現・監獄の最上層に君臨する、ダンジョン・ボス―――『カーマ』。

 

それまで、カリギュラ含む、クランの仲間達は、

そこにいるのは自分達のクラン「DIVA」のメンバーであり、エースでもある『ドゥルガー』だと思い込んでいました。

 

だから、このカーマを倒せば、いずれは・・・と、思っていたのですが―――

 

今―――この討伐戦に際し、参加をしながらも沈黙を保ってきた存在が、

まるで何かに思い当たったが如くに、その重い口を開いたのです。

 

それこそは、彼ら自身初めて聴く事柄にして、未体験の事・・・

ですが、レヴェッカにしてみれば、自分達の前に立ちはだかっている存在には、心当たりがあったようで・・・

 

 

レ:()()()()()()、ええんよのう―――“イレギュラー”

 

秋:“イレギュラー”?

 

蓮:どう言う事だよ―――おい!

 

カー:フ・ン・・・誰だ、お前は―――

 

レ:互いを知りたけりゃ、“(コレ)”しかなかろう?

 

 

“イレギュラー”・・・その場には、相応しくない者―――

 

何かが、どこかで捻じれたのか・・・この場には、いるべきではない存在が、ここに存在をしている??

それを、どうもカーマは知った上で存在し、何かを乱そうとしている・・・

それにカーマは、自身の事を看破した、未だボロ布に身を包み、杖を片手にするも宙に浮いている、

「レヴェッカ」なる存在に注意を注がざるを得なくなり、レヴェッカの挑発にも似た仕草に乗り、

臨戦態勢を取った―――次の瞬間!

 

 

カー:<残影拳・刹那>!

 

蓮:レヴェッカさーん!

ヒ:(通りすがっただけで・・・それに、どれだけ攻撃が繰り出されたかも、視えない!)

 

 

眼にも止まらぬ速さで、相手との距離を詰め、そこから何連撃を喰らわせたかも見えない・・・

けれど、レヴェッカのは取っていたボロ布は、無惨にも千の欠片と散りました・・・が、

ここでようやく、謎だったレヴェッカの全身像が見えてきたのです。

 

身の丈は、その場にいた誰よりも低く(100cm以下)、縮れた赤褐色の髪を編み込み、

顔面には、左の額上部から左眼を通過し、左の頬辺りまで達する大きな傷跡・・・

見れば、全身これ筋肉か―――と、思えるほどの引き締まった身体をしていたのです。

 

 

レ:フン・・・これで満足かあ?w

  このワシの、一張羅を破きゃげて、ただで済む思うなよ―――

  <極星十字拳>!

 

 

すると、こちらも“負けじ”―――と、技を繰り出してきたのですが、

その余りの迅い踏み込みに、誰しもがレヴェッカの姿すら捉え切れていない・・・

しかも気付けば、カーマの右半身には、技の影響とみられる十字に斬りつけられた傷痕が・・・

 

 

カー:くっ・・・この“技”―――

   お前はまさか、『拳帝神皇』!!

 

レ:大当たりよ・・・さあ、どうするんなら、“レギオン”!

 

カー:く・・・我々にも意地と言うものがあるのよ・・・こんな処で―――!

 

 

ダメージは負わせた・・・ものの、“入り”が浅かったからか、さほどのダメージではなかった・・・

それに、またしても気になる一言・・・『レギオン』―――

 

自分達は、一体何に巻き込まれているのか、一体彼女達の間に、どんな因縁が??

 

すると―――・・・

 

 

誰:・・・()だか―――

レ:おお―――さすがに対応が早いこっちゃ。

  アレ見てみい・・・

 

誰:ふむ―――・・・

 

蓮:あっ・・・ひょっとし―――なくても、ミリティアって人か?

 

ミ:そうだが・・・

  先程レヴェッカから()ばれたのね、来た・・・

 

ヒ:でも・・・いきなり現れましたよね?

 

ミ:些末なことだ、話す気すら起こらん。

 

レ:ハッw相変わらずじゃのうw

  こんないつぁの、自分が行きたい処に自由に行き来出来るんよ。

  それをワシらは、「瞬間移動(テレポーテーション)ちゅうて、どるじゃ―――

 

 

今までは、その場にいなかったのに、急に空間から湧いて出てきた・・・

こんな噴飯(ふんぱん)出来事が、実際そのきてしまったのです。

 

黒に近い紫のゴスロリ調ドレスに身を包み、いつも車椅子に身を預け、使用人(メイド)それをさせている美少女・・・ミリティア

それに、レヴェッカとは旧い知り合いらしく、程度のやり取りを交わしたあと、確認作業に入るのですが・・・

 

果たして、ミリティアが見た、カーマとは・・・

 

 

ミ:フッ―――なるほどな。

  良く知らせてくれた。

  それで、どうする?

 

レ:情報は、活きがええのが、えかろう?w

 

ミ:ほう―――それを(ナレ)・・・と?

 

レ:いいや―――ここは、“あいつ”にやらそう。

 

ミ:ふむ、妙案だな。

  なにしろ(ナレ)ではしかねん

 

レ:そう言う事よ―――ほなら、頼んだでぇ。

 

ミ:うむ・・・

  メイベル―――少し下がらせなさい。

 

 

どうも、自分達に知らせたくない事なのか・・・

その深層までは話そうとはせず―――しかし彼女達の間で、何やらの取り交わせをしたらしく、

その為の作業に移る為、ミリティアは少し後方に下がったのです。

 

それを見ていたカーマは、そのミリティアに狙いを定め―――・・・

 

 

カー:何をしようと言うのか判らないけれど・・・させるか!

   <タイガー・ジェノサイド>!

 

レ:<誘幻掌>・・・

  なにも“拳”は、傷付けるだけのもんじゃないんでぇ?

 

 

怒涛の8連撃を見舞おうとするも、なぜか明後日(あさって)方向連撃繰り出カーマ・・・

ですがしかし、それも無理らしからぬ処だったのです。

 

なぜなら・・・

「幻」を「誘」発させる“技”―――

つまりカーマは、レヴェッカから強力な「幻」を見せられていた・・・?

 

先程まで手にしていた“杖”と言い、やはりレヴェッカは、そう言う点では、「術師(キャスター)系統である、

「メイジ」か「エンチャンター」なのだろうか・・・?

 

いや―――しかし??!

 

 

ミ:《招来(コイ)

 

 

 

#78;リリア召喚?

 

 

 

リ:へっ?!

  うわわわぁ〜〜っ??!

ドサッ☆

リ:あいテテテ・・・な、なんだあ〜〜??

 

 

カーマが阻止しようとしたミリティアの作業こそ、「強制召喚」―――

そして、「強制召喚」によって、召喚(よば)れた存在が、にも―――・・・

 

 

蓮:リ―――リリアぁ?

  なんで・・・お前―――

 

リ:え??

  秀・・・じゃなかった―――蓮也?

  ・・・に―――ヒイラギ・・・秋定さんまでも??

  どこ?ここ―――

 

秋:(なにをした?あの御仁・・・)

ヒ:(“言葉”の一言で・・・)

 

 

なんと?

お互いに別の地域―――欧州の一エリアで勃発しそうになっている、異変に対処していたはずのリリアが、

ミリティアの、その「一言」により、何もない空間から“落ちて”きたのです。

 

そんな、自分達の常識にはない事をされ、戸惑いを隠せないでいる蓮也達を尻目に、

話術師(ロア・マスター)は、なる常識外なことを紡ぎ始めたのです。

 

 

ミ:「何をした」・・・ワレが強制的に召喚(よん)だのだよ、少年

  なにしろ、我々の「想定外」が起こっているのでな、解決をするには少々荒手の療法が必要―――

  そう思ったまでだ。

 

リ:あ・・・あのぉ〜〜少々ご質問しても?

 

ミ:うん?どうしたね・・・

 

リ:なんで私・・・ここに?

 

レ:それは、ワシから説明しちゃろう。

 

リ:・・・はあ?!

  し、師匠―――??

 

蓮:「師匠」・・・って、どう言う事だ?

 

リ:えっ、いや、そのう・・・

  私の武術の師匠なんだけど―――でも、どうして?

 

秋:(彼の者が、あいつの“武”の“師”であったとは!)

ヒ:(道理で・・・璃莉霞の強さは、一流の武道家から受け継がれていたというわけね。)

 

 

自分達が最大の疑問としている事を、知ったかの如くに、その説明をする「ロア・マスター」・・・

その事にも驚かされたのですが、未だ更に―――は、

その場にいたレヴェッカが、よもやリリアの武術の師であったことが、ここに来てようやく明らかにされてきたのです。

 

ですが、今重要なのは、“そこ”ではなく・・・

 

 

レ:お喋りはそこまでにしとけ―――

  ええか、リリア、おどれは“アレ”を「無力化」せぇ。

 

リ:え?“アレ”?

  ・・・アレ―――アレぇ?

 

ミ:下らんことを言っておらんで、さっさとやれ―――

 

リ:いや・・・そうは言いましても・・・恥ずかしくないんですかね?あの人・・・

  ほぼマッパじゃん―――

 

ミ:知らん。

  ヤツの事情は、ヤツでしか知らん。

  ゆえに、ワレがその事を()かしたままえるのだ。

  よいな―――

 

 

事態が、進行すれば進行するほどに、盤根錯節(ばんこんさくせつ)してくる・・・

自分達総勢8名、総がかりでも、未だその動きすら捉え切れないでいる者を―――

それも、“活かした”ままでの「捕縛」・・・

 

それに、上級者たる2人にとっては、「カーマ」こそは“イレギュラー”であり、“レギオン”だった・・・

だから、その事情を訊き出す為に、活かして捉える必要があったのです。

 

それを・・・

「また無理難題を吹っ掛けられちゃったよな〜〜」

と、当事者(リリア)そううかと―――

 

 

リ:ああ、そう言う事っすか。

  了解―――了解、っと。

 

 

ここまでの、彼らのやり取りを、邪魔するでもなく、状況を判断するために看過していた「DIVA」達は、

急に召喚(よび)され、無理難題吹っ掛けられたとしても、

それが当然であるかの如くに、承諾をした存在に、

ただ―――ただ・・・驚くばかりなのでした。

 

 

 

つづく