自分の母が、活動している場所は違えど、「生きている」―――事を識った璃莉霞は、
だから―――
璃:だったら・・・会わせてください、私の母さまと!
それは、あまりに、当然の事と言えました。
長らく大人達の事情で、真実を語られてこれなかった・・・
それが“今”―――活動している場所が、現実内ではなく、ネット上での仮想内なのだと言う。
だからこそ璃莉霞は、その一点に限り、実の母である征木阿重霞に会わせてもらうよう願ったのです。
けれど―――
ペ:それは無理だ―――
「なぜ・・・また、どうして―――?」
「どうしてこの人達は、頑なまでに私と母さまとを、会わせたくないのだろう・・・」
「会わせないのだろう―――?」
すると―――
ミ:実はその事も、話しておかなければならないのよ。
あの事故当時、阿重霞が使用していた「アカウント」―――それが『エリス』。
璃:『エリス』??
でも・・・私が使っているアカウントは―――
ジ:あの子ったら、大した才能を持っていたのよ。
確かに、事故当時使用していたのは『エリス』・・・なのだけれど、
それとほぼ同時に育てていた「アカウント」―――それこそが『リリア』だったの。
ペ:つまり阿重霞は、ワシ等でさえ一つのアカウントを育てるのに「あくせく」としていたのに―――
ミ:それをあの人は、2つの別のアカウントを、「同時」に育てていたのよ。
今になって知らされる、征木阿重霞の“異能”・・・
それが、別のキャラクターを持っていながらも、そのどれもが遜色なく育てていたと言うのです。
(ちなみに・・・「ジィルガ:Lv500」「ペルセウス:Lv150」「ミトラ:Lv150」「リリア:Lv120」
「エリス:Lv400」
もう一つちなみに・・・事故当時のLv「ペルセウス:Lv90」「ミトラ:Lv90」「リリア:Lv90」「エリス:Lv90」
つまり、ここで判る事とは、「エリス」は、事故当時からもレベルは上がっている・・・プレイを、人知れずの処で、続行していると言うのが判る)
とは言え・・・?ならばどうして、生きている阿重霞のアカウント―――「エリス」に会わせてもらえないのか・・・と、言うと。
ジ:璃莉霞ちゃん、あんた・・・ジョカリーヌちゃんの「女媧」を倒したでしょう?
璃:えっ―――あっ、はい・・・
ジ:あの“存在”・・・って、何て呼ばれていたか、覚えている?
その、瀬戸―――「ジィルガ」の言葉で、明確に甦ってくる記憶・・・
そう―――・・・
璃:「パーソナル・レイド・ボス」・・・『四凶』―――
でも、待って下さい? だったら私達・・・
ジ:『総ては可能性の為に』―――
璃:え・・・・っ―――
ジ:これから先の事は、まだまだ話せないけれど、少なくとも「この言葉」だけは、覚えておいて頂戴。
「また・・・」
「また・・・だ―――」
「また「その言葉」・・・」
「そう言えば、私が慕う「あの人」も、しきりにその言葉を口にしていた・・・」
「それに、私の事を「豎子」と呼んでいた人も・・・」
「何が・・・隠されているんだろう―――」
「それに・・・「その言葉」に、私の母さまは、今を以てしても尚、深く関わっている・・・」
「そんな気がしてきた―――・・・」
「そうか・・・そう言う事なんだ―――・・・・」
「私は“今”、大事なことを話されている―――」
「ならば・・・だからこそ識りたい・・・識っておかなければ、ならない気がする・・・」
璃:判りました・・・では、「あなた達」は、一体何者なんですか。
恐らくは、受け入れられない事実を知らされ、戸惑う事があるだろう・・・
なのにこの子は、この子の母と同じ様に、賢く―――強い・・・
だからこそ、その事だけには、応答えてやらねばと―――
#68;知られざる“運営”の実態
ミ:“私”は『ミトラ』―――『Odysseia−OnLine』の、運営開発チーム「13人の長老」の一人よ。
ぺ:そして、“ワシ”は『ペルセウス』―――同じく「13人の長老」の一人だ。
ジ:フフフ―――そして“私”は・・・この2人と同じ「13人の長老」の、一人・・・
それと同時に、「管理権限者」の一人でもある、『ジィルガ』よ。
このゲーム・・・『Odysseia−OnLine』の、「運営開発」の人間と、「管理権限者」・・・
「そう言えば、母さまに聞かされたことがある・・・」
「そのゲームの運営開発には、世界の頭脳とも言える人達を集めているのだと・・・」
「それに、「ジィルガ」・・・瀬戸様が、こんな時にお道化てこないのは、」
「今回の件が、殊の外重要だと言う事を証明している・・・」
「あれ・・・?なんだか―――震えてきちゃった・・・」
「今、私・・・とんでもないことを知っちゃった―――」
「けれど、この大人達は、私にそれを識らせようとしている・・・」
「逃げちゃ―――ダメだ・・・」
「逃げちゃ、ダメなんだ―――」
身体が、「恐怖」ではない、別の事で打ち震えている事を覚える璃莉霞・・・
本当のことを言えば、実の母の現況が判りさえすればよかった―――
けれど、その事をまず話すには、大人達が何をしていたかを話さなければならなかった・・・。
それにどうやら、その時ですらも「限定的」であるとも知らされたのです。
そう・・・まだまだ、この大人達には、豎子達には知らせられない事情がある・・・
そして、“今”ようやく繋がる―――
あの「再会」を果たした時、「ある称号」と同時に、自分が慕っていた人が、言った「言葉」・・・
リ:あの―――「筐」は?
ジョ:ちょっと待っててね―――
『遂に豎子の名を為さしむ』
リ:(え・・・?)
市:その言葉―――
ジョ:言わば、今の言葉は、この筐に施されている封を解く、一種のパスワードの様なものだよ。
リ:(う〜〜ん・・・)アレ・・・?「開拓者」?
ジョ:読み方は、『フロンティア』と、そう呼ぶ―――
市:「称号」を・・・筐に入れて、それに封を施すなんて・・・
ジョ:さすがは市子だね。
そう―――だけれども・・・
リ:(???)あの・・・ジョカリーヌさん、これほとんどマスキングされてて、「称号」の名称以外は・・・
ジョ:それは、これから君が解いていくんだ。
それも、君の仲間と一緒に・・・「可能性」を埋める事で―――ね。
リ:(「可能性」・・・)うん、判った―――
ジョ:そして、今だからこそ言えることがある・・・
『期待をせよ、やがて始まる、君達の物語に』
その言葉を聞いた時、「なにを今更」と思ってしまった・・・
それと言うのも、そのクランの溜まり場にいたメンバー全員の平均Lvは「50」前後・・・
なのに、自分達の冒険は、「やがて始まる」のだと言う・・・
その意味は、あの時、判りだにしなかった―――判るはずもなかった・・・
けれども“今”なら判る―――
自分達は、あの時でさえ、「スタート・ライン」にさえ、ついていなかったのだ・・・
そして“今”―――運営側の一人から語られ出した、真実の一つ・・・
これが―――これでようやくの、「スタート・ライン」・・・
自分達は何も、遊興に供じさせられているわけではない―――
“今”はまだ、判らないけれど、何かとてつもなく大きなことに、邁進をしているのだ・・・
だからこそ、璃莉霞は肚を括りました。
そして話しは、これだけに収まらなかった―――収まるはずも、なかったのです。
それと言うのも、またしても、この人物の“一言”が―――・・・
瀬:ぃようし―――じや、璃莉霞ちゃん、あんたこれから「征木」姓に戻りなさい。
璃:(・・・・・)はああ〜〜?!
っっ―――て・・・瀬戸様? そう、いきなり言われましても・・・
驍:ふむ―――まあ、手続き上のことならば、心配しなくてもよい。
婀:あなたったら―――・・・
璃:“あなた”ぁあ?!
え・・・でも、驍様、私の母さまを呼ぶときにも、「ワシの妻」だって・・・え??
瀬:その事情を話すと、“こちら”では、話しがややこしくてねえ―――w
璃:はあ?!
驍:(ヤレヤレ・・・)早い話が、この国の「民法」上では、法に触れている事なのだ。
婀:言ってしまうと、「重婚罪」というのにね。
瀬:驍君もさあ〜〜どっちが一人に決めりゃ良かったのに、中々決めらんなくてねえ〜?w
え? え?? ええ???
璃:っっっ・・・て事は、ひょっとして―――秀ちゃんと私・・・
婀:「腹違いの兄妹」・・・って事に、なるのよねぇ。
璃:(おば様・・・)じ・・・じゃあ―――?
婀:別にいいんじゃない? 清秀もあなたの事を好きなんだから。
「そう言う問題を言っているんじゃ・・・」
―――と、璃莉霞は小さく突っ込もうとはするのでしたが・・・
ここに来て、思わぬ障害が―――
そう―――今の時期は、大半が「夏休み」の真っ最中・・・
しかも、「お盆」が近いと言う事で、「蜆亭」に詰めかけるお客も、従業している4人の板前では捌き切れなくなり、
ついには―――・・・
仲居:ち―――ちょっと女将様・・・申し訳ありません!
瀬:あら、どうしたの。
仲居:お客様が多すぎて、板長以下4人では、とても・・・
瀬:あらあら、それは困っちゃったわねえ―――(チラ)
驍:全く―――クソババア様様だな。
なぜ、話す機会が今日だったのか・・・そういうつもりでワシらを招集したのだろうが。
婀:それに―――幸いここには、当代きっての「包丁人」もいることですしなぁ。
驍:婀娜奈―――
婀:それも、2人も―――(しれ)
璃:(えっ?)2人・・・って―――
その内の1人て、もしかしなくても・・・
瀬:何言っちゃってんだか。
板前の服着込んどいて、それはないでしょうに。
なぜ、“今日”と言う日に集められたのか・・・
一つには、「事の進行上の理由」と言うのもあっただろう・・・が―――
ならばどうして―――の、「書き入れ時」に、為されなければならなかったか・・・
それと、どうして皆一様に、瀬戸の事を「クソババア」と呼んでしまうのか・・・
今、さながらにして思う・・・
まさしくの“今”、璃莉霞の胸に去来していた“それ”こそが、まさにそうだった―――からなのです。
つづく