#111;お祭り前々日の夜

 

 

 

あれから幾許かの時が過去(すぎゆ)―――

 

今日は、ある一大イベントをよく翌日に控えた日の事でした。

 

街並みは既にクリスマス色に染まり、『イヴ』や『クリスマス』ではなくとも、そこかしこでは仲の良さそうな恋人達や、

明日や明後日に大事な人達に『プレゼント』を渡す為に色々と品定めをしている老若男女達が・・・。

 

璃莉霞もその内の一人で、既に片手には想い人である幼馴染や、真友―――果ては師に贈るモノを下げていたのです。

 

 

 

璃:(ええ〜っと・・・これで取り敢えずは終わりかな―――。

   ウフ♡ 色々迷っちゃったけど、秀ちゃんや市子、ジョカリーヌさんはきっと喜んでくれるよね?

   あとは〜〜ケーキの材料かな。

 

 

 

自分が日頃親しくし、その恩を返す為に―――と、結構気合を入れて品定めをしたものでした。

 

それに・・・一昨日、混乱するものとばかり思っていた処に、颯爽と登場してきたのが―――

 

 

 

璃:(それにしても、さすがだったなあ・・・ジョカリーヌさん。

  一昨日の混乱を上手くまとめてくれて・・・。

  ウフフッ♪ けれどそのお蔭で両立が成り立っちゃったんだし、今年のクリスマス―――楽しみだわ〜♪)

 

 

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一昨日の出来事―――衝撃を伴うセシルの一大告白に、皆戸惑うばかり・・・

これまでに知られずにいた、かつてのアイドル―――現在では自分達と同じクランのメンバーが有するOUS・・・

その事に驚かされもしたものでしたが、更にはセシルが企画していた事―――

 

セシル自身がプロデュースする『クリスマス・ライブ』(12/24〜26)に、“サプライズ・ゲスト”としてプリンを招こうとしていた・・・

けれども、偶然か否か、その同じ期間に東京で開催される、善世界中が注目するフィギュアスケートの世界大会・・・

そこに自分の“想定外”が起こってしまい、断念するしかないものと思われていた―――その時・・・

 

 

 

ジョ:皆―――ひとついいかな?

 

リ:あれっ? ジョカリーヌさん・・・いつの間に―――

 

ジョ:うん、ちょっと私の都合でね・・・

   ほら―――皆に紹介をしなさい。

 

ナ:よろしくお願いいたします。

 

蓮:あれ? こいつって確か・・・オレ達が加わったレイドに、援軍として現れた奴だよな・・・

 

ナ:<データ照合>――<完了>

  はい、その通りです、蓮也。

 

市:この子・・・! サイボーグかアンドロイド??

 

ナ:いいえ、違います。

  <ワタシ ノ ナ ハ 製造認識番号Project−aC2501 ト モウシアゲ マス>

 

ソ:(ええ〜〜っ! まるで機械の合成音声みたい・・・ですけど・・・)

 

ギ:(こっ、こういうものなんて、もう開発できるもんなのか??)

 

蓮:(て〜〜より・・・オレ達が聞いていたのより、すっげー進化・・・? 進歩してるんだが??)

 

ジョ:ああ皆、警戒しなくていいから―――

   この子はね、実は私の知り合いである“ある人”から正しくあるよう導きを任されたんだ。

 

リ:“正しく”??

 

プ:なるほど・・・『インベクター』ね、また厄介なモノを・・・

 

セ:あなたは知っているの?

 

プ:うん―――そいつの考え方は“私達”の中でも常軌を逸していてね。

  “私達(魔女)以上変人扱いされていた、まさに変人中変人だよ。

 

ジョ:『北の魔女』、それはさすがにないかなw

   とは言え、確かに“そう”なんだけれど・・・先程市子からの指摘があったように、この子の現実も()()なんだ。

 

市:(・・・)()()とは?

 

ジョ:現実離れしている―――とは思うよ・・・けれども外見上は人間とどこも変わりはない。

   言ってしまえば、『活きた機械』なんだ。

 

 

 

これは・・・遠くない未来に起こり得る事実―――なのかもしれない・・・

 

今、師からの説明により、この仮想内で動いているキャラクターが、“ロールプレイ(なりきり)ではないり、

機械―――またはプログラムを起想させる“話し方”にその“思考”―――

その事にも驚かされはしたのですが、この仮想内でのキャラクターを操作しているのが、やはり(?)同じくの(??)そう言った存在(アンドロイド)―――???

 

そんな事に、『信じられない』―――と言った表情になるのですが・・・

 

 

 

ジョ:だからこそ、正しく導く必要がある―――

   そもそもの機械モノでの事故の多くは人為的なモノが多く含まれている―――と、言われているからね。

 

プ:なるほど、それは確かに言えているね。

  その為に“君”―――『西の魔女』が役割を与えられたと・・・

 

ジョ:そう言う事―――実は今日も早めにインしていてね。

   ここを利用している多くのユーザーの行動を見せて学習させていたんだ。

 

プ:ふむふむ・・・けれども本来の目的は、“この子達”―――だったのだろう?

 

ジョ:そうだよ・・・。

   それに、このクランには私の導きに(あた)った子達くいる・・・

   だから多くの“正しさ”をインストールできるものと思ってね・・・。

 

リ:そういう事だったんですか―――でも、だったらどうして・・・混乱の最中に?

 

ジョ:だからこそ―――なんだよ。

   この混乱は最初から見させてもらっていたけど、“怨恨”が(もと)でそうなったわけでもなさそうだ。

   もし“怨恨”が理由だった場合は、私も介入は躊躇っただろうけれどね。

 

市:それでは―――・・・

 

ジョ:うん・・・。

   セシルさん、あなたは私の同志でもある『北の魔女』―――プリンに恩を返したいと、そう願っていた・・・

   けれどそれは、あなたが描いていた以上の“想定外”により、儚くも挫かれようともしている・・・

 

セ:―――そうです・・・

 

ジョ:ならば、“こう”言うのならどうだろう?

 

 

 

ジョカリーヌが連れていた『人間ではない彼女』―――その存在の事を以前から知っていた蓮也はすぐにその事を口にしました。

 

あれは・・・自分を含める3人が参加した、パーソナル・レイドエニグマ戦に参加してきた、超攻撃的な存在(プレイヤー)だった・・・

しかし今となっては、そのプレイヤーの真実が明らかにされ、まさに『真実とは小説よりも奇なり』を実感したものだったのです。

 

それよりも、今のこの混乱を鎮める為の打開策―――それがジョカリーヌから提示され・・・

 

 

 

ジョ:もし・・・セシルさんさえよければ、そのライブ会場―――仮想内ではどうだろう?

 

セ:仮想内(ここ)で? ―――って・・・

 

ジョ:恐らくその“サプライズ”―――仕込んでいるのは『クリスマス当日』・・・なのだろう?

   それに、世界中が注目している『新・旧女王対決』も、その日のハズ・・・

 

リ:そんな予想―――?!

 

ジョ:まあこれは、私の希望的観測も多分に入っているけれどね。

 

プ:だとしても・・・かなりな高確率だとも思っている―――

 

ジョ:うん・・・それに、フィギュアの決勝も、クリスマス丸一日―――と言う訳ではない・・・

   どれだけ遅くとも22:30頃には終われるものと思っている・・・。

 

市:そういう事ですか! つまりジョカリーヌ様は、その時刻以降に仮想内でイベントを行えば―――と・・・

 

ジョ:その通りだ、市子。

   けれどこれは、時間通りに進めば―――の話しになるんだけれどね。

 

セ:待ちます・・・私。

  例えどれだけ待とうとも、私達を救ってくれた恩人に恩を返す為に・・・

  それにこれ以上待たせるのは、騎士道にも反しますから。

 

プ:セシル―――参ったよ・・・どうやら私の完敗のようだ。

 

ジョ:イセリア=プリンシパティウス=ジェノーヴァ・・・私も久々に聴きたいものだ―――

   かつては魔王の一人さえも鎮めたその歌声を・・・

 

リ:ええっ?!! 魔王・・・って―――そ・・・それじゃ、『セイレーン』て・・・?

 

プ:おや? 言ってなかったかなあ?w 『遍く総ての者を魅了し、己の意のままに操れる者』・・・って。

 

市:でっ―――では・・・? 『総て』とは??

 

ジョ:総ては『総て』―――老若男女であろうが、動物・植物であろうが、魔物・魔族であろうが、魔王であろうが・・・“誰彼構わず”―――そう言う意味なんだよ。

 

プ:此岸(こちら)その事が知られちゃったら、皆寄り付かなくなっちゃうからね―――だから口にしてこなかったし、なにより知られたくなかった・・・んだけれどね〜〜

  もうここまでになっちゃったら、『もういいや』―――ってなってきちゃってさw

 

リ:あ・・・あのぉ〜〜ぅ・・・プリンさん? 呉々も―――・・・

 

プ:アハハ―――判っているよ。

  それに第一、これまでにも“変な事”には使ってはこなかったからね。

  まあ〜〜こうなる以前に、既に彼岸(あちら)ではどうなったか―――実証済だとしね?w

  なあ〜? 『西の魔女』?w

 

ジョ:“アレ”は大変だったんだよ?

   ほら―――先程言っていた・・・確か25代の魔王だったよね。

 

プ:そうそう―――あいつったら、いくら私達が言い聞かせても判ろうとしなかったから、さすがに私もブチ切れてねえ?

  それでOUS解放しちゃったら―――

 

ジョ:その後の数百年、当時の魔王の支配地は草木一本も生えない“死の大地”になっちゃってね・・・。

   けれど数百十年後、『東の魔女』と今は呼ばれている私の友人に、『そこを固有領域にしてみては?』・・・と、薦めてね。

 

プ:そんなこともあったね〜。

  そう言えばユリアに、その時のお礼とお詫びがまだだったなあ・・・

 

ジョ:ハハハ―――多分彼女本人でも忘れているだろうから、余計な事は言わない方がいいと思うよ?

 

 

 

「なーんだか、とーんでもない事が話されてるんだけど・・・」

「あ〜〜やっぱり、秀ちゃんもギルバートさんもソフィアさんも、市子やセシルさんまでも間の抜けた顔になっちゃって・・・」

「そりゃ仕方ないよね? 私もなにがきっかけで彼岸(むこう)らなけれこの人達反応していたんだろうから・・・

 

 

その場で為されていた、西の魔女――ジョカリーヌと、北の魔女――プリンとの会話は、総て彼岸であった出来事の話し・・・

そのお蔭で、プリンが保有している恐るべきOUSの正体が分かってきました。

 

“総て”―――そう・・・この世に存在する、それが彼岸であろうが此岸であろうが、構わず魅了してしまいOUS保有者の意のままに操れてしまう・・・

 

それは活かそうが―――また殺そうが、対象となってしまった者の意思などは関係なく・・・

 

その実証として、かつて彼岸で猛威を振るいし者に行使した経緯があり、OUS解放の後に襲い来た凄まじいまでの寂寥感・・・

 

 

「このOUSは、これ以降・・・こう言った目的に使用するべきではない―――」

 

 

そう自らが思い、判断した魔女により、これ以降人為的災害級のモノはなくなってきたものでしたが・・・

 

それを以前・・・プリンは、ユニットを組んだ仲間達の事を想い、低い段階(レベル)での解放―――

結果として、『スゥイーツ・シャルマン結成5周年野外ライブ』は大成功を収めることが出来たから、

そこでは事なきを得たのですが―――・・・

 

 

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回想も終わり―――現実に戻った時・・・

 

 

                       ッ――☆

 

 

璃:(あ)・・・っ――?!

 

?:キャッ―――

 

 

 

つづく