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ヱ:はぁっ・・・ぅぅ・・・。                                             タ:こっ・・・・これが・・・・。

ソ:『次元の雷』・・・・。                                                 ジ:(カミイラ・・・・) なんとも、不憫な・・・・。

 

 

エ:・・・・そうね、あの人も もう少し自分というのを識っていたなら、こうはならなかったでしょうに・・・。

  どれ・・・・あともう一つ・・・。   戻れ、我が飛槍よ・・・。

ヒュゴオオォォ・・・・

 

(エリア、何処かへ去ってしまっていたであろう、自分の火槍を呼び戻すと、氷の棺の前まで歩み寄っていったのです。 そして・・・)

 

エ:むんっ!

シュパァッ!

ザパァ・・・・・

 

(そして、その槍の一振りで、瞬時に氷の棺を解凍してしまったのです。)

 

ジ:(な・・・・なんと・・・。 この・・・永久氷壁並の凍度を誇る氷の棺を・・・ただの一振りで・・・)

  なんとも・・・恐るべき槍じゃ・・・。

 

エ:ジョカリーヌさん・・・お願いがあるの。  大至急、二人が入れる魔法陣を作ってくれませんか・・・。

ジ:あ・・・う、うむ。

 

 

 

タ:おい! アダナ! しっかりしろ!!                                   ヱ:ア・・・アダナさん! アダナさん!!

ソ:むぅ・・・いかん! 体力が弱りきっておる・・・。  今度ばかりは流石に・・・。

 

 

 

エ:ソロン様! タルタロスさん!  早くアダナ様とヱルムさんをこの中に!!

ソ:うむ!                                                               タ:よし、分かった!

 

 

(そして、その魔法陣の中に、アダナとヱルムを入れたのです。  これから、彼女は何をしようというのでしょうか・・・?

そんな中、刻一刻と弱まっていくアダナの心音。   そして・・・・それは、やがて・・・・止まって行くのです・・・。)

 

ヱ:あぁ・・・・アダナさん! アダナさんッッ!!                         ソ:ム・・・ムダだったか・・・・。

タ:おいっ! アダナーっ!!                                             ジ:(アルディナ・・・・!!)

 

トクン・・・・

 

トクン・・・

 

トク・・・

 

ト・・

 

 

 

 

 

ヱ:い・・・いやああぁぁぁ・・・!!

 

ジ:エ、エリア殿??!

エ:(今!!)

 

(すると、それと同時にエリアが、呪文の唱和に入ったのです。 しかもそれは・・・ジョカリーヌでさえ知らない秘儀中の秘儀だったのです・・・。)

 

エ:

ヴェル・ハルゥラ・マガァウラ・パラライソ・リュゥレ・ハ・ラクィレ・ラニ

(大いなる大地を司りしマグラの神よ、彼の者達に不死なる生を与え給わん)

『マーティ・レイズ』!!

 

(すると・・・呪文の唱和が終るのと、ほぼ同時に、無数の光が・・・・心休まる、温かなる光が、アダナとヱルムの二人を包み込んだのです。)

 

 

そして・・・

 

 

 

エ:ふ・・・・うっっ・・・。(ガク・・・・)

ジ:エリア殿・・・・も、もしやこれも・・・『竜言語』?

エ:流石に・・・察しがいいですね・・・・ジョカリーヌ・・・さん。(ふぅ・・・はぁ・・・)

ジ:(なんと・・・妾の時や、カミイラと闘りあった時には、息一つ乱さなかったお方が・・・・これ程までとは・・・)

  大丈夫なのかえ? そなた・・・。

 

エ:今回ばかりは・・・・疲れちゃった・・・。  だって、今のは“秘中の秘”、簡単に使う事を許されない禁断のものなのですから・・・。

ジ:なんと・・・・それでは『禁呪』?!

エ:そう・・・・呼ばれることもあります・・・。  それに、これと似たようなものも、こちら側では存在するようですし・・・・。

ジ:(なんと・・・) では、その“似たようなもの”・・・とは?

 

エ:7,800年前、あなた達二人が習得したものです・・・。

ジ:(7,800・・・・) そうか、そういう事でありましたか・・・。

エ:これで・・・・ヱルムさんも寂しい思いをしなくて済みますからね・・・・。

 

 

 

さて エリアが、アダナとヱルムの二人に施したものとは一体なんなのでしょうか?

それと エリア、ジョカリーヌの言う 7,800年前 には、何があったというのでしょう?

そして・・・彼女が言った最後の言葉・・・『エルムも寂しい思いをしなくてすむ』とは・・・?

 

 

総てが謎に包まれたまま・・・

ヴァンパイアの王城には・・・寂寥たる薄闇が近付いていたのです。

 

 

 

 

―――了―――

 

 

 

 

まえ                           あと