≪五節;ある噂・・・≫
〔この度の、各方面での戦闘で勝利を収めたことを報告するため、旧ジン州城であるフィダック城に一旦集結したリリア達は・・・〕
リ:いやぁ〜―――今回は楽に勝たせてもらったわ。
セ:そうね―――それに連中、来ない援軍を頼みにしていたようだけど・・・
結局現れずじまいで私たちに勝利を提供してくれたようなものだわ。
リ:単なる噂だったんじゃないの〜?
それにさぁ、周囲(まわ)りには強兵―――てなことを触れまわっておきながら、実際にはハイネスの男連中とそう変わらなかったじゃない。
イ:・・・その噂―――どうやら本当だったようですよ。
セ:―――えっ?!
リ:ん・もぅ・・・あんたってばすぐ人の話の腰を折るようなことを・・・
イ:たった今―――入手した情報によりますと、クロスクリミナル台地にて、
おそらく・・・ラインベック―――マルトワ方面に送り込まれる 予定 ・・・だった、総勢六千ものカルマ軍の屍があったそうです。
リ:・・・その二地点―――って、私たちが戦戟の火花を散らしていたところじゃない・・・
けど―――・・・
セ:ええ――― 予定 ・・・って。
イ:ようやく目が覚めたようですね・・・そう――― 予定 は飽くまで 予定 で終了・・・
本来ならば、それぞれの地点に三千前後の増援が到着し、今ここで勝利を分かち合っているどころの話ではなかったのよ。
リ:うぅ・・・そ、それじゃ―――総勢六千もの軍勢を・・・
セ:一体誰が殲滅を―――・・・
イ:・・・まだそこまでは―――目下のところ調査中です。
リ:そ・・・それじゃ―――次回も期待できるのかもね?
イ:そう云う甘い期待はしない方がよろしいと思いますよ。
あなたたちも、もうすでに耳に入れていることとは思いますが―――西部戦線において最も戦功のある存在のことを・・・
それは―――私たちのような人間の将兵ではなく、カルマたちと同じような存在・・・ 蒼き龍の騎士 ・・・
リ:蒼き―――
セ:龍―――
イ:それにそう云った存在も、今のところはあの一体だけしか確認されてはいないと云いますし・・・
まあ―――私の方でも、ああ云った存在がこちらの方にもいてくれたなら、戦略の方も立てやすいのですが・・・
所詮はない物ねだり、自分たちの自由は自分たちで勝ち取らなければ―――・・・
〔誰しもが今回の快勝を悦びあっていた中・・・イセリアだけは冷静でした。
彼女は、タケルと同じく情報の収集や解析に優れており、云うなればそのことが彼女を名将に押し上げた一つの要因なのですが・・・
今も、たった一つの情報で、果たして歓びあって良かったのだろうか・・・と、浮かれていた二人に対して諫めの言葉を発していたものなのでした。
けれども、そうは云ってもイセリアでもある存在のことは羨ましくも思っていました。
それが西部方面にて、その存在が度々確認されていると云う 蒼竜の騎士 のこと・・・
未だ余り実態はよく知られていない―――とはしながらも、カルマと同じく異形の騎士にして彼の者達に仇なす存在のことを・・・
それを、こちらの・・・東部戦線にも出てもらいものだ―――と、していたのです。
しかし―――イセリア達は、まだある者達のことを知らなかったのです・・・。
蒼龍の騎士――― ハイランダー とは別の存在にして、もう一つのカルマに仇なす者達の系譜を・・・〕
To be continued・・・・