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(そして・・・アダナの自宅にて、傷だらけのヱルムの体を、優しく丁寧に拭いているエリアがいます。)

 

エ:よいしょ・・・よいしょ・・・。 はい、ヱルムさん、これできれいになりましたよ。

 

ヱ:ありがとう、エリアちゃん。

  あの・・・私、もう少しでここを出ますから・・・・。

 

ア:あ? 何??  お前、何バカな事をいってんだい。

  自分ち、あんなんされて、いいわけないだろ?

 

ヱ:いいえ、いいんです。

  私がここにいたら、いつかは、あなた達まで危害が及んでしまう・・・。

 

  それだけは避けなくては・・・。

 

ア:はッ!! じょーとーだね!  ヤれるもんだったら、ヤってもらおうじゃあないのさ。

 

 そんの変わり、こちとら襲われてたってなんもしてやんなきゃいいのさ!

  ちったぁ、私らのやってることのありがたみを知るいい機会ってなもんさね!

 

エ:(クスクス・・・) アダナ様ったら、まるで喧嘩した時の子供みたいですね。

ア:あぁ? そりゃね〜ぜ? エリア・・・。

ヱ:まぁっ。(ウフフ・・・・)

 

 

エ:あっ、ヱルムさんやっと笑ってくれた・・・。

ヱ:え・・・・。

 

エ:やっぱりヱルムさん、笑っている時の顔のほうが、私一番好きだなぁ・・・。

ヱ:エ、エリアちゃん・・・。(じわっ)

 

ア:っつたりめ〜よ! そんなん冥い(くらい)顔のお前なんて、一つも似合っちゃいね―ぜ。

 

ヱ:ア、アダナさん・・・ありがとう・・・。

  二人共・・・本当にありがとう・・・。

 

 

ア:あ、それからな・・・お前、当分ここ使いなよ。

  恐らく、お前の家、住めなくされているだろうからさ・・・。

ヱ:ご免なさいね、何から何まで・・・。

 

ア:何、水くせ〜事言ってんだよっ! お前は私の大親友 様・・・だろ?

ヱ:・・・・・・・はい。(ポロポロ)

 

(この時、ヱルムの口から出た言葉は、殆ど(ほとんど)声にもならず、ただ落涙するのみ・・・・だったそうです。)

 

 

 

ア:それによ、もう・・・義理立てなんかして、ミッションなんかしなくていいんだぜ?

  お前さえよけりゃ・・・ギルドを辞めて、ここも引き払って・・・・。

 

そうだなぁ・・・・どっか違う場所で、三人一緒に暮らせれば・・・・なぁ?

 

ヱ:・・・・・・・。

 

ア:まっ、気長にいこーや。  もう、滅多な事じゃ死なねー体持っちまったんだし・・・。

  もちっと、この体を有意義に使ってだな・・・・

エ:それでしたら、ハンター辞める必要ないのでは??

 

 

ア:・・・・・へ??

 

エ:だって・・・もう、お二人共、死なない体になられたんでしょう?

  それに、魔力の方も大きくなられたようですし・・・。

 

ア:・・・・・・・・・・・・・・(考え中)(む〜〜〜〜)(考え中)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

 

  言われてみりゃそうだよな。

 

 

エ:それに、ジョカリーヌ様のように世の為、人の為に尽くされてみては・・・・・

 

ア:あ゛〜〜〜っ!!   そういえばあの人、あんなんだとは思わなかったよなーっ!!

 

ヱ:え・・・・どういう事です??

 

ア:あぁん? そりゃ、おめー、血塗れ(ちまみれ)のお前見て “汚らわしい!” の一言だぜ?!

  しかも、挙句の果てにゃ “出て行け!!” だもんなぁ〜〜。

 

  見損なったぜ。

 

ヱ:そう・・・・そんな事が・・・。(しゅん)

 

エ:あ・・・・っ、

って・・・でも、あの方にはあの方なりの考えがあっての、言動だと思いますよ???(あせっ)

 

ア:そっかぁ・・・? でもなぁ・・・・。

 

エ:き、きっとそうですよ!!!(あせ、あせっ)

 

ア:・・・・ま、エリアがそうまで言うんだったんならそうなんだろ・・・。

  んな小難しい事、私にゃわかんないっしな・・・。

 

 

 

(上手く、エリアに、煙にまかれた感のあるアダナ。

でも、これで親友に危害が及ぶ事がないと確信がもてる今、

もうそんな事はどうでもよくなっていたのかも しれませんね・・・。)

 

 

 

 

――――了――――

 

 

 

あと