ここは―――『次元の狭間』・・・
この、此岸とも彼岸ともつかない曖昧な空間の狭間にて、
今回2体同時に実装された、パーソナル・レイド戦の行方を見守っていた存在達がいました。
ガ:やれやれ―――何やってんだか・・・
ジィ:心配していたことが、現実のモノとなっちゃったわねえ―――
ジョ:でっ・・・ですが〜〜〜ほら・・・彼女も〜―――
ジェ:歯切れが悪いよ? ジョカリーヌ。
ミ:(・・・)戻ってきたようだな―――
レイドボス・エニグマより早く討伐されたジェノヴァも見ていた、エニグマ戦・・・
この、予期せぬ終着の仕方に、大半が批判的な見方ではあったようですが。
エニグマ―――ユリアの事を昔からよく知っていた、女媧―――ジョカリーヌが助け舟を出そうにも、言葉に詰まってしまう始末・・・
そんな処にユリアが戻り―――・・・
#105;幕間―――“反省会”
ユ:申し訳ございません―――
ミ:まあ・・・仕方があるまい。
汝の甘さを見抜けなんだワレにも責がある。
自分がしでかしてしまった過失は、殊の外重大―――そうであるはずなのに、最上の立場の者からの逆に気遣われる言葉。
それはまた逆に、骨身に沁みたものでした。
とは言え―――
ジェ:まあ―――起こっちゃった事は仕方のない事だから。
それよりは―――これからをどうするかだよ。
ミ:汝は淡泊だな―――助かる。
それに・・・そう言う事だ、これは我々が想定していた以上の事である事を忘れてはならん。
特にユリアへの叱責は、程度以上もなかった―――それはそれでユリアも辛い部分ではありましたが、
それ以上に逼迫している自分達の“故郷”の事態に、仲間を責める事などミリティアは出来なかったのです。
―――と・・・それよりもこちらでは・・・
エリ:おねいちゃん―――何ぞあったんね?
蓮:(え??)誰? この人―――
秋:(身の丈2m以上はあるな)
ヒ:(それに・・・この言葉遣い―――)
レ:ああ・・・“あった”言うもんじゃない―――ユリアの奴が情を見せてしもうてのぅ・・・。
ほいで? 遅れた理由聞こうかぁ。
エリ:大したことじゃないんよ―――“家宅捜査”があってからにのぅ・・・
レ:はぁん? どこのタレコミなあ。
エリ:なんやよう知らんが―――麻取やらDIAやらが、挙って来よったでえw
うちらん組には、いなげなもんはない―――ちゅうとるのにのう。
・・・なに? 今の会話―――
普通―――じゃないわよねえ・・・
・・・と言うより、物騒な事にしか聞こえんのだが?
〜〜と言うか、この会話だけでも、迫力あるわよねえ〜。
お互いが、灰汁の強い方言での会話―――だけに、どうしても“そちら”のようにも見えてしまうのですが、それも仕方のない事・・・
それと言うのも、彼女達の会話のお蔭で、この身長がやけに高い(2m30)大柄な女性の事が判ってしまったのです。
クリュ:『エリーゼ』? ・・・って―――あの・・・もしかして?
エリ:ああ゛? うちがどうかしたんかい。
ドゥ:ちょっ・・・待って? クリューチ―――その名前、本当??
クリュ:この状況で冗談言えって?
バー:どうした、ドゥルガー。
ドゥ:先輩・・・もし私が間違っていなければ、彼女が“そう”です!
バー:ナニ・・・? では―――
クル:あ゛〜〜〜あんたら2人で盛り上がってても、こっちはちっとも面白くもないんだけど?
ドゥ:去年―――日本でも有名な“ある組織”が、こちらのサンフランシスコに拠点を置いたの・・・
バー:その組織の名―――そして代替わりをした名前・・・
「覇神会」2代目会長―――神薙絵里・・・そうで間違いないな。
その組織の名こそ、現在の日本でも要警戒の筆頭に名を連ねている、反社会的勢力そのものだった・・・
では、その組織の“初代”とは―――?
エリ:なんじゃあ? ポリ公がおったんかい。
レ:止めちょけえ―――今ここでガヤ起こしても何もなりゃあせん。
エリ:(チッ)ほいじゃがのう―――
レ:のぉ・・・米国の警察の人―――どこぞのバカタレのタレコミかぁ知らんが、誓うてワシらは「麻薬」なんちゅう下衆なモンに手ェ出しとりゃあせん。
そがあなバカタレは、このワシが組を結成させて以来、叩き潰してきたけんのう!ww
「覇神会」初代会長こそ、レヴェッカ―――神薙麗華その人だった・・・
しかもこの組織は、麗華が結成した当初から「麻薬」と言うモノを忌み嫌い、
事ある毎に“シンジケート”や“ルート”を潰してきた・・・と言うのです。
それに―――ここは仮想内・・・
現実内の出来事を持ち込むのは“禁止事項”とされているのですが・・・
一つに警察機構に属する2人にとってみれば、心中穏やかではなかったのです。
それはそれとして―――後始末として、此岸へと来てしまっているカーマ他、彼岸の住人達を元に戻す為、
レヴェッカが転送をさせた―――その後で・・・
エリ:ん〜〜〜? 何の用なら・・・
クリュ:ども。
あの〜〜確かあなたは、今は極道の道に入ってますけど―――
エリ:じゃったら、何じゃ言うんなら。
クリュ:その前―――って、漫画を描いてましたよね?
は い?
蓮:(ん?)ちょっと待て―――って?
ヒ:それ本当?
クリュ:ん〜〜まあ―――色々サーチかけてみたら、『てのひらをたいように』の作者、エリーゼ先生ですよね?
ヒ:(・・・)ええ〜〜―――っ! あの大ヒット作の??
クリュ:お姉さんもあの作品のフアン? 面白かったよね〜〜アレ。
ヒ:そうなのよ―――なのに、これからって時に急に展開が変わっちゃって・・・それにうやむやの内に連載が終わっちゃって・・・
けど―――もしかして??
クリュ:エリーゼ先生のお姉さんが“そう”だからなあ〜〜
それに、いま調べてみると、連載終了時と先生の2代目就任時期、そしてお姉さんの業界引退時期が妙にタイミングいいんだよね〜。
ドゥ:(は〜)あなた達だけで盛り上がっちゃってるみたいだけど―――・・・
蓮:てかヒイラギ―――お前にそんな趣味があったのか!?
ヒ:そうよ、悪い?
でも・・・どうして―――
エリ:ほうかあ―――うちの作品、好いてもろうて申し訳ないんじゃが、ネタ捻り出すにも限界が来てしもうてからにのう。
レ:ほうじゃったのうw いつもわりゃあ締切遅らすし、時にゃ原稿落とすし―――編集さんにゃ大迷惑かけるしww
エリ:おねいちゃん―――勘弁してくんないや・・・
こっちゃ、10本も持っとったら間に合うのも間に合わせんで。
レ:かばちぃ垂れるなw ほんなら1本か2本に絞りゃあえかろうが。
ほいでのう、『もうどうにもならんけん』―――ちゅうて泣きついてきたけん、ほいでワシとの代替わりを提案した―――ちゅう、まあこう言う事よw
意外な事に、クリューチ―――ジゼルが色々とネットに検索を賭けてみた結果。
それがエリーゼ―――神薙絵里の経歴が、現在とは真逆の、大ヒット作を執筆していた有名な漫画家だったとは・・・
{なお、この作品・・・『てのひらをたいように』は、典型的な“ラブ・コメ”であり、アニメや各種メディアに展開をしたエリーゼ最大の出世作にして代表作だったようである}
しかしその当時、どうして今の“ヤクザ”な稼業に転職してしまったのか・・・は、直接本人達から話されたとおりであり、
フアン達にしてみればちょっとしたサプライズだったようです。
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それから―――幾許かの機が過ぎ行き・・・
現在は12月―――12月と言えば、若人達には外せない、とっておきのイベントが盛り沢山・・・
璃:(こっ・・・今年こそはっ―――し、秀ちゃんと一緒に甘い思い出を゛っ!!)
〜ピロリン〜☆♪
璃:ん? 誰からだろ―――
今年になってから意中の異性と急接近したぢょし高生―――w
征木璃莉霞は『今年こそは』と息巻いていたのです。
それというのも、“これまで”は疎遠そのものだった―――
こちらからいくら相手の事を想っても、相手は素っ気ない―――相手もしてもらえない・・・
“それまで”の璃莉霞は、学年内でも認識されていた通り「地味娘」であり、誰にも気にも留めないような・・・そんな雰囲気を醸しており、印象でもあったのです。
それが―――ある転機・・・
自分の意中の異性であり、また幼馴染が、自分がプレイしているオンライン・ゲームをやっている・・・
その事を知った時に、飛び上るほど嬉しかった―――
だから“彼”が受けたクエストに“乱入”するなどしてちょっかいをかけ、どうにかして気付かせようとしていたのです。
けれど“それから”・・・今に繋がるきっかけは、そこにあった―――
この、清秀―――蓮也との出会いの以前、璃莉霞―――リリアはまさにこのゲームの頂点にいました。
その証しである、称号『清廉の騎士』も持っていて、向かうところ敵なし―――加えて日頃の鬱憤を晴らす為に、
オンライン・ゲームは格好のストレス解消の場ともなっていた・・・
なのに―――敗けてしまった・・・
敗北た当初は悔しくはありました。
母から受け継いだキャラや、無類の強さを誇るOUS・・・
そのスキルを奪われ失意のどん底に沈んでいた時、不意に訪ねてきた黒紫のゴスロリ美少女―――
その美少女は、奇しくも行方不明となっている母の知り合いだとも言う―――
その人物の言うなりに、仮想内でのフレンドを作ってみることにした・・・けれど、所詮は仮想内でのフレンドなんて上辺だけのモノ。
けれども失ったモノを取り戻すまでならいいか―――
しかしそれは間違いでした―――
今にして思えば、“あの敗北”から得られることが出来た「真友」―――
意中の幼馴染とも距離を縮めることが出来たのも、“あの敗北”がきっかけだった―――
だから今年、残すところのイベント―――「クリスマス・イヴ」「クリスマス」「大晦日」「元旦」・・・と、目白押し。
それに「今年こそはッ!」と、気合を入れるのでしたが―――・・・
そんな妄想に耽る璃莉霞のスマフォに、誰かしらの“メール”・・・
それを開いた途端―――??!!
璃:(・・・)―――ンげえぇぇ〜〜っ?! な・・・ナニコレ!!
その・・・“メール”こそは、あまりに衝撃的―――
今年こそは、意中の幼馴染と、甘ぁ〜い一時を過ごそう―――と、思っていた矢先に??
この時、璃莉霞のスマフォにメールをしてきた、“ある人物”と“その内容”に・・・
――このあと璃莉霞の運命は、ど〜〜〜なってしまうのかっ!!――
つづく