ジョカリーヌとソロンの直接対決を経て、ヘレナとの決着も着きそうになっていた―――と、同じ頃。
「ロサンゼルス」では・・・
急遽、ミリティアからの緊急召喚を受けたリリアは、
当時それまでに彼女自身が進行していた事態とは、また別の事態の収拾を図る様に告げられ・・・
リ:あ〜〜そう言う事ね、判りました。
了解―――っと。
クル:了解―――って、そんなの安請け合いしてるようだけど、大丈夫なのかい?
リ:えっ?「無力化」するだけなんでしょ?
別に、「倒す」わけじゃないんですよね?
ワス:そうは言うが―――どちらかと言えば、その方が・・・
リ:ああ―――まあ、あんた達から見たら、そうかもしれませんがね。
ミ:よいな、リリア―――呉々も傷つけてはならんぞ。
リ:ふぅ〜ん・・・ミリティアさんが、そんな風に“念を押す”だなんて、
結構な重要案件なんですね。
急に召喚れたからとて、別段騒ぎもせず、どちらかと言えば、自分を召喚つけた主が誰だか判ると、素直に指示に従う―――
ばかりか、いつになく「念押し」をする様に、思う処となった、リリア・・・
すると彼女は―――・・・
カリ:あっ?! あの子・・・座っちゃったぞ?
秋:あの体勢―――!
ヒ:え・・・ええ―――“あの時”と全く同じ・・・
蓮:(リリア―――お前・・・)
バジ:知っているのか?
あの・・・無防備にも見える体勢を?!
秋:あれは、決して無防備なのではない。
オレもかつて喰らった事のある、「構え」なるものなのだそうだ。
バー:「構え」・・・?
レ:ふふん―――そこの色男は、既に経験済みかぁ。
じゃがのう―――
「確かに、あの体勢こそは、日本古来からの礼儀作法の一つでもある、「正座」よ・・・」
「じゃが、その「正座」は、見ての通り無防備にして、隙だらけのようにも見える・・・」
「そこを、古武術の流派は、礼儀作法から一転さして、技へと昇華させたのよ。」
「そこの色男が喰ろうたんはのう、それでも前段階のものにすぎんのよ。」
そう、秋定はかつて現実内で、璃莉霞の「構え」からの一連の諸動作に、舌を巻いたことがありました。
それこそは、一見して無防備にして隙だらけ・・・
そこを見誤り、不用な手を出してしまい、敗北を喫してしまった・・・
けれど、彼女の師匠筋からしてみれば、その諸動作ですら、“技”の発動段階の手前―――
であったらしい・・・との証言が為されたのです。
ならば―――その体勢に隠されたモノとは・・・
カー:色々ごちゃごちゃとやってくれているようだけど―――
そろそろ片づけさせてもらう!
リ:いつでもどうぞ?
カー:なら、すぐ死ね―――!
<飛燕疾風脚>!
一人捨て置かれた状況に怒りを覚え始めたか、カーマはすぐさまの決着をつけるべく、
上空へと飛び上がり、そこから脚での二連撃を叩き込んだのです―――
が・・・
カー:ぐふあっ?!
な―――なにが一体起きたと言うの?!
リ:―――・・・。
地べたへと這いつくばっていたのは、技を仕掛けたカーマの方だった・・・?
しかしカーマ自身も、なぜ自分がそうなってしまったかを判っていないようで・・・
それに思うのには、あの技の発動から仕掛けまで、完璧は期されていた―――はず・・・
なのに?
秋定を始め、蓮也・ヒイラギは基より、カリギュラや「DIVA」のメンバー達が目にしていたものとは・・・
カーマの“脚”が、リリアに到達―――する前に、リリアがカーマの“脚”を捕え、
しかも、カーマの技の威力を殺すことなく、逆にそれを利用して、地面に「投げ」た??
レ:フフン・・・これこそが、我が「古廐薙」の技の一つ―――
「居捕り」からの“投げ”―――『捻り込み』!
秋:なに・・・?!「古廐薙」だと?
蓮:あんた・・・知ってんのか?
秋:うむ・・・
なんでもその流派は、古武術を基にした、「殺人拳」と聞くが・・・まさか?
ヒ:えっ・・・じゃ、リリアはその流派の―――
蓮:そんな・・・けど、今の―――って・・・
リ:やだなあ〜もう・・・
今回のって、殺さずに活かして捕えるんでしょう?
ミ:ふむ、ワレからの頼み、理解していたようで、なによりだ―――
そして、そこで図らずも知られてしまう、リリアの秘密・・・
そう、彼女こそは、高校生ながらに、人を殺せる武道を会得した存在なのです。
とは言え、技をいなされたとしても、カーマとしては諦めることなく・・・
カー:ふざけるなあぁ―――
<タイガー・レイド>!
リ:(・・・)その脚、封じた方がよさそうですね―――なら・・・
<古廐薙「捻り崩し」―――微塵砕き>
今―――「バチン☆」と言う、鈍い音とともに、大絶叫を上げるカーマ・・・
そう、その場にいた誰しもが、その予測に突き当たってしまっていた・・・
つまり、カーマの右脚の腱が・・・切れた―――
しかしここですかさずリリアは、その手を緩めることなく、ある意味では柔道の寝技にも似たモノを披露し・・・
リ:『肢体封じ』―――と・・・
ミリティアさん、何かするなら今ですよ。
容赦ない技の数々・・・しかも、この一連の動作を終えたところで、リリアは汗一つ―――況してや、呼吸一つ乱していない・・・
もし彼女が、“あの時”本気だったなら、自分だけではなく、周りにも凶悪な技が炸裂していたのだろう・・・
それがそうではないのは、彼女に「その気」がなかったことに外ならず、
なのだとしたら―――なぜ彼女は、「殺人拳」等と言うものを・・・
―――と、そんな彼らの心配をよそに、
事態がなぜこうなっているのかの、実況見分を行う為、ミリティアはカーマに近づき・・・
カー:くうっ・・・うう・・・わ、私に何をしようとしている!
ミ:まあ、落ち着き給え、そしてワレの瞳を見よ・・・
カー:あ・・・あア・・・ウ・ウ・・・
リ:(へっ?)な―――なにしてるんです?!
レ:あほぅ! こっちぃ向くな!こんないつのスキルに中てられるんぞ。
そこで奇妙に思えたのは、自身でも認識をしていた、その人物のスキルが、
自身が認識していたのとは、「別モノ」だと認識できたから・・・
けれど、そう・・・リリアはまだしも、ミリティアと「レイド戦」を一緒に戦った者は、皆一様にして、その認識に至っていたのです。
その強い裏付けとしては、ミリティア自身のジョブ・クラスにもありました。
そう、彼女―――ミリティアの、稀有にして唯一無二のクラス・・・
その「言葉」により、戦況―――または戦局を左右させてしまえる、『話術師』。
だからこそミリティアのスキルこそは、「言葉」か、或いは「言語」に関するものと思っていたのに・・・
今―――捕縛されたカーマに仕掛けられたのは・・・
#83;知られざる異次元の実情
ミ:汝は―――余計なことは喋らんでよい・・・
ただ―――ワレの言葉に耳を貸し、それに応答るのだ・・・
カー:ハ・・・イ―――
ミ:では―――汝はどこの出身なのだ・・・?
カー:ワタシ・・・ハ―――
「私は―――『南東の集落』出身で、そこの一住人でもあります。」
「ならば、なぜこんなところにいるのだね?」
「それは・・・ある日、“ヤツら”からの攻勢を防ぎ切れず、集落を捨てなくてはならなくなったから・・・」
「汝の事情は良く判った―――」
「・・・が、その事と、なぜこちら側に来る事となったのだね?」
「それは・・・っ―――!」
「それは・・・私が集落から逃げていた最中に、どこからともなく、不思議な術を使う者が言い寄り、」
『私に協力をすると言うのであれば、あなたを救って差し上げます』
「―――と!」
「では・・・その者の事は、覚えているかね?」
「・・・・・・判らない―――」
「誰であるか・・・判らない―――」
「けれど私は、まだ死にたくないから、その誘いに乗ってしまったんです!」
「これは、本当の事なんです!!」
「判った・・・もうよい―――『睡』」
不思議なことに、そこにいる誰しもが、彼女達二人のやり取りを、理解できていなかった・・・
それはそうでしょう―――この場のやり取りで取り交わされた言語は、彼女達独自のモノであり、
現実内に介在している、総ての国家―――地域にも、全く当てはまらなかったモノなのですから。
だとしても、この“闖入者”の証言に、思う処となった二人は・・・
レ:おい―――こいつぁ、どう言うことない。
ミ:どうもこうも―――
この者の言を「実」とするならば、憂慮すべき事態になっている事は確かなようだ。
「虚」か「実」か―――それだけを述べるのならば、「実」とするしかない・・・
何しろ、“この次元”に来るための「穴」は、既に「7000年前」に閉じているのだから。
だから“アレ”以降、“この次元”に渡ってきている、同邦の者はいない・・・
けれど、このカーマに関して言えば、何者かの手解きにより、「来てしまっている」ようだとも取れる・・・
それに、ミリティアもレヴェッカも、一番気にしたのは、カーマなる者の「出身地」・・・
“あの場所”こそは、自分達の次元を語る上で、重要な位置を占める地点。
言うなれば、『最終防衛ライン』とも呼べる、“拠点”であるとも言えるのです。
ならば・・・?
この「カーマ」なる者の証言が正しいとするならば―――・・・
それに、本来の「カーマ」の本体は、「ドゥルガー」と言う、他人の身体・・・
そこでミリティアは―――
ミ:【管理者権限】―――
少し弄らせてもらうよ・・・これでよし―――
カリ:な―――何をしたんだ?
クリ:カーマからの影響が!
それに―――・・・
バー:(あの・・・ミリティアとかいう者の、掌の上で燻っている光・・・あれこそは―――)
バジ:(あれこそは、おそらくカーマの魂・・・)
リ:あの〜〜“それ”どうするんです?
ミ:一時的にワレが預かる。
恐らく、この者の本体は、「あヤツ」が持っていようからな。
倒れ、意識が朦朧としているカーマに、自身の人差指を突き付けると、眉間の辺りで弧を描く動作―――
その後にカーマは「ガクリ」と倒れ、それと同時に、身体からは“光るもの”が抽出されたのです。
この“光るもの”を見て、他の者達は、即座にカーマの魂なのだろう・・・と、思っていたようですが、
それはどうやら本当らしく、何者かの術により籠絡されてしまっていた「ドゥルガー」は、
ここでようやく正気を取り戻し・・・
ド:う・・・うぅん―――
あ・・・れ? ここどこ―――
キャッ?!何この衣装!!
カリ:マリア―――!
ド:カイン・・・で、どうしたの?皆―――
クル:ようやく元に戻ったかい。
バン:世話焼かせやがるぜ。
クリ:大変だったむんすよ〜〜?
ド:そう・・・だったの―――
うん?
リ:立てますか・・・?
ド:えっ?ああ―――
(!)痛ッ―――!
リ:ああ〜〜やっぱ、腱と靭帯切っちゃったから、無理かぁ・・・
この中でヒーラーの方いらっしゃいます?
秋:残念ながら、一人としていないらしい。
リ:うっへ―――そりゃ悪いコトしちゃったかなあ・・・
レ:心配せんでええ―――ワシが治しちゃろう。
どれ、診せてみい・・・ムン!『癒活孔』!
ド:あっ・・・立てる―――
レ:あんまり無理すな。
今のは応急的な処置にすぎんけぇのぉw
自分が正気を戻してみれば、どうやら色々あったようで。
なぜ自分が、裸同然の装備なのか―――
なぜ腱や靭帯が切れているのか―――
自分の夫や、仲間達は判らなくはないけれど、顔も見たことのない者達は誰なのか・・・
これから色々と理解しなければならない事が、沢山あるようです―――。
つづく