≪六節;Dragon Fantasy≫

 

 

〔西方の国―――ラージャでは、このゾハルの主のことを『真紅の鱗に覆われた巨大な竜』としても捉えていました。

しかしある一方の伝奇などによっては、人間のような姿を模しているとも記されており、ゾハルの主の容姿が一様ではないことを暗に物語っていたのです。

 

それにしても“鱗に覆われた”・・・とは、まるでリザードマンやゲイピアルのような有鱗亜人種のようにも捉えられていたものでしたが、

同時にゾハルの主は、数万年もの悠久の時を紡げる―――ともしていたのです。

 

ではどうしてそのようなことが云えるのか、その大きな理由としては、約七万年もの前のことが記され、語り継がれているお話し・・・

実際にあった国、 シャクラディア の興亡が綴られた<シャクラディア紀>に、ゾハルの主のことが描かれていたのですから。

 

 

それはそれとして―――そのゾハルの主からの使いの少女は、パライソ国女皇・アヱカ直筆の親書を見せるに至り、

その場にいた兵士やノブシゲの誤解を解いたのです。

 

―――が・・・〕

 

 

ノ:ところで・・・その方はいつになったら戦線にご到着されるのか―――そのことまでは聞いておりますかな。

ヱ:・・・さあ―――実は私、この先にあるベクトポリスから先に行って誤解を解いていなさい・・・って、洞主様から云われておりまして。

  それに洞主様も、これからの戦を前に禊をされたいと―――・・・ですから、まだしばらくはかの地に逗留されるとも申されていました。

 

兵:はぁ〜ん? なんだあ―――こんな小さな子を先行させといて、自分は後方でぬるま湯に浸かってるってかい。

将:ふぅむ・・・その話が本当だとすると、甚(はなは)だ怪しからん事ではあるな。

 

 

〔・・・全く持って、怪しからん奴だ―――もし私の部下がそんなことをしていたなら、私は許さずにはおかなかっただろう・・・

 

少女は、口で述べていたこととはまた裏腹なことを、思考の中で紡いでいたのでした。

 

 

ナゼ――― 一人の・・・それも使い走りの少女が、皇国の女皇陛下の親書を携えていたのか・・・

ナゼ―――援軍の将の到着よりも早く、少女がこちらに来ていなければならなかったのか・・・

 

すると少女は・・・またも彼らを試すような一言を―――〕

 

 

ヱ:そう云えば・・・私が会った洞主様は、人間の―――それも女性の姿をされておりました。

  私も、よくお婆様から ゾハルの主 としての洞主様のことを聞かされてきましたが、

  将軍さま方と同じように巨大な竜と云う化け物の姿を想像していたのです。

  ところが・・・どうやら洞主様は、気の遠くなるような長い年月をかけて、さらなる能力(チカラ)の進化を遂げたのではないでしょうか。

 

ノ:なるほど、それで人間の女にも化けれるようになった―――と・・・だからあの町が未だに平穏なのも、そう云うことだと合点が行くな。

  おお―――・・・そう云えば、かの地点では昨今、カルマの襲撃があったそうだが・・・カルマ軍が全滅したとは本当なのですかな。

 

ヱ:私は怖くてよく見ていなかったのですが・・・そう云えば、よい肩慣らしにもなる―――と、洞主様ともうお一方・・・

将:―――なんだと? ゾハルの主とはまた別に、まだ何者かが動いていると云うのか?!

 

ヱ:は、はい・・・た、確か―――その方は・・・城主と・・・

 

将:城主―――! 東方に伝わるヴァルドノフスクの主とされているあれか!!

ノ:ふぅむ・・・確かその存在も シャクラディア紀 に実在が記されている者であったな。

  すると―――なにか・・・? 大過去に存在していた帝國の双璧が・・・実(まこと)なのか?!!

 

 

〔そこでノブシゲ達はさらなる事実に驚いていました。

 

古来より―――城主と洞主は(いにしえ)の帝國の皇が擁する最強の軍隊であり、

当時の人間たちはこの二つの存在のことを 帝國の双璧 と持て囃していた時期もありました。

 

そんな伝説の戦士たちが―――それも時期を同じくして同時に動いている・・・

 

 

しかし―――ここで一つ判らないことは、なぜ少女が自身のことを騙らなければならなかったのか・・・

一つ云えたことは、少女は眸の奥に焔を揺らめかせながら、今般の事情を見極めようとしていたのです。〕

 

 

 

 

 

To be continued・・・・

 

 

 

 

 

あと