『鞭声粛々と〜―――』の“節”にもあるように、そのサーバー・・・「ロンドン」に辿り着いた一行は、
特に過敏にはならないよう、けれどしかし、足早に、このサーバーのゲートから離れ、行動を開始するのでした。
とは言え、今回ばかりは、対象者「セシル」の居場所を知っているわけでもなく、
以前このサーバーに立ち寄った事があるから、それぞれの心当たりを“探る”のでしたが―――
「当たり」どころか、手応えすらも得られなかった・・・
それに、下手に長居は出来ない―――
とあっては、実は「時間制限」は設けられていたのです。
そして・・・一方のこちらは―――
いつも通り、定時のインをし、これからすべき事の準備を整えていた処・・・
−ピ☆ キン―――
「この・・・感覚―――」
「いる・・・いるわ! 確実に!!」
嗚呼、なんとも無情なるかな。
気配を押し殺し、細心の注意を払っていたと言うのに、立ち処に鋭敏な“センサー”にかかってしまったのです。
だからこそ、「優先事項」も繰り上がってしまい、本来ならば、いつもインしてすぐにやらなければならない「最優先事項」そっちのけで、
「ある存在」の“捜索”に取り掛かる「神殿騎士」・・・
そう・・・彼女達が畏れている存在が、動き出してしまったのです・・・。
一方リリア達は、3人で対象者を探すことに限界を感じ始め、
多少危険は伴うものの、単独で探し出す手段に切り替えたのです。
そして・・・その最中に、ある「不浄の存在」(?)を、目にしてしまう市子は・・・
「こちら市子です!」
「ターゲット2視認、どうやら勘付かれ―――あっ、消え・・・た?」
ナニかを求め・・・彷徨う「不浄の存在」(??)を、その目で確認してしまった市子は、
PT内での「チャット」で、連絡を取ろうとしました・・・
なぜなら―――その「不浄の存在」(???)が、標的としているのが、市子自身の信友だと判っていたから・・・
しかし―――以前の、市子自身も知っている、その「不浄の存在」ではなかった・・・
自分達の知れないところで、進化を遂げた・・・その「不浄の存在」は、
まるで「アンテナ」のような「アフォ毛」が立ち、“信友”の居場所を特定しつつあるような動きを繰り返し、
そしてついに、特定してしまったか―――と、言う様に、市子の視界から消えてしまった・・・
するとすぐに、危機感を覚えた市子は、現在別行動を取っている、プリンとも連絡を取り合い、
信友の身の回りを固めようとしたのです。
「けれど・・・さながらにして思う―――」
「私達は・・・認識が甘かった―――いや、甘すぎたのだと!」
途中、何の妨害もなく、警護対象と接触出来た市子とプリンは、
周囲を警戒しつつも、人目のある場所を避け、移動を開始するのでした。
その道中で―――
リ:なあ〜〜〜市子さん・・・本当に確認したの?
市:はい・・・“アレ”は紛れもなく―――
プリ:そんなに危険な人なの?
市:そう思ってしまうでしょうね・・・。
斯く言う私も、この目で見るまでは、信じられませんでしたから・・・。
それに―――なんと表現していいのでしょうか・・・
以前、あの人とお会いした時には、こう・・・「頭から生えている、アンテナの様なアホ毛」とでも言うのでしょうか?
そんなモノが突如立って、まるでリリアさんの居場所を探るかのような動きをしたものですから、ここにこうして・・・
リ:うっへ―――なんだよ、そりゃ・・・
それに、ソレが事実なら―――・・・
す る と そ の 時
お ね い さ ま 見 ぃ ぃ ぃ 〜 っ け♡
#60;リリア危機一髪!!!
突如―――物陰から現れた「不浄の存在」(????)は、あらん限りの力を振り絞り、
リリアに抱き付いてきたあ―――??
しかも、手加減無用―――で・・・なので、その締め付け様に、一気に顔色がヤヴァイ色に変色してしまうリリアが??
それを目の当たりとしてしまったプリンと市子は―――・・・
プリ:えっ?えっ?えっ?えっ?えっ?えっ?えっ?えっ?えっ?えっ?えっ?えっ?えっ?えっ?えっ?えっ?えっ?えっ?えっ?えっ?えっ?えっ?えっ?えっ?えっ?えっ?
市:リ―――リリアさん?!
ちょっ・・・ブラダマンテさん! その手をお放しなさい!!
ブ:え〜〜〜イヤですぅ〜〜〜
どうしてわたくしが、心より愛するお姉さまから、離れなければならない道理が??
市:あなたっ―――いい加減にしてくれやがれですわっ!!?
そのまま締め付けたら、リリアさんが死んでしまいますっ!!
それともあなた・・・街中で、PKなされるおつもり?
ブ:えっ・・・あら、いけない―――
わたくしったらぁ〜〜お姉さまとお会いするのに、も〜う抑制利かなくなってぇ〜〜♡
「それ・・・全然自慢じゃないですよね―――」
とは、市子の心の叫び・・・
それにしても、愛する「お姉さま」を慕う余りに、力の加減を知らない「困ったサン」―――
確かに、自分の信友を慕ってくれる「だけ」なら、何ら問題はないのですが・・・
問題性があるとすれば、その表現の仕方―――
それを間違えてしまうと、今、自分の膝枕の上で、「半ノビ」の自分の信友の状態となってしまう・・・
それに、想像以上のモノを、まざまざと見せつけられた未経験者のバードも、
先程から回線の具合でも悪いのか、単語に疑問符が付いたものを、延々と繰り返すばかり・・・
そう―――つまり、リリアと市子は、「こうなる事」を避ける為に、施策を打ち立てたのでしたが、
御覧の有り様を見れば、条件未達成に終わってしまったことが、知れるのです。
そして、気を戻したリリアは―――
リ:ううう〜〜〜ん・・・
どこだぁ?ここ―――・・・
「神殿」じゃない・・・ってことは―――生きてんのかぁ・・・
市:リリアさん?! 大丈夫ですか?
リ:ああ・・・なんとかね、ありがとう―――市子さん・・・
ブ:お姉さ―――
リ:むぅあてえい!
お前そっから近寄んな・・・切るぞ―――(フレを)
ブ:え・・・ええええ〜〜〜っ??
そ・・・そんなご無体なあ〜〜―――
わ、わたくしも、市子さんと同じように、お姉さまに膝枕したいですぅ〜〜!
リ:要らん―――余計な真似はすんな・・・
やったら・・・切るぞ―――(フレを)
ブ:(キュゥ〜ン・・・)はぁい・・・
「嗚呼〜〜〜こう言う事だったんだね?」
「二人が、“ああした”反応したの・・・って」
プリンも、かつての自分の仲間の現況を知りたいが為、かつての仲間が本拠としていたサーバーを、知らせた「だけ」でした。
そこであった、少しばかりの拒絶反応―――
リリアのクランに入るまでは、他人同士だったのだから、そうした反応も無理もない―――
とは思っていたのですが、プリンの悩みを聞いたリリアと市子は、「ある障害」からの妨害工作がなければ、
2つ返事で返していたのです。
けれども、本来の目的までは失われていないので、“続行”―――と、なるのでしたが・・・?
リ:まあ・・・めっかったもんは、しょうがねえか―――
おい、ブラダマンテ、私らのPTに入れ。
はい?
市:あ・・・あの―――どういうつもりです?
プリ:そ・・・そうだよぉ〜〜―――こんな危険な・・・
リ:だからこそ―――だよ。
こっちの本来の目的を達成させるまで、一々妨害喰らってちゃ、敵わんからな・・・
ブ:ところで〜〜わたくしを、お姉さまのPTに入れて頂けるのは、非常にありがたいのですが・・・
そもそもどうして、お姉さまは、このロンドンに来られているのです?
リ:ああ―――そうだなあ・・・
お前も、一応は「神殿騎士」だ・・・だから少々こちらの事情に通じているかと思ってな。
なあ・・・ブラダマンテ、お前、こちらのサーバーに、「神聖騎士」で、「セシル」って人の事を知らないか?
ブ:「セシル」―――・・・
ああ、異端審問のセシル卿なら、ご存知ですが・・・
たった今、何ら関係のないと思っていた処から、急に繋がり始めた・・・
確かに先程、絞め落とされる寸前にまで追い込まれながらも、残りのPT枠に「超問題児」を入れたのには、
正直疑問にばかり思っていましたが、見失ってはならない本来の目的・・・
「セシル」と言うプレイヤーを探し出すため、その人と同じ系統である神殿騎士なら、彼の人物の所在を知っているものと思い、
問い掛けてみた処・・・やはり、神殿騎士は知っていた―――
それどころか剰え―――
リ:そか・・・そりゃ助かる。
で―――その人、今どこに・・・
ブ:え?セシル卿なら・・・ほら、あそこに―――
えっ??
リ:なんだかなあ〜〜さっきまでの、私達の苦労はなんだったんだ―――
こいつ加えただけで、こうも簡単にめっけられるとは・・・
市:でも・・・少々私達が感じていたのとは、違っていますね―――
プリ:セシル―――?
やはりブラダマンテは、セシルなる者と、同じサーバー出身、同じ系統のジョブ・クラスであることから、
現在のセシルと言うものを、良く知り得ていました。
だからこそ、すぐに出来る“指摘”―――
けれど・・・実を言うと、現在の状況と言うのは、まさに「偶然の産物」と言えたのです。
それと言うのも、ブラダマンテに見つかることなく、セシルの捜索をしていたリリア達・・・
その時には、「セシル」なる者の、現在の風貌も知らなかったので、探し出すのにも一苦労していたものだったのですが・・・
本来なら避けるべきブラダマンテを、PTに加えることにより、すぐにセシルは見つかったのです。
これはこれで、リリア達よりは、顔を突き合わせる機会が多い、ブラダマンテだからこそ出来たと言えたのですが・・・
実は―――
ブラダマンテが、セシルを見つけたタイミングが、普通ではなかったのです。
いかにも、今戦場から帰還したかのように、装備品には血が付着しており、
何より雰囲気そのものが、殺伐としていた・・・
そのことに、かつての仲間が、何とも形容し難い苛烈な環境に身を置いていることに、不安に駆られてしまうプリン・・・
けれど、そんな彼女の心配事を余所に、更にブラダマンテが口ずさむのには・・・
ブ:ああ―――どうやら今、ヴァンパイアを討伐してきたばかりのようですね・・・。
リ:(!)なんだって?ヴァンパイア―――?!
ブ:はい―――それに、今回の討伐対象も「公爵」のようですね。
リ:(公爵・・・)サヤさんじゃなかったか―――
ブ:(・・・)お姉さま、差し出がましいようですが、お一つご忠告を・・・
なるべくなら、“ああした”不浄なる存在とは、交流すべきではない―――と、思われるのです。
市:なんと言う事を・・・
私達の権利を奪おうと言うのですか!?
それは、あなたも知らないはずはありませんよね?
ブ:本音を申し上げておきましょう・・・。
わたくしも、彼のレイドボスを倒す折には、協力してさしあげましたが、心からは納得していなかったのです。
それを、協力し、申し上げたのは、お姉さまからの要請があったからこそ・・・そこを、勘違いされては困りますわね。
この“地域”の特性でもあるからか―――
それとも、神職であり、騎士職でもあるからなのか―――
やはり“彼ら”は、「不浄なる者」の代名詞である、ヴァンパイアの事を、快く思ってはいなかった・・・
それを、万象繰り上げて協力した―――と言うのも、自分が敬愛する存在からの要請があったからこそ・・・。
そして今―――開かれる・・・
人、知られざるの処で繰り広げられる、血みどろの「闘争」が――――
つづく