長期の夏期休暇も終わりを告げ、今日からは新たな学期の始まり―――
久々に顔を合わせるクラスメイトも、夏期の休暇を有意義に過ごせていたらしく、
或いは陽に焼けたり―――、或いは新たなカップルも誕生したり―――と、中々に学生ライフを謳歌していたようです。
そんな中、璃莉霞と清秀のいるクラスに、教育の実習生としてくる者がいるらしく・・・
女生:ねえ―――ねえ―――聞いた? なんでも私達のクラスに、教育実習生来るらしいよ?
男生:そうそう―――なんでもその実習生、女性らしくてさぁ・・・
男生:へえ〜どんな女性だった?
女生:ん・もう〜〜男子ったら、実習の先生が“女”って聞いただけで―――
女生:ヤだよねえ〜〜
他の生徒達は、未だ見ぬ女性の実習生の話題に盛り上がっているようですが、唯一人璃莉霞だけは・・・
「ふぅん・・・それにしても、こんな時期に実習生―――って、珍しい事もあるもんだなあ・・・」
そう、一学期ならまだしも、半ば過ぎた二学期からつく実習生に、珍しい事があったものだ・・・と、思うのですが、
その実習生が、軽やかな足音と共に、自分達の教室の入り口を開けた時・・・
#85;新学期
あっ?!
男生:ん〜? なんだ?今の声・・・
女生:後ろの方から聞こえてきたような―――
教頭:はいはい―――皆静かに。
今日からこの学年の、社会の教科を担当し、このクラスに着くことになった・・・
禍:「神宮寺禍奈子」と申します。
皆さん、短い期間ですがよろしくね。
その女の姿を見るなり、少し大きな声の嘆声を上げてしまった生徒がいたようで、
けれどその事を気にすることなく、淡々と自分の紹介を終えた実習生こそ・・・
だからこそ璃莉霞は驚き、思わず大きな声を出してしまった・・・
しかも“うっかり”だったので、ついその人と目が合った時、気恥ずかしいやら気まずいやらで、
顔を紅潮させながら俯く始末―――だったようです。
そして―――休憩時間に・・・
璃:失礼―――します・・・。
あの、ジョカリーヌさん・・・
禍:だめだよ、征木さん。
今の私は君達を教える立場にあるんだからね。
璃:あっ、すみません・・・神宮寺先生―――
禍:うん、よろしい。
それで―――?
璃:あの・・・先生はどうして―――
禍:君達の熱心さに中てられてね、私も久々に教鞭を取りたくなったんだよ。
璃:私・・・達・・・
禍:うん―――。
それからね、お昼の休憩時間に、君と、生徒会長の細川さん、あと君の幼馴染の森野君を呼んでもらいたいんだ。
璃:え? どうしてその三人―――
禍:君達は、同じ“クラン”だろう?
璃:えっ、あっ―――それじゃ、仮想内と関係のある・・・
禍:そう言う事―――では、呉々も頼んだよ。
璃莉霞自身ですら思ってもみなかった出会い・・・
「それがまさか、本当の私達の「師」として現れてくるなんて・・・」
「仮想内では、サービスの開始より多くの理を教えてもらった・・・」
「それを、あの高説を、また今度は現実内で聞けるなんて・・・」
璃莉霞は、その事だけでも天に舞い上がる気分でした。
それに、一限目、二限目、三限目と消化していくにつれ、やはり・・・と、言いますか―――
市:り、璃莉霞さんっ―――! こ、これはどう言う事なのですか??
璃:あっ、市子さんw どうかしちゃった?
市:だっ、だって・・・ジョ・・・ジョカリーヌ・・・
璃:「ジョカリーヌさん」じゃなくて、「神宮寺先生」か「禍奈子先生」ねw
いやあ〜〜私もびっくりしちゃったんだよ。
だって突然―――
柊:ま、松元さん? あ、あの方・・・
璃:あ〜〜柊子も・・・。
あと、それから私、元の姓に戻っちゃったから。
柊:えっ??
市:「征木」・・・ですよね、それは私は知っていましたが。
柊:会長ぉ〜〜?
“例のゲーム”を通じて親しくなった者からの、質問攻勢・・・
なぜ―――自分達もあの討伐戦に参加し、倒した「レイド・ボス」が、自分達の、それも臨時とは言えど「教育実習生」となっているのか・・・
はたまたは、璃莉霞が「松元」から、元の姓である「征木」になったり―――だとか・・・
色々と変化に富んだ意義のある“夏休み”だと言えたようです。
―――とまあ、それはさておくとして、璃莉霞は禍奈子から伝えるように言われた事を、市子に伝えたのですが・・・
市:“お昼休みに”・・・ですか。
判りました、では生徒会長室を使用することに致しましょう。
柊:―――って、私は?
璃:ああ、多分そこはね、玉藻前さんから説明あるとは思うよ。
それと言うのも、私達は騒いでいるのに、朋やしのは説明を求めに来ていないでしょ?
そう―――市子や清秀は、仮想内での自分と同じクランに所属するため、伝える事は出来ているのですが、
柊子だけは別のクランに所属しているため、その説明は『妖改方』の“マスター”である、玉藻前より為されるであろうとの見解を説明したのです。
ともあれ―――お昼休みになると・・・
清:よう、来たぜ―――
それにしても、実感湧かねえよなあ・・・
璃:ああそれね、私も思ったw
市:璃莉霞さん、清秀、お静かに・・・
それで、私達『カレイド・スコープ』に、何を為せよ・・・と?
禍:うん―――取り敢えずは、主要の3人がこの学校にいてくれたことは、僥倖の極みと言えるだろう。
実は・・・『四凶』の二柱の実装なんだけれどね―――
防音設備が整った生徒会長室に集った、クラン『カレイド・スコープ』のメンバー達に、
ある意味では、ゲームの運営・開発に通じている、クラン・マスターから、特別な通達がありました。
それが、今回あった、2体の「因縁の宿敵」―――その討伐後に関わる、重大案件である、2体の『四凶』の実装時期について・・・だったのです。
目下の試練に条件を充たした―――のだから、その実装時期もそう遠くはない・・・と、思われていたのですが。
市:(え・・・)延期―――?
清:ふぅ〜ん、そうか・・・延びちまったもんは仕方がないな。
璃:けど・・・思えば、“2体同時”だもんね―――
それに、ジョカリーヌさん討った時も、「単于」から結構離れて、夏休みの最初の週だったしね。
(?)ジョカリーヌさん・・・?
禍:うん? うん―――確かにね。
メイン・サーバーにも負荷がかかる事だし・・・ね。
それに、今回の「宿敵」に関しても、私のすぐ後に・・・だったしね、
そこを考えると、今回の“延期”も妥当だったと思うよ。
「なんだろう・・・この感覚―――」
「言い難いけど、今この人は、ちょっとだけ嘘を・・・誤魔化したような表現をした―――」
「けど、疑いたくないよな・・・私の「師」でもある、この人が・・・」
「私達に対して、どうしてそんな事をするのか―――なんて・・・」
「気付かれてしまったかな―――」
「なにしろ、この子は賢い・・・それに、この子の“信友”も、私の発言内容に違和を感じている節すらあると言うのに・・・」
「けれど、こればかりは大っぴらに公表することはできない」
「『私達がどこから来た』―――などと言う事を・・・。」
「この方が―――迷っていらっしゃる?」
「多くの知を収め、広くその事を私達に知らしめるために・・・と、私は思ったのですが」
「それに・・・私は―――いえ、璃莉霞を含める私達は、この方達の事を、余りに知らなさすぎる・・・」
「もしかすると、この違和感の正体、その事自体なのかもしれませんね。」
―――けれど―――
「うん―――大丈夫だよ、ジョカリーヌさん、心配しないで。」
「例えこれから何が起きようとも・・・」
「迷ってばかりはいられない―――それに、「太母」から教わった大切なことを、この子達にも広めなければ・・・」
「私達は、あなたの事を信じるのみ―――ですよ、マスター・・・」
“考え”、そして“至る”までの経緯は様々―――でしたが、不思議と結論は同じ道を歩んでいた・・・
師とその弟子―――
教える側も教えられる側・・・
その立場は違えども、辿り着くべきところは一緒なのです。
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一転して、別の場所に於いては・・・
魔物:たっ、タ・・・たイ変で ゴざりマスるぅ〜〜!
魔族:ナニゴトカナ―――?
魔物:実ワ〜〜南東ノ集落が 攻略ヲ受けてオリますルぅ〜〜!
魔族:アソコガ・・・ソレデ―――?
魔族:一応ぅ―――マニュアル通り、住民ハ緊急避難を させマシた次第ですゥ〜〜〜はひ
魔族:ソウカ・・・ゴクロウ――――
その場所は、一見して古めかしい西欧建築の「古城」にも似た場所でありました。
そこへ、一匹の魔物―――『ゴブリン』が?
そう・・・魔物の一種である『ゴブリン』・・・その存在が、この「古城」の持ち主であり、自分達の“主”と見られる存在・・・
『熾緋色』の長髪
焔の様な『熾緋色』の眸
上背高く(推定189cm)
かなりボリュームのある胸(推定Tカップ)
ウエストは括れ
腰つきもふくよかな
女性―――・・・
その女性に、以前ミリティアたちの話題にも昇っていた、「南東の集落」の件を報告した、“魔物”ゴブリン・・・
それにしても、魔物が敬意を払う、この女性は一体・・・
そして、この「お話し」は、この謎な人物と、リリアを中心に回って行くのです。
つづく