その種属、特有能力―――『吸血』・・・

“血”は、命の等価にして、同時に「魂」そのものである・・・。

 

それを奪い、自らの“空虚さ”を埋める、「糧」とする・・・

だからこそ、彼の者達の事を、人間は畏れるのです・・・

「血」を「吸」う「鬼」―――と・・・

 

ですが、吸血鬼にも色々あったようで。

その事を「子爵」サヤからの説明(レクチャー)・・・

 

 

サ:まあ―――、一般的に知られてるのは、「吸血鬼」に吸血された者は、「吸血鬼」になる・・・

  しかし、そうなってしまう時は、一度死んでしまうから、復活した際には「不死属性」となってしまう・・・

  ここまでは、誰もが知ってる“事実”だ。

 

  だが、そう言った連中の、もう一つの特徴としては、「ココロ」がない・・・

  言わば、「ゾンビ」や「グール」「レヴナント」と一緒・・・下等なアンデッドと、さして変わらないのさ。

 

リ:なるほどなあ・・・けど、サヤ―――あんたはどこか、違っているように感じるんだけど?

 

サ:ま、そう言うこった―――

  私も、言ったらヴァンパイアの「端くれ」だ、だから咽喉の渇きを覚えれば、吸血することだってある・・・

  ただし、それも無闇矢鱈とじゃない、「自分の意思」で、そうしているのさ。

 

 

“物事の分別”がついた上での“行為”―――

これ程高等で、厄介な事はない―――と、リリアはそう思いました。

 

確かに、サヤは「ヴァンパイア」―――ですが、その彼女が一度として、仲間だった自分達に対し、

そんな“素振り”を見せたことがあっただろうか―――・・・

 

もし彼女が、彼女の言う様な「下等なアンデッド」だった場合は、確かに「そうした」事だろう・・・

けれど、「そうしなかった」事こそが、サヤが高潔な存在であることの証しでもあるのです。

 

ですが・・・

そこの処は判ったのですが、ならばなぜ「公爵」の動きが、彼女達にしてみても、「厄介」なのか・・・

 

 

サ:あの人は、さ―――そうした意味では、「じじぃ」・・・「大公爵」様よりも抜きんでているのさ。

  言ってみれば、「今」の私達が“そう”さ―――

  この「アバター」を動かしている時は、“回線”が繋がってて―――その回線の向こう側には、「操作者」である、「私達本人」がいる・・・

 

リ:(!!)お―――おいおい・・・“それ”って・・・

 

サ:ようやく分かったか―――そう言う事だ、「厄ネタ」だろう?

  しかも、あの人の、より一層性質(たち)のは、そうした「っていない状態でも、強力スキル使いたい放題・・・ってにある。

 

 

「公爵」自身は“真祖(トゥルー・ヴァンパイア)であり、サヤじくして、高潔存在・・・

ではあるものの、今現在「動いている」のは、いわゆる「操作者不在」―――

NPC()()()()()であり、敵性存在(エネミー) ()()()()()であるとも、言えていたのです。

 

だから今―――サヤ達が「立て込んでいる」事情と言うのも、所詮相手は、空虚であるが故の、捉え処のない存在・・・

 

それに―――・・・

 

 

サ:それに―――な・・・

  こう言う事は、“度々(たびたび)あるんだ。

 

リ:「度々(たびたび)―――って・・・

 

サ:もう少し突き詰めて言ってしまえば、あの人の「リアル」にも関わるんだ・・・

 

 

そして、ここで語られる事実こそが、今回の事の発端だった―――

 

そう・・・サヤは、「公爵」の「リアル」を、知っていた・・・

それは、彼女が「公爵」と同じくの存在であり、だからこそ情報の共有をしていたから・・・

 

ならば、「公爵」の「リアル」とは―――?

 

 

 

#63;「王者(チャンピオン)」エルミナール

 

 

 

場面は一転し―――今はここ・・・とある「プロスポーツ」の、“競技の場”とも言える場所・・・。

 

その「プロスポーツ」は、主に“屋内”で催され、

「白い四角いリング」に、「4つのコーナーポスト」に「4つの鉄柱」・・・

その「4つの鉄柱」に張られる「ロープ」・・・

 

 

実況:さあ―――ここで、「王者エルミナール」、挑戦者ドーラを捉え・・・ロープに振った、そしてドロップ・キック―――

    いやあ・・・いつ見ても華麗で、技の衰えと言うものを感じさせませんね―――解説さん。

解説:はい―――全くその通りですね。

    彼女が王座に就いて、おおよそ10年以上になろうかと思われますが、

    自分よりも若い挑戦者を物ともせず、全て跳ね返してきていますからね―――

 

実況:あ〜〜〜っと?ここでエルミナール、自分が優位であるにも拘らず、どこに隠し持っていたんでありましょうか、凶器です!

    凶器でドーラを痛めつける・・・そして、ここでブーイングの嵐!

    いやあ〜〜解説さん、ここはまさに、王者でもありながら、同時に優秀な「悪役(ヒール)でもある、

    エルミールの面目躍如―――と、言ったところでしょうか?

解説:そうですね―――私も、彼女がデビューしたての頃から知っていますが、

    いわばその頃の彼女は、完全な「善玉(ベビー・フェイス)で、数少ない技巧者(テクニシャン)として、られていたんです・・・

 

実況:あ〜〜っと、ここでゴング―――!

    レフェリーの判定で、エルミナール反則負け!

    しかしながら、ドーラは勝ちましたが、正式な勝利とはならないので、今回はタイトルの移動はありません!

 

    ああーっと? そしてどうやら、観客のブーイングに対し、エルミナールが―――・・・

 

 

その様子こそは、まさにそのプロ・スポーツ・・・「女子プロレスリング」の、実況中継―――

しかも現在、「王者(チャンピオン)たる「エルミナール」なる者は、拠点としているヨーロッパ各地を転々とする、「タイトル・ツアー」の真っ最中だったようで・・・

 

そして、ここで興味深い事実が、一つ―――

先程の、サヤが危惧していた、「公爵」の徘徊(はいかい)と、「タイトル・ツアー」とか、恐ろしいまでに被っているのです。

 

そう・・・つまりは―――

「王者・エルミナール」こと、「エルミナール=シュターデン=カーミラ」こそが、「公爵ヘレナ」の、「リアル」だった・・・

 

しかも彼女は、女子プロレス界の“花形(スター)であり、なによりエンターテイナ競技に、なくてはならない存在だった・・・

 

それに―――

 

 

マネージャ:エルミナール様、相手のマネージャがお越しです。

 

エ:今日はいいファイトだったよ―――

  それより、ドーラって娘、大丈夫だったかい?

 

相手マネージャ:いえ、少し傷が出来た程度ですが、こうした競技では、傷はつきものですから・・・

 

エ:そうかい―――こいつは、今回の治療代だ、取っておきな。

 

相手マネージャ:し―――しかし、それでは・・・

 

エ:私もさ、新人の頃には、先輩方から「可愛がられ」たもんさ。

  だから、今回の「これ」は、その時のお礼をしているものなのさ。

  決して“施し”なんかじゃない・・・それに、今度はあの娘が、あの娘が可愛がってやりたいと思っている新人に、

  同じことをして返してやればいい・・・これはね、そうしたものなのさ―――

 

 

今、ようやくにして知れるところとなる、当代一の悪役レスラー(ヒール)エルミナール真実・・・

 

それに、この世界(プロレス)悪役とは、その言葉通りの色などではなく、ばの必要悪的存在・・・

しかし、そうした意味では、「悪役」に就けるのは、これまでの経験を蓄積し、発揮できる存在―――

「試合」を、ただ単なる試合としては見ず、「ショー」として・・・

自分が、どう立ち振る舞えば観客が湧き―――またブーイングもし、そこを派手に、新人に・・・挑戦者にやられる―――

そうすることで、また一層観客は、歓びに震える・・・

 

そうした、一つ一つの意味を分かっていないと、とても「悪役」は務まらない―――

ただ闇雲に凶器を振り回し、相手を傷つける“だけ”など、愚の骨頂―――

 

エルミナールは、だからこそ、優秀な悪役足り得ているのです。

 

 

―――と、そんな中・・・

 

 

エ:(ふぅ・・・今日は時間が空いちゃったことだし、久々にインしてみよっか―――)

  さぁ〜て♪ あっちでの「ヘレナ」ちゃんは、いい子にいてるかね〜〜♪

 

 

そして―――実に、数か月ぶりとなる、ログイン・・・

 

いつも、寝床としている「棺桶」より起き上がり―――

今まで、自分の「ゴースト」として、自律稼働させてある“存在”を回収―――

そして、蓄積させてあるメモリ・データを修得していくと・・・

 

 

ヘ:ありゃりゃ―――まあ〜たちょっと厄介を起こしちゃってるみたいだねえ〜?

  一応、こうした手法も、使えるもんだと思ったけど―――こりゃ“あいつ”に相談しなくちゃなんないかねぇ・・・

 

 

今回の「騒動」―――

例の、異端審問達との衝突の事を、さながらに知っていく「公爵」・・・

 

しかし今回の件は、エルミナールや、彼女に協力・・・何かしらの施策を提供している者達の助力の上で、

エルミナールの様に、リアルでの職業上、定期的にインできないプレイヤー達の事を鑑みた上で、

自分を「モニタリング」として、試験運用していた―――

 

けれど、結果を見れば、御覧の通り・・・

他のプレイヤー達と、度々諍いを起こすようであっては、本末転倒―――

プランを一から見直す必要性が出てきたのです。

 

で・す・が―――

そう・・・お分かりだろうか―――

今、ベルリンには、まさに彼女の事を追ってきた存在がいる―――と、言う事を・・・

 

けれど、そんな事は何一つ知らないでいるヘレナは、久々のログインを満喫すべく―――・・・

 

 

サ:(げっ??)こ―――公爵さん??

ヘ:おや、サヤじゃないか―――ん〜で?なんだい、その表情・・・

リ:うっわ―――なんだこりゃ? すっげー美人・・・

 

ヘ:おやおや・・・嬉しくなっちゃうような事、言っちゃってくれる子だねえ〜♪

サ:(・・・って)ちょっと―――今・・・「魂」入ってます??

 

ヘ:は?「魂」??

  ・・・ああ〜〜―――今、()()()()ログインしてるよ

  〜〜ん―――て事は・・・その子、やっぱ「そういう関係」で?

 

サ:(あ゛〜〜)まあ・・・遠からじとも近からじ〜〜とも、もうしましようか・・・w

 

ヘ:なんだい―――なんだい―――いやに奥歯に物が挟まらせる物言いをしてくれるじゃないか。

 

 

「てか・・・あっるえ〜?」

「さっき、サヤさんから聞いてたのと、大分(だいぶ)―――うか、かな〜り印象??

そう・・・とどのつまりは、先程のサヤの説明により、リリアの(なか)での公爵イメージが、以下・・・

「プレイヤーとしては、恐らく自分よりも手強く」

「敵に回してしまった場合、かつての「因縁の宿敵」以上の厄介さを感じた」

その事に加えて―――の、

「実質上の、この種属のNo,2」

ともなれば、最悪ここで、無念の撤退を選ばざるを得ない―――とまで、危惧していたのに、

その危惧を“杞憂”としてしまう「事実」こそ、

「規格外の美貌」

にして、

「ダイナマイト・ボデイ」

を持ち、なにより・・・

「人懐っこい」

 

?   ??   ???

 

しかも―――サヤが、この人物を評するに辺り、「厄ネタ」とするのも、就中(なかんずく)・・・

 

 

ヘ:おやおやおや〜〜ん?♪

  この娘―――中々いい體付き、しているじゃないかあ〜い?♪

 

リ:へっ―――?

  あっ―――??

  ヤッ―――・・・

  ど、どこ(さわ)ってんしゅかあ〜〜!!

 

ヘ:ン・フフフ〜ン♪

  照れない照れない・・・総てを、この私に委ねてくれりゃあ〜ねえ?♪

 

リ:ちょちょちょっ―――サヤさぁん! この人ナニ〜〜?

 

サ:あ―――言っとくけど、その人「両方」イケる口だから。

 

リ:はあ〜〜? なによ・・・ナニナニ―――「両方」・・・って!

 

サ:ん〜〜・・・「男」と「女」?

  「両方」(イケ)ちゃうなのよ―――

  どうよ?w 「厄ネタ」だろ〜〜う?ww

 

 

「そ〜〜ゆ〜〜意味で言ってたんか〜〜い!」

 

嗚呼―――無情なるかな・・・

まさに今、自分の身体の「敏感な部分」を触られまくり、

変な声(w)を出しそうになるも、耐えるリリア―――

 

果たして彼女は、またしても凌辱の嵐に、晒されるのであろ〜〜かッ!(違w)

 

 

 

つづく