<七>

 

清:オレは―――『全国大会』で優勝し・・・一度は頂点に上り詰めた・・・。

  でも、その当時の―――『剣の道』の記者にこういわれたんだ・・・。

 

 

―――では・・・その一部始終を、御覧頂きたい・・・―――

 

 

記:(雑誌『剣の道』の記者、一応女性のようではある・・・。)

え〜〜・・・ども―――雑誌・『剣の道』のもんッス〜〜―――

  えぇ〜〜―――青木清秀さん・・・ですね、え〜〜この度の『全国』での優勝―――御芽出とうでござんす。

 

清:(青木清秀;当時18歳)

  あぁ・・・どうも有り難う御座います―――

 

記:(にッ)ところで〜〜〜ですね・・・二・三質問してヨロし?

清:ええ―――どうぞ、なんでも・・・

 

記:うちも―――まァ見さしてもろうたんじゃけども・・・

  清秀さん?あんたのあれ―――“示現流”じゃろ?

清:ええ―――・・・そうですが・・・(この女性・・・広島弁??)

 

 

〔その記者は“女性”であり―――話し方に少々特徴があるものの、自分のか前などを見ただけでその流派を知る・・・

とは、中々の知識を備えている―――と、当時の清秀は思ったのです。〕

 

 

記:ふぅ〜〜ん・・・“示現”と云やぁ数ある流派の中でも、“実戦”を重視してきたところのよのぉ〜〜・・・

  それを会得しようと思うたんは、どうしてなん?

 

清:ボクは―――元々が九州は鹿児島出身ですから・・・

  それに、示現のお膝元でもあるわけだし―――・・・

 

記:なるほどのぅ〜〜・・・つまり―――自然に身についた〜〜―――と・・・

  しかし、なんですのぅ〜〜―――えっろう若いのに、『免許皆伝』、果ては自分の腕を試すべく「全国」に進出・・・・

  そこで、並み居る強豪・剣豪を撃破し・・・優勝した―――・・・と・・・(さらさら〜)

 

清:は―――はぁ・・・有り難う御座います・・・

 

記:これからの、日本の剣道界、背負って立つ逸材―――っつうやつじゃのう。(すらすら〜〜パタン☆)

 

  ――――じゃが・・・しかし・・・うちから言わしてもらやァ、そんなんパンピーと同じ目線で・・・の、話しじゃ。

 

清:(は―――・・・)えっ?な、なんですって―――??!

  も、もう一度言ってみてください―――!!

 

記:(フフン―――・・・)気に・・・したんなら、謝ろう。

  すまんかったのぅ―――(ペコリ)

 

清:ちょっと―――あんな気になる言い方をされて・・・それで謝られても、納得いかないでしょう―――!!

 

 

〔それは―――・・・いまだ若年の清秀には、わからなすぎることでした・・・

それを――― 一見だけの・・・雑誌の記者・・・それも、自分とそう歳の差も離れていない女性に煽られたとあっては・・・

 

だから―――それゆえに・・・その時に知ってしまったのです・・・ある存在と、その場所を・・・〕

 

 

記:(フフッ――)気になるか―――お若いの・・・

  ほいじゃが―――今じゃッたら、このおしゃべりが過ぎる女の、ただの戯言で済ましてもかまわんのでぇ。

 

清:ボ―――ボクだって、剣の道を見極めようとしている者です!

  それを―――・・・あんな言い方をされて、黙っていられるとでも思うんですか?!!

 

 

〔それは―――・・・血気にはやる若者を・・・どうやったらそうなるか―――を、熟知している者の、いわゆるところの“勧誘”の言葉・・・。

 

そう―――今にしてみれば、あの言葉こそは、自分がこの世界を知るうえでの、パスポート代わりであり・・・

強いては、引き返す事の出来ない道でもあったことを、感じずにはいられなかったのです・・・。〕

 

 

記:(フフッ―――フフフ・・・・)その目―――うちがホンマの事を云わん限り、一歩も退けん―――ちゅうところのようじゃのぅ・・・。

  おっしゃ―――えかろう・・・(すらすら〜〜)

 

  この―――メモのところに行ってきてみぃ・・・ホイで、そこがどがいな処か―――骨の髄までしみこませてみぃ。

  そしたら、何でうちがあがいなことを言うたんか、判るようになるじゃろう。

 

清:・・・・これは―――住所??

 

記:そおいうことよ―――

  ま・・・さっきのインタビューは、ばっちり記事にはしといちゃるけんな、そこは気にせいでもええことよ。

 

 

清:ありがどうございます――――

  では、これから・・・早速ここに行ってきてみたいと思います――――

 

記:ほいほ〜〜―――い♪ 行ってきんさぁ〜〜―――い。

  (フフ〜ン・・・お一人様、ごあんなぁ―――い・・・てか。)

 

 

〔清秀は・・・その記者が手渡してくれた住所のメモを基に、その場所に―――・・・

そう、高坂家にきていたのです。

 

そこは・・・まさに、TVの時代劇番組に出てくる『武家屋敷』そのもの・・・

威風堂々の正門に、またそれに見合った本邸宅・・・中庭も見事ながらも、ここがただならぬ空間だと感じたのは、

『練武館』と、銘打たれた、その家独自の 武道場 の存在だったのです。〕

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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