パーソナル・レイドボス、暗黒魔導士(ヴェネフィック)であるエニグマによって、彼岸(あちら)次元(せかい)から召喚(よば)れたカーマ。

この存在は、以前ドゥルガーに憑依(とりつい)た経緯により、よろしくドゥルガーに似たような恰好―――だけならまだしも、

ドゥルガーのスキルも“コピー”していた為に、よく対人格闘ゲームでもある、「同キャラ対決」がそこで展開されていたのです。

 

 

 

#104−2−2;エニグマ中盤戦

 

 

 

ドゥ:『斬影拳』!

 

カー:『クラック・シュート』!

 

ドゥ:『半月斬』!

 

カー:『スラッシュ・キック』!

 

ドゥ:『荒咬み』――『八錆(やのさび)』! 『荒咬み』――『九傷(このきず)』! 『荒咬み』――『鵺詰み』!

 

カー:『竜巻旋風脚』! 『飛燕疾風脚』! 『ジェノサイド・カッター』!

 

ドゥ:(く・・・ぅっ)『タイガー・レイド』!

 

カー:(ニヤリ)『龍虎乱舞』!

 

蓮:すげぇ・・・てか、互いに一歩も退いてねえ―――

 

秋:ああ・・・だがまずいぞ。

 

ヒ:(え?)どう言う事です?

 

レ:フン―――ええ目の付け所をしちょるのう。

 

蓮:あっ、;レヴェッカさん―――て、ことは?

 

レ:見りゃ判ろうが、こっちにしてみりゃ貴重な戦力、取られちょる―――ちゅうことを。

 

ヒ:では、あのエネミーはそれを狙って!

 

レ:(・・・)いずれにしろ、相変わらず好かん戦略を取るもんよのぅw

 

蓮:(え?)そりゃ―――どう言うつもりで?

 

秋:オレにはその言い方、あちらの事を知っている・・・と、言う風にしか聞こえんのだが?

 

レ:カカカ!w 好きなように解釈せえ!w それよりボサッとしとんな―――行け行け!

 

 

 

ドゥルガーもカーマも、互いに繰り出す技を紙一重で躱しながら・・・の、攻防―――

これが1対1(タイマン)なら何の問題もないのですが、いま秋定が指摘したように、この状況では()()はまずいのです。

 

何故なら今の状況は、一人でも欠けたらいけない状況―――特に、ドゥルガーの様な優秀な戦力が欠けると言う事は、

大きな痛手となって来るのです。

 

そう言った意味で、どこかレイドボスであるエニグマの事を、昔から良く知っているかのようなレヴェッカの言葉に、思う処となるのですが・・・

 

 

どう言うつもり―――?

あなたほどの方がこの期に及んで・・・

ですがまあ、こちらも総てを見せているわけではありません―――

それに・・・このわたくしの業に耐え切れなければ、所詮彼岸(あちら)に行ったとしても―――・・・

 

 

一部の・・・「パーソナル・レイドボス」戦をこなした者達でしか判らない事・・・。

四凶は―――なにも、プレイヤー達に苦痛を与える為だけに、こんな事をやっているわけではない・・・

自らが“鬼”と成り―――“成って”“果てていく”・・・

そのことを予め言い含められた上で、“大敵”としてはだかる・・・

 

それに、自分の前に“敵対”として立つ者は、自分とは“同郷”・・・

“同郷”なのに“敵対”として立つ―――と言う事は、真の敵としてではなく、此岸(こちら)の者達に対しての助言として・・・

しかし、“行き過ぎ”はいけない―――

 

ならば―――・・・

 

 

 

エ:お前達は、所詮わたくしの業に耐え得ることなど出来はしない。

  思い知るがいい、絶望を―――!

 

 

 

その者の―――暗黒魔導士の唯一無二にして、最大最強の“御業”・・・

 

言うなれば、エニグマが有していたスキルは、それ一つしかありませんでした。

 

なぜならば・・・

 

()()()()があれば他は不要・・・

()()だけに、彼の者()()でしか扱える者はおらず

その(カルマ)に抗い切れる者も皆無・・・

その大意を、『永劫に続く地獄』―――

 

 

 

エ:

インファナル・アフェア(終極無限)

 

 

 

その瞬間―――世界が反転した・・・

 

言い知れない澱みの奔流に巻き込まれ、抗う術もないままに呑み込まれ行く・・・

その影響下で、死亡−4 石化−3 麻痺−2 瀕死−2・・・

 

ただ・・・その戦場には、一人―――

 

 

 

レ:流石よのう―――やはりこうなった・・・ちゅうことか。

  仕方がない事よのう。

 

 

 

その者はたった一人―――たった一人・・・ながらも、エニグマの業に耐え切り、凌いでいた・・・。

 

それも当然の事―――と言うのも、その“たった一人”こそは、()()()()()()()彼岸(あちら)次元(せかい)の存在であり、また・・・

 

 

 

エ:まさか・・・あなたが、このわたくしの相手をなさると? 拳帝神皇・・・

 

レ:フン―――なにを戯けちょる、アホゥ。

  ワシは何も、台無しにするためにここへ立っちょるわけじゃないんでぇ―――

 

エ:ならば何を・・・

 

 

 

他に、抗い得る術も存在もいない・・・からこそ、その業は猛威を振るえた―――

 

しかし、彼岸(あちら)に於いても“史上最強の戦士”として謳われた存在は、自らの業に耐え切り、

戦闘不能に陥っていた者達を蘇えらせ、また奮い立たせもしたのです。

 

しかしそう・・・その存在は、史上最強の“戦士”であって、プリーストやクレリックなどではない・・・

()してや―――

 

 

 

レ:フン―――ようやく着いたか・・・

 

蓮:は? 何が・・・?

 

秋:この感覚―――援軍か?!

 

ヒ:では―――・・・

 

クリュ:マスター、インベクターからのメッセ―――『ようやく仕上がった、後の調整は実戦で』・・・

 

バー:そうか、ようやく()()完成したか

 

蓮:な・・・何を言ってるんだ、あんたらは―――

 

クル:別に、あんたらに内緒にしてた―――って訳じゃないんだけどね。

 

バン:オレ等のメンバーで、研究・開発ばかり明け暮れてやがる変わり者が居てな。

 

ワ:だからこそゆえの、“発明王(インベクター)・・・

 

バジ:そいつがここ最近まで、開発に明け暮れていた研究(モノ)、ようやく完成したとうのだ。

 

カリ:まあ〜これでどうにかなりそうだ―――なあ? マリア。

 

ドゥ:そうね! ならばここから回転を上げていくわよ! 『疾風拳』!

 

カー:ちっ・・・小癪な―――『昇龍裂破』!

 

 

 

するとここで何者かが、この戦場に到来した事を示すかのような言葉が、レヴェッカからあった・・・

と、同時に―――DIVA達の一員でもある、インベクターなる者からクリューチに宛てたメッセージが・・・

と、言う事は、その“何者か”とは、DIVAの一員であるインベクターが開発をしていた存在?

 

すると、期待をしていた援軍が現れたからか、ここで一気に攻勢に転ずるドゥルガー・・・それを迎え撃つカーマでしたが、

ドゥルガーを迎え撃つカーマに・・・

 

 

 

カー:(!鋭い風切音―――)くっ!

 

ドゥル:(何か・・・が、飛んでくる!?)

 

 

 

“キィーン”と、空を斬り裂くような音―――と共に、カーマを襲ったのは「小さな何か」??

それはまるで“礫”のようであり、それが遥か彼方から放たれた―――ようだった・・・

しかしその物体は、そのまま直線上の彼方に―――と、思っていたら?

 

 

 

秋:なんだ、あの軌道は?

 

バー:(通常の動きじゃない・・・)まさか―――()()か!?

 

蓮:なんだ? あんたらも知らないようなのが、援軍なのか?

 

バジ:いや―――そうじゃない・・・

   かつては君達も、ドゥルガーを救出するために参加してもらったが、あの時の状況をよく思い出してみたまえ。

 

ヒ:確かあの時・・・“女弓兵”って人に―――

 

クリュ:(・・・)そいつはちょっと違いますね―――

 

蓮:はあ? 何が違うって?

 

クリュ:その・・・女弓兵―――っての、この世界には元からいないんスよ。

    ありゃただ単に偽装して(よそおって)だけ・・・まあ、あしもってもらった手前くはえません―――

    そうっスよねえ・・・? 『イーヴ・ワン』

 

 

 

その小さな“何か”は、地球上の物理法則を無視するかのように、途中で軌道を変え、また再び・・・二度三度と果てなくカーマを襲ったのです。

 

そう・・・まるで、“自動追尾機能”でも付いているかのように―――

 

ならば、期待していた援軍にして、DIVAの一員でもあるインベクターの発明品が為した業??

・・・かと思っていたら、援軍は発明品ではなかった―――

 

するとクリューチからは、以前ドゥルガーを救出するクエストで、蓮也達がロサンゼルス・サーバーにきた経緯を思い出すような促しがあり、

そして突き当たった事実―――そう、確か自分達は、女弓兵なる者からの依頼により・・・

けれどクリューチからは、そもそもこのゲームの世界には、「女弓兵」なる“プレイヤー”も“キャラクター”も存在しない―――と言うのです。

 

しかし、そう・・・それは“偽装”―――

とあるプレイヤーが、“自分”と言う者を特定し難く(判り辛く)させるに、えてそうしていた・・・

 

その者の・・・正体こそは―――

 

 

 

イ:お喋りは・・・感心しないわね―――クリューチ。

 

蓮:(あ)あの(ヒト)―――

 

ヒ:(女弓兵・・・だけど)装備している武器が―――

 

秋:狙撃用ライフル―――そう言う事か、つまりあんたは『狙撃手(スナイパー)

 

 

 

あの当時、確かにその者は「弓」を装備していた・・・けれど今は、それよりも殺傷能力があり、

尚且つ標的を追尾するモノを放っていた・・・

 

しかし、その“あるモノ”を常人が扱えば、ただ単に直線上を奔るだけ―――

 

けれど、この者のOUS『メメント・モリィ』を持ち、念力物体移動(サイコキネシス)をもって通常弾丸さえもえてしまえる―――

称号に『魔弾の射手(ザミエル)する超一流プロフェッショナル・・・

現実世界に於いても『ピース・メイカー』の名で知られる現役の暗殺者・・・

それこそが『イーヴ・ワン』なのです。

 

 

 

つづく