<X>
ハ:ジ、ジョカリーヌ様! も、もうダメです。 持ちこたえる事が出来ません!!
ハ:ど、どうかお逃げください!!
ハ:最終防衛ラインが突破されました! も、もうここもムリです!!
ジ:・・・・タルタロス殿よ。
タ:はっ!
ジ:あの四人の事・・・頼みましたぞ・・・。
タ:・・・・ははっ!!
ジ:(ギロッ!) うろたえるでないわ! 皆の者よ!!
ここの最終防衛とは即ち(すなわち)妾の事、軽々しく破られたと云うでないわ!!
妾が敗れて初めて、その言葉を使うがよい!!
ア:でぇぇっ?! も、もしかして・・・あの人 一人であの軍勢相手にしようってか??
む、無茶な事を言うぜ・・・全く。
ジ:ほほぅ、妾の事を心配してくれておるのか、アルディナよ。
フフフ・・・、妾も、未熟者に心配されるようになった・・・とはのぅ。
ア:な、なんだよぅ、その言い草! 折角こっちは心配してやってんのにさぁ。
ジ:おぉ、それは悪かったのぅ。
ナニ、これは妾も落ち目になったかという嘆きの言葉じゃよ、案ずるな。
それに、この程度のレベルの軍勢では、妾の・・・・相手にはならぬよ・・・・。(ニィ・・・)
ア:な、なんだっ・・・・(??) ぅ、うおおっ??!(シュィイ・・・ン)
ソ:・・・・まさか、あやつ・・・あれを使うつもりではなかろうな。
エ:(フフ・・・) まさか・・・でなくて、そのおつもりのようですよ、ソロン様。
ア:『あっ! おい!! ちょぃと!!?
なんなんだよ! あれ とか まさか ・・・って!!』
ソ:・・・うるさい、静かにしておれ、アルディナよ。
(ふうむ・・・)
おい、若造、そこにおっては、お前も被害を被るであろう、こっちに来い。
タ:えっ?! あっ・・・・あぁ・・・。
な、なぁ・・・これから一体何が始まろぅってんだ・・・・?
ソ:むぅんっ!
ジャキン! ザスン!
ヴヴゥ・・・ン
(ソロン、一瞬のうちに覇蝕の剣を創造、そしてすぐさま地面に突き立て、結界を張り巡らせたようです。
どうやら、これから想像を絶するような事が起こりそうです。)
ソ:まぁ、黙って見ておれ。 これから、そうそう滅多に見られぬものが見れるのだからな・・・。
ア:『え?』 タ:え・・・?
エ:(フフッ)
そう、あれこそは多対一でその本領を発揮する、
この現世においては、現存する術の中でも最高峰に位置するもの・・・。
ヱ:うっう・・・、あ・・・・。 (はっっ!!)
わ、私は・・・・コーディは??!
コ:うぅ・・・。 あ・・・・(ぼ〜〜) え?!(がばっ!)
あ・・・、わ、私・・・生きている?
エ:お二人共、お目覚めのようですね。
コ:えっ?! あっ・・・は、はい。(だ・・・誰? この子・・・)
ヱ:エ、エリアちゃん。 それに・・・・ジョカリーヌ様まで?!
コ:(エリア・・・? じ、じゃあこの子が『特別クラス』の??)
え・・・? は、はああぁぁ! な、何?
あの、お方様の前と後ろにある 黒き物体 と 白き物体 は??!
エ:あれこそは、これからの術式に欠かせない、大変必要な物。
皆様も、見逃す事のないよう、刮目(かつもく)して見ていて下さい。
(そう、そこには、一人のリッチーを挟むようにして発生した、『黒洞球』と『白洞球』と呼ばれる物体が。
しかも、それは、全ての生きとし生ける者達から、力を吸い上げる為の魔力の集合体だったのです。)
ジ:ダーク・エィンシェント・・・・ロウ・エィンシェント・・・
(機は熟せり!!)
イール・レハウス・ヴィダ・ディスディグマ・アーカム・アーカム・イズ・ディスディグマ・ディベストロイ
{天と地と人に充つる力の源よ、妾に古(いにしえ)の破邪の力、乾坤の神の力を付与し給わん}
ふ・・・っ、神罰を受けるがよい。
『封神七十八式流星烈光乱舞』!!
<ジオ・ダ・レイ>
(ジョカリーヌの前後に発生していた、その物体は、やがて一つの青白い球体へと変貌を遂げていったのです。
そう、それこそはまさに、この世に介在する全ての力の源・・・・。
そして、それは、ジョカリーヌの呪文と供に放射され、数千、数万はいたであろう魔物の軍勢を・・・
その影を残す事すら許さずに・・・・
全てを消滅させてしまったのです・・・・。)
ア:『う・・・っ、うっわぁ〜〜・・・す、すっげぇ。 あれが、リッチーの本来の力・・・。』
ソ:(ふ・・っ) いつ見ても綺麗よなぁ、あれは・・・。
ヱ:本当・・・、まるで流れ星みたい・・・。
コ:でっ・・・でも、あんなにいた敵が・・・一瞬のうちに、消滅してしまうだなんて・・・。
エ:フフフ、本当に、見ているだけならとても綺麗ですよね・・・。
でも、 あれ には当たりたくはないですね。
ア:ぃええっ?! それ・・・・って、どういう意味だい? エリア。
エ:あら、アダナ様、いつの間にか、変わられたようですね。
ア:(へっ?) あ・・・っ、そういえば・・・。
エ:( うふふふ・・・) そう・・・あれは、太古の昔、まだこの世に、法も秩序もなかった頃。
『次元の調停者』と名乗る者達が、数多(あまた)の魔神や悪魔達を調伏(ちょうふく)した時の御業(みわざ)。
それを、後世(こうせい)の者が扱いやすいように、レベルを落としたのが、今の術だと言われています。
ヱ:(はぁ・・・っ) でっ・・・でも、今 詠唱していたのは・・・。
エ:そう、 ハイ・エィンシェント(古代語魔術) ですけれど、その力の領域は『神霊力』、つまりは・・・
コ:『ホーリー・アート』(神霊魔術)・・・・・。
エ:そうです。
タ:し、しかし・・・レベルを落としていたとはいえ、あの威力は・・・・。
エ:(ニコ) そうですね、それを考えると、オリジナルの凄さと言うのが窺い(うかがい)知れます。
コ:(そ・・・それを簡単に言ってのけるなんて・・・・この子・・・一体??)
ア:(この術・・・それに、『次元の調停者』? 初めて耳にすることのはずなのに・・・
懐かしい感じがするのは何故・・・・?)
あ・・・・っ、ジョカリーヌ・・・・さん。
(そう、そこにいたのは、先程まで鬼神をも寄せ付けぬような形相をしていたリッチーではなく、
いつも通りの優しいジョカリーヌがいたのです。)
ジ:お主ら、よう奮闘してくれたの。 妾は嬉しいぞ。
それでこそ、この妾の自慢の教え子というものじゃ。
ア:ジ・・・ジョカりん。 ヱ:ジョカリーヌ様。
コ:(なんて、すばらしいお方・・・。) エ:(さすがね、ジョカリーヌ)
ジ:明日、皆に特別伝える事があるから、遅れる事の無い様にのぅ。
特に・・・お主は、な?
ア:へっ?!! は、はい!
ヱ:ぷっ!(クスクス) コ:まぁっ!(クスクス)
エ:ウフフ・・・。 タ:・・・・・・。(フッ)
ジ:(フフフ・・・) では、お主らも、今日は疲れたであろうから、家に帰ってよく休むがよい。
後の事は心配いたさずとも、処理班がやってくれるであろうからな。
一同:はいっ!!
(ジョカリーヌのねぎらいの言葉により、各自の家路につく一行。
しかし、ジョカリーヌと長老、そして八部衆の面々は、まだそこにいたのであります。)
ジ:いかがであったかの、お主らの双眸(そうぼう)で見たものは・・・。
八:はっ、正直あの者達に合わす顔がございませぬ。
八:まさに目から鱗が落ちた由(よし)にございますれば・・・。
ジ:それでは、妾の意に同じてくれると申すのじゃな。 例を言いますぞ。
八:いえ、勿体のないお言葉で・・・。
長:ふふっ、これでまさに『雨降って、地 固まる』・・・ですな。
ジ:それでは、これからも ギルド の為に、ご尽力して下されよ。
八:いえ・・・残念ですが、それはできません。
ジ:なんと・・・?
八:我ら八名、曲がりなりにも、一度は未来の長老に弓を引いた格好なれば・・・
ジ:・・・・しかしのぅ、面と向かってやったわけではないのじゃから・・・。
八:いいえ、これは ケジメ でございます。
無論、かの決議には、一同 意を唱える者等おりませぬ。
八:ですが、そうと決まった以上は・・・我らはここにはおれません・・・。
ジ:そうか・・・ケジメか。 なれば、いた仕方のなき事よのぅ・・・。
長:先生、そうご案じなさるな。 彼らなら・・・きっとやってくれますよ。
あの、絆の深き者達なれば、きっと将来も安泰なはずでしょうて・・・。
ジ:(坊主・・・) そうか、そうよの。
いつまでも、この老骨がしゃしゃり出ておるわけにも、そうそういくまいて・・・のう、みなの衆。
八:そうですとも、これからは、若い者達の力で、ここを・・・・、
時代を切り開いていくものですからな。
(彼らの・・・この十人の決めおいた事とは、一体なんだったのでしようか。
確実に分かっている事柄だけを述べれば、八部衆の総辞職に、長老職の交代。
それと、気になるのはアダナのあの一言・・・・なのですが。
それはいずれ、後のお話にて・・・・・)
―――了―――