蓮也達「米国組」が、監獄最上層にて、“謎”なる「カーマ」と再び相見えんとしていたと同じ頃・・・
欧州でのリリア達は―――
あれからの、異端審問官達とヴァンパイア達の対立に、何か変化がなかったか―――を知るため、
またしてもPTを2つに分け、それぞれに調査・解析を行う事にしたのです。
な・の・で・す・が―――・・・
ブ:(・・・)あなた方に、お話しをすることは、ありません―――
市:そこをなんとか・・・
ブ:だってぇ!お姉サマいないんですもん〜〜!
なーのーで!最早お話しすることはありません。
お引き取りを。
市:(〜〜〜)全く・・・リリアさんがいないと判ると、態度を180度変えるんですから・・・
判りました!ではそのように、あなたの“お姉サマ”に告っときますからねッ!
ブ:ああ〜〜ら、おほほほ・・・
随分とナメた真似してくれやがるじゃありませんのッ!
市:ナメた真似は、そちらでしように゛ッ!
プ:(二人とも・・・仲好くしようよぉ〜〜)
―――とまあ、御覧のように、伝手の一つでもある「ブラダマンテ」に、こちらでの状況の推移と進展を聞こうとするものの、
以前とは違って、何とも連れない態度・・・と、言うものの、どうやらブラダマンテも、市子とプリンの2人を見かけ、
自身が敬愛して已まない“お姉サマ”も一緒に来ている―――と、思っていたら??
以前と同じようにPT分けしたそのまま・・・だったものだから、途端にヤル気がゼロとなり、こうした態度に出ていたわけなのです。
けれども、こちらとしても一歩として退けなかったのは、市子も同じ事・・・
上記の様な態度に出られて以降は、他人の様に接するブラダマンテに、つい対抗してしまっていたのです。
(この市子の接し方・・・なるほど、彼女は女子高生なのですから、そうした“スキル”も、少しばかり有用に働いているようですw)
では・・・その話題の人物―――“お姉サマ”は・・・と、言うと?
リ:ぶえぇ〜〜っくしょいッ!
あ゛〜〜なんか、悪い噂立てられてるみたいだなぁ・・・
悪い、どこまで話したっけ?
サ:それより―――いいのか?
“あいつ”絶対、あんたが見えないからって、荒れてるぜ?
リ:だろーな・・・だから市子さんに任せたんだよ。
それで?
サ:ああ―――今、あんたからの情報すり合わせると、ちょっと妙なんだ・・・
リ:・・・と、言うと―――?
サ:あんたんとこのクラマスが言う様に、「四凶」の内の2体が同時解放される・・・
これが本当なら、欧州での「因縁の宿敵」が、“誰”であるかまでは、判っちゃいないんだ。
リ:ふぅ〜〜ん・・・
サ:まあ〜〜直近では?公爵さん色々やらかしてくれちゃってるから、
公爵さんが、「因縁の宿敵」なんじゃないか―――て、噂もチラホラあってな・・・
リ:じゃあ・・・その場合、対象は、あの「殺戮神父」―――て、事になるよな。
サ:(・・・)ああ―――このままいけば・・・な。
リ:なにかまだ心当たりがあるのか?
大きなくしゃみを一発―――と、どうやら「ロンドン・サーバー」にて、自分の悪い噂が立てられているのではないか・・・と、言う事のようですが、
ではまたなぜ、こういうPT構成なのか―――と言うと、
ヴァンパイア達と太いパイプを形成できているのは、リリアだけ―――と言えば、少しは判りやすいだろうか・・・
そう、これは致し方のない事だと言えば、それまでなのですが、本音としては、どうなのでしょうねw
(この後のリリアの主張によると・・・
「ログインしてる最中、ずっとくっつかれたままじゃ、鬱陶しくて適わん・・・けど、我ながらナイスアイデーアw」とのこと)
それはそれとして、サヤはリリアからもらった情報を精査していく内に、一つの疑問点を感じてきたのでした。
それが・・・ジョカリーヌからの情報提供により、「四凶」の内の2体が同時解放されることが判った―――
そう、つまりは、自分達が倒さなければならない、強大な敵の事は判ったのですが、
けれどもその前に倒しておかなければならない「因縁の宿敵」と、“その対象者”・・・
この2つが判っていなかったのです。
ならば…と、言う事で、予測してみるのに、ここ最近で欧州の各エリアを騒がせてきた、
ヴァンパイアの「公爵」・・・その存在が、もしかしたら―――と、思ってきたのです。
けれど、サヤの口からは―――・・・
#77;意外な事実
サ:な―――んか、今回はちょっとヤバい・・・
日を増す毎にイヤな予感しかしないんだ。
リ:おいおい―――なにそれ、フラグ?
サ:どうだかな―――
だが現に、こっちも異様にピリピリとはしている・・・
これが、異端審問官の連中と、“ひと当て”ヤるって言うんなら、それはそれでアリだけれどな。
リ:・・・にしちゃ、大袈裟だよな―――
で?こっちのトップの見解は?
サ:あんのジジイが喋ると思うかぁ?
愉しんでるんだよ―――あの人は、心から「闘争」を、な。
リ:メーワクな話しだよな、それ・・・って。
下で動いてる私らは、特に・・・さ。
サ:言えてるなw
けど、あんたも同じ口の様にみえるんだけど―――?w
リ:そりゃそうだろうさ♪
こういうのって、愉しみ尽くさないと・・・ネ♪
得体の知れない違和感―――に、それに備えるかのような準備・・・
現に「ベルリン・サーバー」も、大公爵指揮の下、闘争に備えての準備に追われ、
そこはまさに「鎧袖一触」と言っていいほど、緊張の糸が張り詰められていたのです。
それにリリアも感じていたように、この闘争の準備が、
単に「ロンドン」との抗争の果てに・・・と言うなら、「過ぎる」準備だとも捉えていたのです。
―――と、そんな処に?
ヘ:おぉ〜んやあ♪
こぉ〜んな処にシケこんで、なにやってるんだい?
サ:こっ・・・公爵さん??
リ:(へっ?)うひゃああ〜〜?
ヘ:ン〜〜〜フフ〜ン♪
いい反応するじゃなあ〜い?
リ:あ・あ・あ・あのぅ〜〜どぉーもぉーw
「歩くリビドー」とも喩えられている公爵ヘレナのご登場―――
しかも、以前会って“お気に入り”にされてしまったのか、
妙にリリアに、自分の豊満な肉体を押し付けてくるのです。
リリアにしてみれば、「ロンドン」にいる“あいつ”に付き纏われるのが嫌で、(本音w)
こちらへと逃げてきたようなものなのに―――w
まさか・・・の、ブラダマンテ以上に鬱陶しい存在が出来てしまうとはw
どうにも「下手な考え休むに似たり」・・・と、言った処のようです。
サ:公爵サ〜ン、いい加減にしといてくんないと―――
リ:(むギュむギュ)くるちぃ〜〜〜!
へ:え゛〜〜いいぢゃあ〜ん、あんた達もヒマしてたんだろう?
サ:違いますよッ―――!
ちょっとこれからの事で、真面目に話し合ってたんですけど〜〜
ヘ:んぅんっ〜〜ちぇ〜っ・・・
で?何を話し合ってたんだい?
サ:なんでも、そいつからの話しでは、近い内に「四凶」の内の2体が同時に解放される・・・て、話でしてね。
その発生エリアの一つが、欧州―――ってとこまでは判ってきてるんです。
リ:(ひ〜〜助かった・・・)
けど・・・肝心の、倒すべき強敵までは判っているんですけれどね、
それまでに倒さなきゃならない「因縁の宿敵」と、その対象者が・・・
ヘ:(・・・)それって、『ソロン』のことだろ?
は・い?
リ:(・・・)ええ〜〜っ?
いつ発表があったんです??
ヘ:あっ・・・これ言っちゃイケなかったんだっけ?
サ:(“うっかり”かよ・・・おい)
で?なんで公爵さんが、そんな事知って・・・
ヘ:だって、ソロン倒さなきゃならないの―――って、私だし。
へ??
リ:え・・・でも、なんであなたが―――
ヘ:ん〜〜?
ほら・・・ここに「呪印」ついてるだろ?
サ:(うわ、またビミョーな位置に・・・てか、あんた“それ”でエロいんじゃw)
けど・・・そんなもんいつ?
へ:ん〜〜・・・良く判んないんだけど、ほら私って「ゴースト」動かしてた時あったろ?
リ:(あ・・・)あれかあ!
サ:(ヤ〜レヤレ・・・なんか、ややこしくなってきちゃってるよ〜?)
とは言え―――「これから」の行動予測を立てるのに、
今自分達が持てる情報をすり合わせて・・・としていた最中での、“乱入”だったので、
自分達の邪魔をしない様に注意を促すのですが、
ヘレナも可愛くふくれて、少しばかりの抵抗をした後、ヘレナ自身もサヤ達の話しに加わってきたのです。
ところが―――?
何と以外にも、この困ったサンが、重要な情報を持っていたことに、驚いてしまうサヤとリリア・・・
しかも、「因縁の宿敵」を迎え撃つ相手も、公爵ヘレナ自身だったようで・・・
では、なぜそう言う事が言えたのか―――
それと言うのが、諸兄は覚えているだろうか・・・
かつてリリアが、自分の「因縁の宿敵」と対峙した際、敗北の証しとして施された「屈辱の呪印」を・・・
それを、ヘレナは持っていたのです。
ならば、どう言った経緯で―――と、言う事になるのですが、その謎を紐解く鍵が、ヘレナの「ゴースト」だった・・・
ヘレナは、“ある実験”の為、オン・ラインに繋いだまま、キャラだけを動かしていた・・・
けれどそれは、所詮NPCの様な存在であり、“魂”の入っていない存在・・・
そこを狙われてしまった―――と言うなら、少しは判ろうと言うものでしたが・・・
それにしても、「ソロン」とは―――・・・
リ:て〜〜言うより、どっかで聞いたことがあるよね、「ソロン」て・・・
サ:ああ―――よく似ているよな・・・
「一つの指輪」に関する物語に出てくる「魔皇」てのに。
リ:けど・・・そいつが「四凶」じゃなくて、前座の「因縁の宿敵」・・・って―――
それじゃ、今度の「四凶」てのは、どんだけ強いんだよ。
へへへ―――ヤベエ・・・確かにヤベエな、コレ♪
だけどワクワクしてきたぜ―――
そう・・・ヘレナの「因縁の宿敵」こそ、
「ある一つの指輪」を題材にした、壮大な物語に出てくる、「魔皇」と同じ・・・か、よく似た存在―――
そんな存在ですら、「四凶」の“前座”と言って、差し支えのない・・・言わば「中ボス」的な扱いだった。
ならば、今回相手としなければならない、「四凶」なる存在は、どれだけ強いのか・・・
しかしリリアは、危機感を募らせるばかりではなく、未だ見ぬ強敵の存在に、期待を膨らませるのです。
ただ―――・・・
この存在、「ソロン」こそは、「魔皇」と讃えられて遜色なき強さを持っていた・・・
そして、強さを持っていただけではなく、ある意味では、リリア達とも深い関わりを持ってもいたのです。
そして・・・我々は、ようやく知る事と成る―――
それは、「ソロン」討伐戦に於いて、“神々”の争いと言っても、差し支えのない―――
そしてそれは、言い換えるなら、このゲームの「成り立ち」そのものにも、関わってくることでもあったのです。
つづく