“彼ら”・・・パーソナルレイド・エニグマ戦で、レイドPTを組んでいるDIVAと蓮也達3人・・・
その彼らが、期待していたのは果たしてイーヴ・ワンだったのか・・・
すると―――
蓮:うおっ? 今度は上空から??
ヒ:これは・・・っ、人間の少女?
?:(ピッ・ヒピッピー)<戦域探査>――<完了>
<オハヨウゴザイマス タダイマノジコク 23:55>
秋:フッw 随分と呑気なものだな!
上空より、突如舞い降りたのは、一人の美少女―――だった?
いやしかし、どうにも喋る言葉に音声が、電子制御されたようなモノに聞こえた・・・
けれども? DIVA達が口を揃えて言っていたのは、このクランのメンバーの一員であるインベクターなる者が、
開発し世に送り出したという“物体”だった・・・はず?
カリ:あいつも趣味悪りーぜw 何せ創っていたモノが、人間と見間違えるほどの造形をした“美少女”なんだからなあw
?:<ハイ ワタシノ ナ ハ 製造認識番号―――Project.aC2501 ナオ verハ 1.5 ト ナッテオリマス>
バー:(verが僅かながら上がっているな・・・)それで? そのverの特徴は―――
2501:<コノ verノ トクチョウハ ヒョウテキ ノ カンゼンハカイ オヨビ センメツ ヲ モクテキト シテオリマス>
<戦域探査 ノ ケッカ エネミーハ 2 タイデ ヨロシイデショウカ>
バー:ああ・・・やってくれ―――
2501;<指令受理>――<重粒子砲展開>
しかし、その美少女の形をした存在には、我々人間にはついていないモノが付いていた・・・
それが“製造認識番号”―――そう、まるでパソコンや機械を示すかのようなモノ・・・
しかし、そう―――確かに“彼女”(彼?)は、人間ではなかった・・・
人間だったらば、腕が可変し銃器の様になるはずもない・・・
つまり、“彼女(彼?)”は、美少女の形をした―――
蓮:アンドロイド? じゃあ・・・プレイヤーは・・・
クリュ:そ〜れがまあ・・・判んない―――つうか、第一あたしらみたいな、人間がプレイヤーなら、
あんなのは所詮“ロープレ”でしかないんスけど、なんて言うか・・・手が凝りすぎてんスわww
秋:確かにな・・・では、一時期SNSで騒がれた、“プログラム自体”なのか??
クリュ:有り得なくはない話し―――なんスけど、なんて言うんです? そんなの一個人レベル開発するのには限度があるんですよ。
資金にしろ、特にこちらの世界の技術では・・・ねぇw
蓮:―――て、ことは?!
クリュ:強ち・・・向こうさんの言ってることも、嘘じゃない―――
先程まであたしらは、あの2人のやり取りを、ゲームの設定上のモノだ・・・そう思ってましたけど―――
ヒ:でもっ・・・それじゃまるで―――
ヒイラギはその言葉の先を飲み込みましたが・・・そう、そんな事態は最早このゲームが“ゲーム”ではなくなろうとしている・・・と言う事だった・・・。
自分達が何気なく生活している此岸―――
その現実世界と並行した彼岸がある・・・
そんな事は、よく二次元の世界で取り上げられている題材でしたが、まさに今―――それが現実のものと成ろうとしている・・・
それに新たなる援軍の到来によって、不利になると感じたエニグマが、次々と召喚してくる新たなる脅威・・・
エ:さあ―――お前達も、日頃の怨み晴らしてくるのです!
この時、秋定はある違和を感じていました―――・・・
そう言えばあの者―――カーマとかいう者にも、そう言った感じの事を吹き込んでいたな・・・
だがオレ達はあの者達の事など知らんし、何より恨みを買われる覚えもない・・・
だが、あのカーマを始め、十数体現れたこやつらは、確実にオレ達に怨みを持っている!
何なのだ・・・? こやつらは―――・・・
秋定は―――いえ、秋定だけに拘わらず、蓮也もヒイラギも、況してやドゥルガーもカリギュラも、バーディもクリューチも・・・
DIVA達全員も知りもしない・・・
だからこそ―――
レ:あんないつらは、通称『レギオン』ちゅう奴らよ。
ある体制に反感を抱き、袂を分かった連中よ―――
それを、あいないつが手懐けた・・・そう言う事でええんよのう! 東の魔女―――!!
エ:フン・・・余計なお世話―――ですわ、拳帝神皇!
もう一度喰らうがいい―――≪インファナル・アフェア≫!
レ:フン―――おう、なにしよるんなら! ちぃと来るんが遅いんじゃわいや!!
エニグマを、さも知った如くに語り掛けるレヴェッカ―――
それに・・・レイドボスの名は“エニグマ”であるはずなのに、別の名をして呼んだ―――?
『東の魔女』・・・彼の存在こそは、彼岸の次元―――その東西南北に固有領域を持つほどの、有力な・・・『魔族』?!
そのエニグマが、煩わしいと感じたのか、またも強力無比な業―――≪インファナル・アフェア≫を放った・・・その時!?
アンドロイドの美少女が登場した時のように、上空から“何か”が・・・エニグマの業を潰した―――
クル:げえっ?! なんじゃこれ―――
バン:人間の・・・“手”の様にも見えるが・・・?
ワ:いやしかし、普通のサイズではない―――優に直径10mはありますぞ?!
カリ:って・・・手だけで10m? って―――じゃあ全長は??
玉:ふむ、どうやら間に合うたみたいじゃな。
ヒ:マスター・玉藻前様? あの・・・これは??
玉:援軍じゃよ―――そなたらの・・・な。
レヴェッカよ、遅参はしたがこれよりワシら4人、加勢するぞ。
レ:フン―――なんで遅れたかは聞かんとこう・・・。
ほならいくでぇ! 破神壊帝!!
遅れて参上した“援軍”こそ、レイドPTの第4PT―――
リーダー破神壊帝・イーヴ・ワン・Project aC2501・・・そして、この時点から司令官を担う玉藻前。
それに、この第4PTが来たことで、不足分だった戦力差が埋められた・・・
2501:<戦況分析>――<完了>
<コレヨリ タンク ノ ロールニ イコウ リバルサー ヲ テンカイ イタシマス>
玉:フッ―――長らく待たせたの! 拳帝神皇・・・お主の本領いかんなく発揮するがよい!!
レ:ほなら一つ貸しじゃあ! 今まで大人しゅうしとった分、暴れさせてもらうでえ!w
≪剛衝波≫
≪波動烈風波≫
≪天将奔烈≫
新たなる援軍の到来により戦況の分析が手早く行われ、不足しているタンクにロールのシフトをさせるアンドロイド・・・
彼の者が展開した電磁の結界により、レイドボス側からの攻撃が遮断、次いで玉藻前の参戦により、ヒーラーと司令官のロールが引き継がれ、
しかも破神壊帝による、スキル≪破壊蹂躙≫・・・
これによって、徐々に追い詰められていくエニグマ―――でしたが。
このレイド戦は、思いも寄らなかった方向で収まろうとしていたのです。
それは・・・今ここに―――
一つの闘争の結末・・・そう、ドゥルガーとカーマの―――
カー:≪デッドリー・レイブ≫
ドゥ:≪瞬獄殺≫
エ:(ハッ!)いけな―――
互いが放った、極限まで研ぎ澄まされた超必殺技・・・
けれどそれは―――
ドゥ:(!)なぜ―――お前が??
カー:(!!)エニグマ・・・ユリア様ぁ―――!
ドゥ:(えっ?)ユリア・・・?
カーマの代わりにドゥルガーの必殺拳を受け入れたのは、なんとエニグマだった―――?
いやしかし、なぜ彼女が・・・?
“悪意を持つ誰でもない者”であるはずのレイドボスが、なぜ身代わりに・・・?
それに、カーマはこの存在の事を言い直した―――?
その言い直した名に、ドゥルガー・・・マリアは心当たりがありました。
マリア自身が夫であるカインが経営する企業のイメージ・アップを図る為、わざわざニューヨークから呼び寄せた・・・
ここ数年前から話題に上り始めた、新進気鋭のフラワー・アーティスト・・・
その人物にフラワーアレンジメントをしてもらった・・・
気立てが好く、花の様に優しい女性―――その名が・・・
ドゥ:ユリア=フォゲット・ミー・ノット=クロイツェル・・・
なぜ―――なぜあなたが?
エ:(グ・フッ・・・)こんな―――幕引きになってしまうとは・・・
レ:バカたれが―――
エ:レヴェッカ・・・申し訳ございません―――非情には・・・成り切れません・・・でした。
レ:あれほど言われたろうが―――なんで見棄てんかったんな。
エ:わたくしは・・・この子たちの事を・・・よく知っていましたから―――
あの街で産まれた子供たちは、否応なく前線へと立たされます。
だから彼岸にいた時、逃げ遅れてしまったこの子を庇う為、此岸へと連れ来たものでしたが・・・
それでわたくし達の事情なりと話し、今回のわたくしのプロットにと組み込むことにしたのです。
その“プロット”こそが、以前に反映された『因縁の宿敵』―――
ニンゲンを憎しむ者にとっては絶好の機会とも言えましたが。
ユリアは当初気に入らなかった―――
憎しみのみでこの戦いに臨めば、負の連鎖は断ち切れない―――その事を判っていたから・・・
けれど・・・自分にも“これから為さねばならぬ事”―――と、言い聞かせたものでしたが・・・
結局は、その性格が禍をし、必滅の技を身代わりとして受けてしまった・・・
そして・・・今だからこそ言えることがある―――
ドゥ:『フォゲットミーノット』・・・確かそれは、あなたの店の名であり、花言葉も・・・
カリ:(『真実の愛』・・・)そんなものを押し殺して―――この人は・・・
レ:(・・・)今すぐ楽にしちゃろう―――
エ:ありがとう・・・このような様で、他の姉妹たちから何と言われるか―――
レ:そこんとこは心配すな。
ワシら姉妹も見とったんじゃ、何も言わしゃせんよ―――
その拳帝神皇からの一振りにより、淡い光の粒子となって散り逝くエニグマ・・・
こうしてここに、2つのパーソナル・レイド戦は終結をみましたが、
振り返って見れば少しばかり後味の悪いものとなってしまったのです。
#104−2−3;エニグマ終盤戦
つづく