互いに鎬を削り合い、今ここに決着はつきました。

 

現・女王イリスの世界2連覇―――けれど、互いの実力を出し尽くしたことで、やはり(わだかま)りはありませんでした。

それどころか―――・・・

 

 

 

キ:さすがだわ、イリス・・・さらに腕を上げたわね。

 

イ:いいえ、キシリアさんこそ―――四回転成功させた時、私少し焦りましたよ。

 

キ:フフフ―――言ってくれるわね。

  私の演技が終わった後、笑っていたくせに。

 

イ:だって―――私以外に四回転飛べる人出てきちゃったんですから・・・それで嬉しくなって、練習でも成功率低かった“アクセル”出そうと思ったんです。

 

キ:呆れた・・・失敗するって思わなかったの?

 

イ:思いました・・・けれど、挑戦してみて失敗してもいいや―――そうも思ったんです。

  それに・・・

 

キ:うん? それに・・・?

 

イ:それに、この決勝の前に、勇気沢山貰いましたから!

 

 

 

そして次の瞬間、新・旧の女王は、互いの健闘を讃え合うかのように熱く抱擁を交わし合ったのです。

 

 

「こんなにも熱いモノを私との多対決の前に貰っていただなんて・・・勝てるわけがない―――」

「こちらは一人、なのにあなたは多くの応援を背に、リンクに立っていたのだから・・・」

 

「はい・・・私も、彼ら彼女の声援がなければ、今回の勝利はなかった―――そう思っています。」

「こんな素敵なプレゼント、いつも貰えるものとは思っていません、ですから次は、そんな者に甘んじないよう更に腕に磨きを掛けます!」

 

 

 

#115;ひとつの「お祭り」の、その余韻

 

 

 

こうしてこの後、表彰式に閉会式を終わらせ、会場を後にしたイリスを待ち受けていたものとは・・・

 

 

 

イ:ア・・・ミナサン―――(え?)

 

璃:めっちゃ感動したよぉ! イリスさん!

 

豪:けど、判らなくはないぜ。

  オレもスポーツやってっからよ、互いに実力の知れた奴らとぶつかり合うのって、いいよな!

 

聡:そうです! それにパフォーマンスも、どちらも甲乙がつけがたくて〜〜

 

清:ああ、そうだな! ああ言うのを見せられると、観てるこっちも気が昂って来るってもんさ!

 

ナ:それに、四回転のアクセル、男性選手でも成功した例を見ません。

  恐らくイリス=アディエマスも、プラクティスで成功させたことはなかったのでは?

 

イ:ソンナ コト ワカルンデ  ス カ・・・ハイ、ソノ トオリ デス。

  ワタシ モ キシリア ノ ジャンプ・・・ミテナケレバ ブツカル ホンバン? シヨウ シナカタ デス。

 

市:あの技―――ぶっつけ本番だったんですか・・・それでも一発で成功させてしまうなんて、やはり凄いです!

 

 

 

自分に声援をくれた人達、そのうちの一人が飛びついてきて、温かい抱擁をしてくれた・・・

 

 

「いい匂い―――それにこの温もり・・・どこかで?」

「けれど、誰かに祝福される抱擁なんて初めて・・・」

「出来たらこの瞬間―――このままがいいなあ・・・」

「け、けれど私には、『お姉サマ』と言う方がっ!!」

「ああ〜〜お許しください、『お姉サマ』・・・決してこれは、浮気ではございませんのよ?」

 

 

璃莉霞に抱き付かれてしまったイリスは、悪い気はしていませんでしたが、自分には既に心に決めた『お姉サマ』が存在しているので、

二股をかけるのはどうにも許しがたかったみたいです。

 

ともあれ―――このあと自分達も“ある予定”が控えているため、それに備えての帰宅、それからログインしたのです<現在時刻22:50>

 

 

 

リ:いやあ〜今日はなんていい日なんだっ! そう思っちゃうよね〜〜♪

 

市:そうね、あんないい演技(モノ)せられてのライですからね。

 

蓮:ようっす―――ちょっと早かったか?

 

リ:いや、始まるの23:30からだしね。

  それまで、あの興奮と感動〜反芻させちゃおうよ!

 

ギ:そりゃいいな―――

 

ソ:余韻に浸るのも、いいですよね〜〜♪

 

リ:うんうん♪ それに何と言ってもさあ〜一番感動したのは、あの『白鳥のみず・・・

 

 

                                                                               

 

                                                                    〜〜                      

 

リ:ゲフォッ―――!

 

 

 

まさしくの、「天国から地獄へ」とはこの事かッ?!w

今回のフィギュア・スケート世界選手権を、会場で観た感動とその余韻に浸ろうとしていた処へ!

何者かがリリアの背後に、猛烈な高速タックルをかましてきたのです!!

{*アメ・フト、ラグビーでは危険行為w}

 

しかもその現行犯とは、“やはり”の―――

 

 

 

リ:ブラダマンテぇ〜〜〜やっぱオメーこっちに来てやがったか!!

 

ブ:ええ〜〜っ、心外ですぅ〜〜ちゃんと事前に、メールをお送りしたじゃないデスかあ〜〜(くねくね)

 

リ:受け取ったけどもッ! なにもいきなり反則技かましてくる事ぁたいだろがッッ!

  それに・・・お前、そんなに可愛い子ぶっても、ちぃとも可愛くないかんなッ!!

 

ブ:ええ〜〜っ、それも心外デスぅ〜〜(くねくね)

 

リ:“デス”“デス”“デス”“デス”って、こんなろ・・・そんなに私をPKしたいってか?!

 

ブ:そ、そんなあ〜〜わたくし、折角今回優勝しましたから、お姉サマに褒めて頂こうかと―――

 

                

 

市:『今回優勝』―――って?(←少し気付き始めてる)

 

ソ:まさか・・・ですよねえ?(←少し気付き始めている)

 

ギ:・・・て言うか、“アレ”の外に競技会あったのか?

 

ナ:私のデータでは、同日にそのようなものは該当しておりません。

 

蓮:いや・・・スポーツだけじゃなくて、その他以外―――って・・・

 

ナ:該当しておりません。

 

ギ:て〜〜事は・・・?(←ようやく気付き始めました)

 

蓮:まさ・・・か―――な・・・(←ようやく気付き始めました)

 

ブ:皆さん何のことを仰っているのデス?

 

リ:そうだよ・・・こんな凶暴なヤツが、あんな繊細―――・・・(←どうやら徐々に?w)

  ・・・なあ? ブラダマンテ? 参考までに聞いていいか?

 

ブ:ハイッ! お姉サマならどんなことにもお答えしますッ!

 

リ:(・・・)オメーが『優勝した』の・・・って、ナニ?

 

ブ:はあいっ! それはもちろん、『五大陸選抜選手権』DEATH!

 

リ:それってぇ・・・フィギュア・スケート・・・の、じゃあ・・・ないよな?

 

ブ:何を仰ってるんDEATHかあ〜(くねくね) お姉サマったらッ♡

  それ以外ないじゃないDEEEEEATHかあ〜〜(くねくねくねりん)

 

 

 

それこそは、まさに青天の霹靂―――衝撃の事実と申しましょうか・・・

思えば、あの衝撃のメールが届いた時点で気付いておくべきだったか・・・

今にして総ての謎が氷解してきた―――

確かに、自分をウザいほどに慕ってくる義理の妹分(ヤツ)は、かの大会優勝したいたい―――と、そうかれてあった・・・

それに、今ここに居る義理の妹分(ヤツ)は、義理の妹分(ヤツ)自身の計画通り、こうしてここにいる―――

 

いや? 待て?? そんな事よりも大事なのは―――・・・

 

 

 

リ:おまっ・・・それじゃあ何か? お前が()()・・・ガクブル

 

ブ:テヘッ♪ バレちゃいましたか。

  そう、私のリアルは、イリス=アディエマスDEATH!♡

 

 

 

その瞬間―――言い知れない虚無感、脱力感、絶望感に見舞われてしまうリリア・・・

 

しかも、リアルでの璃莉霞――リリアは、イリスのことを気に入っちゃってしまっていたのDEEEEEATH!!

 

 

 

リ:そ・・・そんなあああ〜〜〜あんな可愛いイリスさんが、こんな義理の妹分(ヤツ)だったなんてえ〜〜〜(鮫々w)

 

ブ:あ・・・あの〜〜お姉サマ?

 

リ:うっさい! わたしのあのハグ、返せぇ〜〜!!

 

ブ:(ハグ・・・)もしかして! お姉サマって、征木璃莉霞さん??

  (ゾクゾク〜)ああああああ〜〜〜わ、わたくし達・・・見えない運命の赤い糸で、既に結ばれていましたのDEATHねえ〜〜〜♡

 

リ:ンなワケあるかあ〜! ああ〜〜〜ン・・・私、一生の不覚だよおぉぉ〜〜(鮫々w)

 

 

 

今日と言う日は、またとない“ハッピー”な日だと思っていたのに、なぜか・・・の、この仕打ちw

神はどれだけリリアに試練を課そうとしているのでありましょうか。(合掌w)

 

しかし・・・実は事態はこれだけに留まらず―――

 

 

 

キ:何をしているの―――ウルッサイわねえ・・・(イラッ)

 

ギ:(げ)『氷結の暴君』・・・

 

市:あなたまで・・・でも、もしかすると―――

 

ナ:IDとデータ一致。

  その通り、この者こそキシリア=アグリシャスです。

 

蓮:って・・・おいおいおい―――すると何か?

  あの世界選手権・・・って、オレ達の知っていた者同士の・・・

 

 

 

互いの実力を出し切り、健闘を讃えた―――はずなのでしたが、やはり敗けは敗け・・・

その事は相当悔しかったものと見え、そこには明らかに不機嫌そ〜なキリエの姿があったのです。

 

しかも同日、普段利用していたウラジオストック・サーバーから一時的にトウキョウへと移ってのログイン・・・

その事が判ってしまえば、何ら不思議ではないのです。

 

しかしながら、ブラダマンテを見ての様に、現実内と仮想内とは斯くも違う・・・

現実内ではあんなにも清々しかったのに―――とはよくある話し・・・

 

果たして、この後無事に済むのでありましょうか。

 

 

 

つづく