<拾参>
女:さぁ・・・・・誰から、そうなりたい。
フ:けッ!!誰が、むざむざ殺されっかよおぉ! フローズン・ヴェノムッ!!
ごぱぁ!
びちゃっ! パキィィィ・・・・・
(肝の底に響き渡るような、イヤな感触の声で・・・・その者が嘯(うそぶ)いた事に、氷の巨人が一番に反発をし、
かの、 凍結の液 を、吐いたのです。
そして、それをまともに浴び、生ける氷像となってしまう、ジョカリーヌの、形(なり)をした者・・・・。)
フ:ゲ―――ははは! なんだ、こいつは!口先だけじゃあねぇか!!
(・・・・・が、しかし・・・・)
女:・・・。(じろり)
ア:う゛・・・・ッ!!(目・・・・目、だけ??!)
(身体を、凍らされているはずなのに・・・・その者の 目 だけが、フィボルグを、睨み付けたのです。
それと同時に・・・)
女:『クククク・・・・・そうか・・・・キサマが先か・・・・。
浅慮者よ、思い知るがよい、このような児戯で、妾を・・・・・
いや・・・・私を束縛する事など、無意味な事を・・・・』
フ:な、なに?? こ・・・・こいつ・・・・口は動いてないのに・・・・こいつの声が・・・・頭ン中で聞こえてきやがる??
エ:(テレパサイズ・・・・)
(“声莫き声”―――それは、口から耳に伝わる音振動ではなく、頭の中に、直接語りかけてくる、ドス黒い負の声・・・・。
そして、今度は、フィボルグだけではなく、そこにいた巨人の軍団にも・・・・)
女:『キサマら全員に感謝しよう・・・・
この、私の・・・・久しく忘れかけていた、この感情を・・・・
憎悪の感情を、思い起こさせてくれた事を・・・!!』
そして・・・・・
女:ここにおるもの、皆、死ぬべし。
ピ キ ・ ・ ・ ・
ピシピシピシ・・・
パシャアァァ・・・・・ン
ドオオオオォォ・・・・・・ォォン!
(凍りついていた、ジョカリーヌの体に、ヒビが入り、一瞬にして砕け飛び散った、その中から出て来た者は・・・・)
女:闇よりの光よ、我レを捕縛せよ!
チェインジ・バトルモード!!
(それは、いつもの 古代中国皇帝の服 ではなく、機動性を重要視した、軽装鎧・・・それに身を包んだ、怒れる神の姿だったのです。)
ア:あ・・・・っ、あれは・・・・。
エ:(これが・・・この人の、戦闘形態。)
女:(ニィィ・・・) まずは・・・・キサマからだ!!
ド ズ ム ン ッ!
フ:ギャ!?
バスバスバス ズドォムッ!!
フ:ふほあぁ・・・・・
女:(びちょ) ・・・・・・フフフフ・・・・。(ペロ・・・)
ア:(ンな・・・剣で串刺した後、空中で数回、斬りつけやがった・・・)
エ:(か・・・返り血が・・・・顔に!!)
女:フフフ・・・・ククク・・・・今宵の、わが剣は・・・よく血に飢えておるようだ・・・・。
さぁ――次は誰か、わが剣 肆宝剣 の餌食になりたいのは・・・・。
サ:ぅひ!! ま・・・まずいぞ!!に、逃げろ――――ッ!!
女:逃しはせんッ!! キサマらの体、余す処なく、コマ切れにして、この大地の腐土と化してくれる!!
ググ・・・ッ たあァ―――――ン
ア:え??き・・・消え・・・た?!
エ:(は、迅い!!)
女:
禍剣 斬ノ虐 キヤミノカゼ
(その者の、兇剣にかかり、あえなく滅殺される氷の巨人、その返り血は、程よく女禍に降りかかったのです。
そして、その血を、舌舐めずる者・・・
この、狂気にも似た、この者の所業に、凶暴さにおいては、引けをとらぬ、サイクロプスが逃げ出したのですが、
その・・・・怒り狂える 禍の神 は、見逃すはずもなく、目にも留まらぬ迅さで、彼の者に追いつきざま・・・一刀両断にしてしまったのです。
(しかも・・・その時にも、サイクロプスの返り血は、女禍に・・・・)
そして・・・)
女:クックックッ・・・・・ハッハッハッ・・・・・ア――――ッハッハッハッハ!!
柔ぁい・・・・脆ぉい・・・・貧ン弱にすぎる!! つまらなぁァい・・・すっかり興が冷めたァァ・・・・。
だが、この償いは、きっちりと、キサマらの血で、清算させてもらうぞ・・・!!
ア:う・・・・っく!! や、やばいぞ・・・こ、こいつ・・・・もしかして、周りの事、一切見えていないんじゃあ・・・・
エ:・・・・?(今・・・この人・・・・“この償いは、きっちりと清算させる”・・・って言ったわよね・・・・)
この・・・償い? 清算?? ・・・・・・ひ、ひょっとして!!
(この、巨人達の軍団の、思いのほかの手ごたえのなさに、いっそうの憤りの色を隠せない女禍。
その、残虐性に、アダナは恐れをなし・・・・いや、しかし、もう一人、そこにいたエリアは、この禍神の・・・
女禍の、セリフのほんの少しの違いに、気付いたようなのです。)