色々とあった日の週末―――満を持して実装された『パーソナル・レイド戦』。

しかも当初予定されていたように、『四凶』二柱同時―――と言う荒業に、参加する者達はさぞかし荒れるものかと思えば・・・

 

 

 

#104―――1-@;サトゥルヌス序盤戦

 

 

 

ジョ:皆さん、今回のレイドでの指揮を担当するジョカリーヌと申します。

   全体の指揮は私が担いますが、各PTのリーダーの指示も(おろそ)かにしないようお願いします。

   

それでは各PTの割り振りを―――

   第1PTリーダはブラダマンテ、続いてリリア、市子、プリン―――尚ブラダマンテは初端はヒーラーの役割(ロール)からお願いします。

   第2PTリーダーはプレザンス、続いてセシルの2人。

   第3PTリーダーはヘレナ、続いてサヤの2人―――尚彼女達2人には回復は必要ありませんので、注意をお願いします。

   第4PTリーダーはこの私ジョカリーヌ、続いてギルバート、ソフィアの3人です。

 

   皆さんもお感じの様に、また人数が足らない状況での戦闘となりますが、要は人数ではありません。

   その為の連携を密に取っていけば、必ずや難敵を撃破できます。

 

 

 

こちらは―――レイド・ボス『サトゥルヌス』の構成。

そして、またしても・・・の、人数足らずとも思われたのですが、よく見れば全員が上級者並のレベル・・・

一人で二役も三役もこなせられる、一騎当千―――歴戦の兵揃いである事が知れるのです。

 

そして戦端は切って落とされる―――・・・

 

今回の戦場(フィールド)は『穢れた大聖堂』―――<混沌にして中立>・・・

 

かつて“その者”は、聖職位の最高峰にあり、けれど・・・人類への失望によって神より給わった御業を乱用してしまった―――【失道者(セノヴァイト)

それに、“その名”の由来も、『才ある我が子を(ねた)んだ挙句、食い殺したとされる魔女』・・・

彼の者は、堕天をしてしまったものの、神霊術を極めた者・・・しかも、神霊術は今やその指向性を見失い・・・

 

 

 

ギ:ゲッ! アンデッド・・・

ソ:蘇生を・・・こんな風に使うなんて―――

 

ジ:第2PTプレザンス、『イクソシズム』の行使・・・セシルはプレザンスの詠唱が終わるまで対象のガードを。

  第1PTプリン、第4PTのキャスター、ギルバートの詠唱終了と同時に『輪唱』の発動を―――

 

リ:全体攻撃きます!

 

ジ:リリア、『晄楯』の展開―――第3PTヘレナとサヤはそのまま待機。

  第4PTのヒーラー、ソフィアは全体に『脈動回復』を。

 

 

 

失道したる喪のに、最早聖職者の面影はない―――

自分を討ち果たすべく群がりくる者達を相手するには、不浄なる者こそが相応しかろう・・・と、行使された“負”の蘇生術。

それにより地より甦って来たのは、屍人(ゾンビ)やスケルトンなどの、“不死”のモンスター。

しかし、ジョカリーヌの指示によって、『悪魔祓い(エクソシズム)』で応戦するのです。

 

ここまでは順調・・・いえ、順調でなければならないのです。

 

それと言うのも―――

 

 

 

リ:(HPの2割を切った・・・けど―――)情報通り、変形・・・巨大化きます!

 

ジ:プリン、全体に防御上昇、脈動回復の付与を。

  そして私も―――・・・

≪転化;禁鞭≫

 

プ:

≪静やかなるプレリュード≫

≪巡る風のフーガ≫

 

 

 

最初の一柱、『女』の時は既に巨大化したままでの戦闘開始―――でしたが、「サトゥルヌス」はそうではありませんでした。

いわゆる段階ごとに態を変じてくるタイプ・・・それに、やはり狙ってくるのは―――

 

 

 

ブ:あうっ―――!

 

プレ:ぐおっ―――!

 

ソ:キャッ―――・・・

 

リ:防御・ヘイト無視の貫通攻撃―――

 

ジョ:第2PT―――ヒーラーのロールをプレザンスからセシルにスイッチ

   第1PT―――タンクのロールをリリアからブラダマンテにスイッチ

   第4PTはここから私もヒーラーのロールに転じます!

 

 

 

回復役であるヒーラーの狙い撃ち・・・しかもこの攻撃は、「女媧」戦の時に学習済みで、素早い対応が為されたのです。

とは言え、これでもまだ「序盤戦」・・・いくら退魔術(エクソシズム)が効果的だとは言え、間断なく召喚―――蘇える不死の軍団、そこに追撃される神霊魔法・・・

しかも―――?

 

 

 

サ:フフフ―――・・・中々耐えおるな・・・なら、これはどうか?

≪召喚:狂獣(ベナルカントス)

戦域の属性変(エル・アーリオ)混沌にして

 

市:そ―――そんな・・・ジョカリーヌ様が得意としていた、戦場の属性の変化を??

 

 

 

更なる脅威―――巨大な肉食獣を・・・それも“狂暴化(バーサク)”させての召喚、それに併せるかのように戦場の属性まで変え、

自分を優位に立たせたのです。

また、戦場の属性変化により敵側のステータスも軒並み底上げされ、こちらの攻撃も通りにくくなってしまった・・・

しかも―――

 

 

 

サ:ククク・・・遊びはこれまでだ―――

〔我招く 無音の衝烈に慈悲はなく 汝に遍く厄を逃れる術もなし〕

 

ジョ:いけない―――! あれは闇属性最大の術式!!

   ソフィア、プリン―――私と合力して三重の防御結界を!

   (く・・・っ)間に合うかっ―――・・・

 

サ:フ・・・遅いわ―――!

〔メテオ・フォール〕

 

 

 

ここに来ての、絨緞爆撃の様な魔術の行使―――

寸での処でリリアが晄楯を展開していなければ、PTは全滅していた・・・

とは言え、リリアの晄楯、ジョカリーヌ・プリン・ソフィアによる魔術防御結界の三枚重ねでも、

その防御性能を上回る攻撃性能により、PT全員のHPは2割以下に減らされ、

次の波状攻撃に耐えきれるか―――どうかの瀬戸際となったのです。

 

しかも、最悪な事には―――・・・

 

 

 

サ:フッ、喰らえ―――≪スタン・スローター≫

 

 

 

火属性の補助魔術・・・対象者の足下を眩いばかりに発光させ、影を無くすことで麻痺させてしまう“デバフ”効果・・・

ただ―――この状態を左右させる為に必要なのは、状態異常回復・・・なのですが、

このスタン効果により、ヒーラーが一時行動不能に陥ってしまったら・・・

 

しかし―――?

 

 

 

サ:ぬっ? スタンしていない―――だと? なぜだ!

  何故お前達は、スタンしていない!!

 

 

 

サトゥルヌスの老獪な策略により、レイドPT全滅を余儀なくされてしまったものでしたが。

意外にもサトゥルヌスの行使した術式はリリア達には届いていなかった・・・

しかしながら、サトゥルヌスの“火属性”の補助魔術・・・

この、タイミング的に見ても実に絶妙であり、選択行動に於いても間違えてはいなかった・・・

はず??

 

フ・フ・フ・フ・フ―――

 

するとどこかで、鈴を転がすかのような()笑い声こえてきた―――

 

いけませんよ―――・・・

この私が往来する戦場で―――・・・

 

その“声の主”が、この戦場に到来した事を示すかのように、宙空には炎で描かれた魔法陣が形成された・・・

その炎は、戦場全体に迸り、薄闇の空間を照らし出す・・・

そして、猛々しい焔竜の咆哮と共に顕在化するは・・・

 

 

 

エリ:“火気”は特に厳禁よ?

 

リ:エリヤ様!

 

 

 

今回は特にリリアは、助っ人は頼んではいませんでした。

なのに、この戦場に到来した『焔帝』・・・

 

彼の者が、何に呼応してこの戦場に来たのか、それはエリヤ自身のみぞ知る事なのですが、

いすれにしろこれにより、攻守のバランスは大きく変わってきたのです。

 

 

 

つづく