<伍>

 

(時には邂逅あり、時には対決あったりと、中々にこの組も有意義に交流を深められたようです。

 

ところが・・・・、そんな中、たった一本の電話によって、今までのこの和やかな雰囲気が

がらりと変わってしまったのです。)

 

 

プルルルル・・・

 

マ:うんっ?(ピッ) はい、もしもし・・・。  あぁ、私だが。

  ・・・・そうか、分かった。(ピッ)

 

 

臾:どないしたんでっか?

  元締めにしちゃあ、電話えらい短こぅおましたなぁ。

 

 

マ:(ふぅ・・・) ・・・・・残念な知らせだ。

  

  今より、数時間前、ここの本部が急襲、壊滅したそうだ・・・。

 

サ:な、なんだと??

ナ:そんな・・・バカな!!

臾:う、ウソやろ??

 

 

マ:いや、これは冗談なんかではない。

  しかも、たった一匹のヤツに・・・・な。

 

サ:ま、まさか・・・それ程の力を持ったヤツ・・・って・・・!?

 

マ:フッ、流石に察しがいいな、お前は・・・。

  そう、ランク“S” 我々の間では『オリジナル』と呼んでいるヤツだ・・・。

 

サ:(と・・・とうとう出てきちまったのか・・・・)

 

 

マ:サヤ・・・覚えているか・・・? ケース“M”を・・・。

 

サ:忘れられるかよ・・・。

 

あの時、おれ達の仲間の一人が、たった一匹の妖魔に、いいように嬲り殺しにあったじゃあねぇか・・・・

 

うん?? ま・・・まさか・・・?!!

 

マ:そう、その・・・・まさかだ。

 

 

臾:な、なんやっちゅーねん、気持ち悪ぅおますなぁ。

  で、何でっか? ケース“M” ッちゅーのは。

 

サ:いや・・・お前ぇは知らねぇ方がいい・・・。

マ:ケース“M”とはな・・・

 

サ:お、おい!!

 

 

マ:我々は、かつて、四人で行動をしていた時期があったのだ。

  

  私の『セイバー』 サヤの『ブレイダー』 そして、『スレイヤー』と『ストライカー』の計四人だ。

 

臾:ス・・・ストライカーってうちの母ァちゃんの事やないですか・・・。

 

マ:そして、その四人はヤツらからこう呼ばれていた。

  “死の四人組”別名『死天王』とな・・・。

 

ナ:は、初耳だな、そいつは・・・。

 

 

マ:だが、その『死天王』の一角が崩された。

  それが ケース“M” の由来だ・・・。

 

サ:そして・・・その死天王が、ストライカー。

 つまり、お前のおっ母さんなんだよ、臾魅・・・・。

 

 

臾:な、なんやてぇ? ち、ちょい待ち! うちの母ァちゃん ヤッたんは怒愚魔やないのんか??

 

サ:いや・・・あいつは、怒愚魔は、霞織に止めを刺したに過ぎない。

  本当の意味で、霞織を死の一歩手前にしたのは、  アビス のヤツなんだ・・・。

 

 

臾:そ・・・んな・・・、じ、じゃあ、うちの母ァちゃんの仇は、今まで、のうのうと生きとった・・・っちゅう事なんか?

 

 

サ:臾魅・・・・。

マ:とにかく、今回ばかりは相手が悪い。  手を出さんほうがいいだろう。

 

 

臾:じ、冗談やあるかい!!  何でや・・・?  何であんたら、そんなん簡単にあきらめられるんや??!

 

  う、うちはそうはいかんで?  こうなったら、うち一人でも・・・・。

 

 

マ:止めておけ、所詮レベルが違いすぎる。

  あの時・・・お前の母である霞織は、マスタークラスだったのに、全くといっていいほど、ヤツに歯が立たなかったのだ。

 

  今、お前がヤツとヤリあっても、無駄死にするだけだ。

 

 

臾:知るかい! んな事!!

  あんた・・・そんなん、うち行かしとうないなら・・・

ブチッ!                               コロコロ・・・・

(臾魅、エリにつけていた徽章をはずす)

 

臾:あんたらとの関係も、ここまでやわ・・・・・。  こっからは、フリーでやらせてもらうわ!!


バタンッ!−☆

 

 

(そういい残し、ギルドを飛び出していく臾魅。)

 

 

それよりも、驚いたことは、普段おどけた道化師を演じていた彼女が、

こと母親の事になると感情的になる・・・・ということだったのです。

 

そして・・・・よもや、またも、かのアビスによって犠牲者が出ようとは・・・

 

この時は、誰もまだ予測だにしていなかったに違いありません・・・・

 

 

 

――――了――――

 

 

 

あと