≪四節;Time limit≫
〔しかし人間であるリリアは、何も考えずにカルマ軍中に身を投じたエルムの心配をし、
彼女を救いだそうとするために、たった一人でその場に来ていたのです。
ところが・・・今更ながら申すまでもなく、たった一人の―――華奢な女性により・・・屍山血河が築かれているのを目の当たりにしたリリアは。〕
リ:(こっ―――コレ・・・あの人一人がやったことなの? 私でさえ敵わない相手を・・・あんな華奢な身体で?!)
〔詰まる所リリアは、どうしてエルムのあの華奢な身体でそこまでのことが出来るのか―――が判り得ませんでした。
しかしそれは、どうしてエルムが古(いにしえ)の帝國の軍事の片翼を担えてこれたか・・・に、通じてくるのです。
けれども戦場においては油断は禁物―――今、考え事をしてそちらに気を取られているリリアの隙を狙い、付近に倒れていたカルマ兵が・・・〕
魔:キィェエ〜〜―――! 死めえ〜!も前・・・あの女と同じなら死めえ〜〜!!
リ:(!)しまった―――・・・
〔その光景のあまりの凄まじさに、リリアは息を呑んでいました・・・
群がりくる敵をものともしないその強さ―――・・・
何かに似ている・・・そう・・・何か―――に・・・
そうだ・・・ここ最近で騒がれている、西部の「蒼龍の騎士」に東部の「ビーストライダー」・・・
その噂を聞く限りでは、双方ともカルマを向こうに回し、獅子奮迅の活躍をしているという。
けれどもリリアは、この強さはそれらとは全く異質の何かを感じ取っていたのでした。
しかし―――油断していたリリアに、敵の刃は容赦なく振りかざされたのです。
ところが・・・
敵からの刃は、ここぞと云う時に振り下ろされなかった―――
その要因の一つとして、リリアの危機を察知した存在が―――・・・〕
リ:・・・っあ―――エルムさん?
エ:おやおやおや・・・いけないことをする子だね。
こんな危なっかしぃもんで、この子の顔を傷つけた日にゃ〜お前の安っぽい魂一つじゃ済まされないよ!
魔:ギ・・・ケエェ〜〜ッ!!? お・・・も前はぁあ〜〜は―――離せ!鬼!悪魔!!
エ:ああ゛?!云うに事欠いて何云ってくれてんだい―――
こぉ〜んな花もはぢらう様な・・・かわうぅ〜いエルムちゃん掴まえて〜v
それを・・・鬼?・・・悪魔? 一辺焼き入れたろうか―――ゴル゛ぁ゛#
=禁千弐百拾壱式・八稚女=
〔先ほどまで別の場所で別の小隊を襲っていた者が、人間の危機を察知すると知れずしてカルマ兵の背後に忍び寄り、その刃を振り下ろせないようにさせたのです。
けれども―――この魔物兵は倒せて良かったのですが・・・〕
リ:(この人―――凄く強・・・)・・・ん?
エ:ちっ―――仲間をヤラれ過ぎて結構お頭(つむ)にきちゃってるようだねぇ〜。
ま・・・仕方がない、これでお終いにしたげよう―――
リ;・・・て、でも―――エルムさん・・・あれもしかしなくても・・・ギガントサイクロップスぅ?!
エ:あ〜〜でもさあ―――ああ云った種は、体力勝負で どんだけ〜♪ なやつらだしぃ・・・
リ:で―――でも・・・あんなのまで前線投入された日には・・・
エ:・・・五瞬―――そいつがタイムリミットだ・・・
さ―――かかってきな。
〔その魔物兵を八つ裂きしたことで、この襲撃は沈静化されたものだと思われていましたが・・・
ところが―――この軍に編成をされていたギガントサイクロップスの出現で、この方面の戦局に変化が訪れるのを感じるのです。
喩え知能は低くとも―――身体が巨(おお)きく力があり余る・・・そんな種族の戦地投入は、東部戦線のさらなる長期化を予測させられるのですが、
この時―――華奢なエルムが、たった一人で二ヶもの大隊を向こうに回した手段が明らかとなってきたのです。〕
リ:・・・え?ちょっと―――? たったの五瞬―――て・・・それだけで何が出来ると云うんですか??
それだけで・・・あんな―――・・・
ああ・・・!眩しい―――目の前が暗転して・・・
=瞬 獄 殺=
エ:ムハアァ〜! ワレは・・・拳を極めし者也―――総てを言葉で語らずに非ず、拳にて語れぇい!!
〔一瞬―――目の前で何が起こったか・・・さえ判りませんでした。
ただ―――その人は、自らが纏う闘気を一気に放出し、相手であるギガントサイクロップスどころがリリアでさえも目を晦まし、
まさに 瞬獄 の下に敵を滅殺した・・・それこそが、ヴァンパイアの真祖の操る 闘技<アーツ> だったのです。〕
To be continued・・・・