!! だれてたりするんじゃあないわよ―――!!
臾:うっへぇ〜〜きびしィお人でんなぁ・・・かなわんがな、実際・・・
ナ:ちょ―――ちょと休憩・・・・(はひ――はひ――)
ジ:もう――― そんなことでどうするのよ! あなたたちが休んでいたって、ヤツらは待ってくれないのよ!!
臾:うっへへぇ〜〜い・・・分かった、分かりましたがな・・・(とほほ)
ナ:な・・・なんだか、話が違うぞ?!!
ジ:つべこべ言ってないで――― さっさとやる!! ハイ、あとたったの200,000回!!
臾:へ・・・へろへろぉ〜〜
ナ:か・・・カンベン・・・
サ:ほ――― 早速しごかれてるようだな、日頃あんなんだから、どんなもんかと心配してたんだが・・・
バ:(ふむゥ・・・余り、仲間をそういう目で見たくはないが・・・この際だから、仕方があるまい。)
なぁ―――サヤ、今日のあの人・・・どうだった?
サ:あぁ――? どう・・・って、この前とかわりゃあしねぇよ。
臾:ほやなぁ〜〜―― 今日もまた、見せ付けてくれよるもんなぁ・・・かなわんで、実際・・・。
ナ:な゛ぁニイィ〜〜〜?!#(ギリギリ・・・)
バ:いいから、お前はすっこんでろ―――・・・(バカが・・・)
ナ:えっ――― でっ・・・でも・・・はぁい・・・。(しょんぼりん)
バ:全く・・・ガキが・・・。
(まぁしかし・・・普段が普段でも、いざターゲットと対峙したときに・・・ってコトもありうるからな・・・
それに、そんな事象も二・三報告あることだし・・・)
しかし―――・・・いやな気分では・・・・あるな。
〔そう―――ここ二・三週間は、何事もなく、平穏無事そのものだったのですが・・・
バーディーが、そのことを忘れかけていた頃に、問題の芽は、発芽し始めたのです・・・・・。〕
―――了―――