夏季休暇中にあったイベント―――「お盆」を境に、それぞれの思惑が交錯していました。
その一つである、リリア達のクランに於いて、マスターであるジョカリーヌから、
ある“知らせ”を知らされるリリア達・・・
ジ:君達に折り入っての話しがある。
―――と、言うのも、近々運営は、彼の存在・・・『四凶』の2つを解放―――実装すると言う話だ。
リ:『四凶』・・・ジョカリーヌさんもそうだった“アレ”ですよね。
それで―――?
ジ:どう言った“存在”であるかまでは、私には知らされていない。
それと言うのも、“今”の私は、運営側ではなく、君達プレイヤーと同じだからね。
市:では・・・その事実を、ジョカリーヌ様が知っていると言うのは―――
ジ:まあ言ってみれば、これは“元”運営だった私の役得と言うべき処かな。
ただ一つ言える事は、リリアに市子、そしてプリンさんは深く関与している。
リ:―――て事は、ヴァンパイアの・・・!
ギ:オイオイ―――オレ達のいないところで、「お愉しみ」・・・って、そりゃねえぜ?w
ソ:はわわ―――あわわ―――すみません、スミマセン、
ギルバートさん、そう言うつもりで〜〜・・・
ジ:判っているよ。
それに今回は、私も参戦する―――これに異論はないね。
クランマスター・ジョカリーヌから、知らされた事・・・
それは、このお盆明けに実装が見込まれる、あの存在―――『四凶』・・・
そんな危険な存在が、2体同時に実装されるのだと言うのです。
自分達のクランの、現在のマスターであるジョカリーヌも、
元は「パーソナル・レイドボス」と言う、限定クエストのボス・キャラだった・・・
参加した全員の総力を合わせても、中々崩れる事のなかった強敵が、今回は2体同時に・・・
しかも、その内の1体が、リリア・市子・プリンが深く関与している―――と、あっては、
例の種属、ヴァンパイアが関与していた、あの事例であることに気付かされるのです。
けれど、実はその時には、ギルバートにソフィアは関与していなかった・・・
それはまた、ジョカリーヌもそうなのでしたが・・・
自分達のクラン内に、既に関わっていたメンバーがいる為、参加を表明することにしたのです。
・・・が―――
丁度その時、やはりクランの集会に参加していた蓮也は・・・
蓮:悪りぃ―――オレ今回は、そっち行けねえわ。
リ:秀・・・どうして?
蓮:なぁに、ちょっとしたヤボ用でな―――
なに、お前が心配する事じゃねえよ。
そう・・・彼のみが、今回はクランのメンバーとしてではなく、単独で動く事を表明したのです。
それに・・・彼には、一種の蟠りの様なものがあったのです。
自分は・・・このクラン内では、“弱い部類”なのではないか―――と・・・
確かに彼は、ある“きっかけ”でOUSを修得出来てはいましたが、
それは正規の手続きを踏まずに啓く事が出来ていたので、
例え解放出来ていたとはしても、本来の能力よりは劣ってしまっていたのです。
それに、この“機会”―――
多少なりと現実内では対立している間柄であっても、仮想内に於いては違う・・・
この機会を活かし、好いてもらっている幼馴染に、愛想を尽かされないようにしなくては―――・・・
その彼の“想い”を、クランマスターは知ってか知らずか・・・
ジ:判った―――けれど、ここでの話しは聞いておくようにしなさい。
もしかすると、それぞれの役に立てられるかも知れないからね。
蓮:ありがとうございます―――!
一方その頃、トウキョウのエリアマスターの居住では・・・
ヒイラギが、事の次第をクランマスターでもある玉藻前に報告をしていたのでした。
玉:ほう―――千極の・・・な。
ヒ:はい、お赦し願えますか。
玉:ふむ・・・
フフフ―――あやつも、いっぱしの男児である事よの。
よろしかろう、存分に振舞ってくるがよいぞ。
本来であれば、“天災級”の呪力を持つこの存在が、“敵”として現れた時、討伐する事すらままならず、
このエリアを何度も壊滅させられる事が出来る―――それが、玉藻前の実力でした。
けれども今はその存在も、その本来の実力の大半を封じており、
だからその姿は、女児にして、狐の耳と尾を持つ存在を象っているのです。
その玉藻前も、近々にて活躍目覚ましいヒイラギに、目を細めるのです。
玉藻前とヒイラギの関係は、今でこそ同じクランのメンバーですが、
そもそもの“きっかけ”を作ったのはリリアでした。
しかもその出会いも衝撃的であり、「青柳柊子」が「ヒイラギ」と言う、プレイヤー・キャラクターを作成した時、
仮想内での善し悪しが判らない、新規プレイヤーだったもので、
そこを悪い・・・「クライム・エネミー・プレイヤー」に騙され、暴行一歩手前の処を救ってもらった・・・
その後リリアは、彼女自身に深く関わりのある事を進行中だったため、ヒイラギのアフター・ケアを、
知り合いでもあった玉藻前に丸投げしてしまっていたのです。
けれど、それでも玉藻前は嫌な顔一つせず、ヒイラギを屈指の実力者に育てた・・・
それは、玉藻前の指導力の高さも伺えたのです。
#76;リトライ
それはそれとして―――あの続きをする為にと、また集いし彼ら・・・
「ロサンゼルス・サーバー・エリア」にある、「DIVA」のクラン部屋では・・・
バー:皆よく集まってくれた。
では、これから「カーマ討伐」の割り当てを行う。
第一PT―――カリギュラ/クルセイダー/バンディッド/クリューチ
第二PT―――レヴェッカ/秋定/蓮也/ヒイラギ
相手は強敵だが、お前達なら勝てる!呉々も油断しない事だ―――以上!
カリギュラの「因縁の宿敵」―――「カーマ」。
この存在こそは、「DIVA」の内でも1・2を争う武の練達者がベースとなっており、
彼の者の説得を試みようとしたカリギュラの目の前で、そのスキル―――「武技」を披露されたのです。
信じられない―――が、信じなければならない・・・
これから自分達が相手としなければならないのは、そのクランでは誰もが知る強者だと言う事を・・・
しかしその前に、クリアしておかなければならないのは、要塞並みの堅牢さを誇る、「監獄」・・・
“大”なり“小”なりの犯罪に手を染め、収監をされる施設―――「監獄」。
そこはすでに「ダンジョン」へと変わっていました。
それも、「難度S」の・・・
確かに難度的には、米国エリアの「南」「北」を通じての強キャラが、今回のダンジョン・ボスに指定されているのですから、
ある意味では分かろうと言うものでしたが・・・
実は、このダンジョンでエンカウントするMobも、高めであるのが特徴としてありました。
秋:蓮也―――ヒイラギ、左右に展開。
オレを中心に回転しつつ、雑魚を蹴散らすぞ!
クルセイダーの「二丁拳銃」、バンディッドの「輸送」を使っての“サポート”に、クリューチによる敵情報の収集解析・・・
それに、秋定もどこで身に着けたのか、優れた指揮統括を見せ、次々と階層をクリアしていったのです。
そして・・・ついに辿り着いた、監獄最上層―――「獄長の部屋」・・・
カー:ウッフフフ―――待ち兼ねたわよ・・・お前達。
お前達人間には、絶望を味わわせてあげる。
そして、恐怖を刻み付けてあげる・・・
そして―――積年の恨み!今ここで晴らさせてくれる!!
何か―――おかしい・・・
何か、可笑しなことを言うモノだ・・・と、ダンジョン・ボスの前に辿り着いた者達は感じていました。
確かに、今は「カーマ」と成ってはいるけれど、元は「ドゥルガー」にして、同じDIVAのメンバーのはずが、
「積年の恨み」―――??
それに、今回のバトルには、DIVAとは関係性の薄い、秋定達もいると言うのに・・・?
まるで―――“人間”と言う存在を、一緒くたに・・・
なにもかもを憎んでいるかのよう―――
そして・・・思う―――
まさか?
そんな??
クリ:まさか・・・そんな・・・?
そこにいるのは、マリアじゃないのか?!
クル:どう言う事なんだ―――クリューチ!
クリ:どうもこうも・・・
一つだけ判っているのは、あそこにいるのは、マリアの「ドゥルガー」じゃない・・・ってことさ。
蓮:はあ?どう言う事なんだ、それは・・・
クリ:うちらの、こうしたプレイヤー・キャラクターを作成する際に、最初にIDとパスワード設定したよね?
それが、マリアのとは一致しない―――て事を言っているのさ。
ヒ:ええ〜〜っと・・・言ってることがさっぱり―――
クリ:「別人」―――て言うより、最早「別モノ」て言った方が分かり易い?
それにさ、面白い事に、あそこにいる“誰かさん”には、IDが認められない・・・
つーまーり、ここにいるのは、うちらの誰もが知るワケがない・・・
更に言ってしまえば―――
天才的なハッキング能力を持っていたからこそ、判別が出来た・・・
そう、つまり―――自分達の目の前にいるのは、クランメンバーの一人でもある「ドゥルガー」だと思われていたのですが、
クリューチからの指摘により、誰であるか判らない・・・
それに、オンライン・ゲームをする上で、必須となっている「ID」と「パスワード」の存在性が、全くない・・・
つまりこの事は、同時に・・・
すると―――
レ:フン―――中々、思い当たることがない思いよったら、そう言う事じゃったか・・・
蓮:(?)どう言う事だよ、レヴェッカさん・・・
レ:のう―――お嬢ちゃん、あんたぁそっちのスキルに関しちゃ、中々ええ腕しとるが、
“こいつ”は、そういうのがのうで当然なんよ・・・
秋:むん?要領を得ん物言いだな―――
ドゥルガー奪還戦に際し、沈黙を貫き通してきたレヴェッカ・・・
その存在が、重い口を開き出した・・・と、思ったら。
やはり自分達でも解せないような事を紡ぎ始めたのです。
けれど、レヴェッカは、徐々に事態を把握しつつあった・・・
それが良く判るのが、次のこの一言に集約されていたのです。
レ:そう言う事でええんよのう―――“イレギュラー”・・・。
つづく