ある一大イベント―――『クリスマス』を翌々日に控えた日、璃莉霞は恋人や真友や師への贈り物を購入する為、若者たちの街に来ていました。
そして須らく品定めを終え、これまでとこれからの想いに耽る為、少しその場に立ち止っていました。
そして現実に戻ってきた時・・・不意に“前方”から―――
ド ン ッ――☆
璃:(あ)・・・っ――?!
?:キャッ―――
“誰か”とぶつかってしまい、両者ともその場に尻もちをついてしまったのです。
#102;お祭り前々日の夜A 気になるあの娘
璃:(あイテテテ・・・)ごめんなさい―――ちょっと“ぼーっ”としちゃってて・・・
?:すみません―――私の方こそ前の方をよく見ていなくて・・・(伊)
璃:(えっ? 英語じゃない?? え・・・っ、どうしよう―――次の言葉が浮かばない!)
?:あの・・・どうかなさいましたか?(伊)
互いが不注意―――璃莉霞も、この時機のこの街で立ち止まってしまっていた事もあった・・・
一方の、璃莉霞の前方からぶつかってきた“誰か”も、何かに気に取られていて前方をよく見ていなかった・・・
だからこその、“お相子”となるのでしたが・・・
璃莉霞が戸惑ってしまった理由の一つとして、自分の知っている言語の中には、ぶつかってきた“誰か”さんが使う言語がなかったのです。
だからこそ、次に言うべき言葉を失ってしまった・・・そんなこともあり、璃莉霞にぶつかってきた“誰か”も、外国人だ―――と言う事は判ってきた・・・
薄い茶色の長髪を、頭の左右で結わえる『ツインテール』―――
『エメラルド・グリーン』の眸―――
白人特有の少し桃色がかった『白い肌』―――
見れば見るほど美少女の、この娘は・・・?
外国人娘:ア・・・ノ スミマ―――セン・・・
璃:(え?)あなた・・・日本語喋れるの?
外国人娘:ア・・・ハ イ・・・ マダ ホンノ・・・少シ ダ ケ―――
璃:そうなんだ・・・それじゃ私がしゃべっている事も・・・判る?
外国人娘:少シ ダケ――― アノ・・・アナ タ アヤマテ マシタ?
璃:うん、そうだよ・・・ごめんね? 私、不注意で―――
外国人娘:イ、エ ワタシ・・・モ 前ヨク見テ マセン・・・デシ タ?
デスカラ 私 ノ 方コソ ゴメン クダサイ?
璃:(・・・)いや、いいんだよ―――あなたが謝る事なんてない・・・私の方が悪かったの。
立てる?
外国人娘:ア、ハイ―――
すると、この外国人の美少女は、非常にたどたどしいながらも、この国の言語を話し始めたのです。
たどたどしい―――けれども、この子の気持ちが伝わって来る・・・
本当に申し訳なさそうに謝って来るその姿勢・・・
だから少し判り難くても、璃莉霞には“謝意”は伝わったのです。
璃:あなた小さいのに日本語上手だね。
外国人娘:イ、イエ―――私 マダ 足リテナイ 勉強?
璃:けれどその努力、凄いと思うよ・・・。
私ももう少し、あなたの国の言葉判ってあげてれば・・・
外国人娘:アナ タ ヤサシイ・・・ナンダカ 私 ノ 知ッテル人・・・ミタイ?
璃:へえ・・・あなたの知っている人―――って、日本人?
外国人娘:ワカラ ナイ・・・デモ ニポンノ ヒト? ミタイ・・・
ソレニ 私 モ イズレ コノ国ニ スミタク テ 勉強・・・シテル?
璃:へえ〜〜凄いよ・・・それ―――
私もあなたの事を見習わなくちゃいけないなあ・・・
あ、私―――征木璃莉霞って言うの、よろしくね?
外国人娘:マサ キ リリカ・・・?
(・・・)リリカ―――ヨロシク・・・私 ハ・・・
何でもその外国人の美少女は、いずれ・・・近い未来(?)に、日本へ移住したいのだと言う―――
その為にと、今の時間からこの国の言語である『日本語』の勉強をしているのだと言うのです。
そうした涙ぐましい努力が嫌いではない、しかも健気な年下の美少女を璃莉霞は、見習わなければいけない―――と、そう思うのでしたが・・・
実は? この外国人の美少女の、意外過ぎる正体に―――
イ:イリス=アディエマス―――ト イイマス。
璃:ふぅん・・・イリス=アディエマスさんて言うんだ・・・(ん?)
なんだか―――今度開催される、フィギュアの世界大会に出場する選手とよく似た名前だね?
イ:アノ ソレ・・・私デス―――
璃:(・・・・・・・・・・・・。)
え?
え??
えええええ〜〜〜っ??!
イ:エ? ドウシタ ノ ・・・デス?
璃:も・・・もしかしなくても―――ご本人様??
イ:ソウ デス・・・ケド?
「い・・・今をトキメク、ちょ〜〜〜有名人じゃあ〜ん!」
「えっ、どうしよう―――か、可愛い〜〜!」
よくある“ラブ・コメもの”の、別パターンとでも申しましょうか・・・
運命の出会いは劇的に―――とでも申しましょうか・・・
偶然にも、自分にぶつかってきた相手が、今をトキメク“超”有名人様だったことに、璃莉霞のテンションも“アゲアゲ”になってくるのでありまして・・・
璃:あ―――あの私、今度開催されるフィギュア大会の特集を見て、あなたの事を応援しようと思ったんです!
もちろん、相手の旧女王―――キシリアって言う人も凄かったですけれど、なんて言うか・・・あなたのあの演技!
白鳥を思わせるかの様な―――繊細で・・・それでいてダイナミックで〜〜
イ:ア、ア、ア・・・アリガト ゴジャマス―――
璃:あっ・・・ごめんなさい、一方的にまくし立てちゃって・・・
でも、頑張ってください―――あなたならきっと、今大会も優勝すると信じていますから!
イ:・・・ハイッ! アリガトウゴザイマス。
実を言うと、璃莉霞は無類の“可愛いらしいもの好き”―――でしたので、TVでの特集を見た時、一目見てイリスの事を気に入ってしまったのです。
それが? 何とも偶然な事に、大会前日に自分が応援したいと思っている選手と鉢合わせになってしまうとは・・・
これはこれで、璃莉霞も天に昇る浮かれ気分となってくるのですが―――・・・
ならば・・・では、なぜイリスは大会の前日に、若者の街をうろついていたのでしょうか―――??
イ:(はあ〜〜ビックリしちゃった―――まさかこんな場所で、私の熱烈なフアンの方とお会いしてしまうなんて・・・。
それより―――『お姉サマ』に手渡ししたいプレゼント・・・見つかるといいなあ・・・)
・・・ん? ちょっと待って下さいよ? 今この娘―――確か『お姉サマ』と?
それに、やはり・・・なのか、この時期大切な大会を前日に控えているとはいえ、自由時間に若者の街に繰り出していたのは、それなりの理由があったのです。
なぜならば―――このイリス自身が、誰よりも敬愛して已まない『お姉サマ』・・・(ん?ん??)
その“リアル”に、自分の手で『お姉サマ』が気に入りしてくれそうなプレゼントを手渡したかった―――
広大なネットの海―――そこで偶然・・・必然的に出会った『お姉サマ』・・・(まさ・・・か?)
長年付き合っていくと共に、『お姉サマ』の現実が“日本人”ではないか―――・・・そう思っていた・・・
そして今回、満を持して『お姉サマ』の現実が住んでいるという、日本へと来ることが出来た・・・(えっ・・・ちょっと―――)
「ああ〜〜これは最早、運命と言うモノ―――」
「ネットで長らくお付き合いさせてもらって、『お姉サマ』が無類の可愛いらしいもの好きだと言う事は、判ってきましたからね。」
「私は・・・残念ながら、『お姉サマ』のお気に入りの範疇には収まらないですけれど―――・・・」
「ですがっ!! キシリアさんにも相談したように、このキャラクター物のぬいぐるみを手渡せばっ!!」
「それも、私とペアで♡ キャー♡♡」
うん・・・ちょっとこの娘、なんだか変デスヨ??
しかも、この妄想爆発っぷり―――もしや???(まあしばらくお付き合いくださいw)
それよりも、イリスが璃莉霞とぶつかってしまった、その原因も―――
特定の相手である『お姉サマ』に手渡ししたい品が、どこにあるのか・・・スマフォで検索している最中に―――だったようです。
{*気を付けよう、歩きスマフォ}
それよりも―――その日のログイン時刻(22:00)
“天国”と“地獄”が、同時に襲ってこようとは―――・・・
市:あらリリア―――どうしたの?
リ:ああ・・・市子ぉ〜〜今日はなんて日だッ! そう思っちゃってぇ・・・
市:何があったのです?
実を言うと、『何かあった』どころのレベルではなかったのです。
リ:実は今日ね? クリスマス・プレゼントと、手作りケーキの材料を買いに、渋谷に行ってきたの。
それでね? 私・・・劇的な出会いをしちゃったんだ!
市:劇的・・・って―――あなたにはもう、清秀と言うのがいるじゃありませんか・・・
リ:違うよぉ! 男性じゃなくって、今をトキメクちょ〜有名な人!!
市:それって・・・もしかすると?!
リ:その通りなんだよ! あの女子フィギュアスケートの現女王、イリス=アディエマス・・・ちゃん? さん?? ―――に、偶然出会っちゃったの!!
市:そ、それは―――! それで・・・どんな方だったのです??
リ:ん〜〜なんて言うのかなあ〜〜彼女、画面越しよりとっても可愛くってぇ―――もうこれって、運命の出会いだよね!?
市:そう言えばあなた・・・清秀から聞くのに、昔から無類の可愛いらしいもの好きだったようですよね。
(ふぅむ)・・・となると、そんなあなたに刺さるくらいの―――可愛いらしさだったのですか?
リ:それだけじゃないんだよぉ〜〜なんて言うのかさぁ・・・彼女ってイタリアの出身じゃない?
なのに、日本の国の言葉を勉強中で―――たどたどしいけど、努力の跡っていうものが垣間見れてて〜〜・・・
実に健気で、ホント―――アイツに、あの娘の爪の垢、煎じて呑ませてやりたかったよ―――
市:(・・・)アイツ―――って・・・ブラダマンテさん?
リ:そう!! それなのにさあああ〜〜たった今、“地獄”に突き落とされた気分だよおぉぉ〜〜・・・
う〜ん・・・あのね? あまり『運命』―――『運命』―――言わない方がいいと思うよ?
・・・と、それよりも、ログインするまでは、とても“ハッピー、ハッピー”だったのに、
ログインして、ある人物からのメールが届いている事に気が付き、それを開封してみると・・・
それを見て、一気に天国から地獄に叩き堕とされた気分を味わうリリア―――
市子がリリアを見かけた時、まさにその人物からのメールを見た後だった・・・
ならば―――リリアは“誰”からのメールを見て、卒倒しそうになったのでしょうか???
つづく