≪五節;意気込み≫
〔明けて翌朝―――ジュウテツを攻略するために、シェトラルプール平原に布陣したイセリア達は・・・〕
イ:お早うございます―――さて皆さん、今回は私たちの持てる総ての力を注ぎ込み、三大兵糧庫の一つであるジュウテツを攻略するのですが・・・
ここで残念なお知らせが一つ―――敵であるカルマも、むざむざと私たちに自分たちの食糧の抽出ともなっている処を取られたくないからか、
新たに増援として二人もの七魔将を送り込んできた模様です。
しかも・・・そのうちの一人は三傑―――だとか。
サ:(三傑・・・)―――するってぇと何か? そいつはフォルネウス・・・ってヤツじゃ―――
イ:さすがに・・・サヤ様はお詳しいですわね。
サ:まぁな・・・に、しても―――奴が出っ張って来た・・・ってことは、随分と厄介なことにもなりそうだ。
セ:えっ・・・サヤさん、あなたでも―――?
マ:彼奴らとは、浅からぬ因縁がありますから―――私たち・・・
サ:―――マダラ・・・
マ:よいではありませんか―――子爵様。
今や私たちは一人ではないのです、普(あまね)く同志の方々にも知ってもらわなければ―――・・・
〔そこでマダラは、ヴァンパイア一族と、三傑の一人に付きまとう因縁のある話を語りました。
それは・・・歴史の本にも収まりきれないような過去のお話―――
七万年前よりも・・・ずっと遠い、過去のお話―――
ヴァンパイアと三傑が、どう云った象(かたち)で邂逅し、永きに亘る争いの火花を散らし合ってきたか―――・・・
そこには・・・身の毛の弥立(よだ)つようなことばかりでした―――・・・
互いが互いを憎しみ合い、紡がれていく負の連鎖に・・・ついにはそのことを知ってしまったパライソの将校たちは、皆一様にして固唾を呑んだものだったのです。〕
サ:どうだい―――なまじ聞くもんじゃなかっただろ。
興味本位で知ろうとするのは構わないけど、覚悟だけは決めてからにしな―――
・・・で、ないと、お話し如きに呑まれちまうぜ。
セ:サヤさん・・・厳しいのね―――自分にも・・・他人にも・・・
サ:・・・フ―――そんないいものじゃないさ・・・
〔自分たちでさえも、この過去を語るのにかなりな覚悟がいった・・・
それは―――過去のことを知りもしない、現代を生きる人間にしてみれば、そのことを聞くだけでも拒絶反応が起こるだろう・・・
実はサヤは、そこのところの多寡を括っていました―――
けれどもいるものなのです―――大体千人に一人の割合で・・・
自分たちの・・・苦い過去を、受け止めようとする人間が―――
同情と云うものではない―――無論、憐憫と云うものでも・・・
そのことは、サヤもひしと・・・そして久しぶりに感じたものだったのです。
「私たちは一人ではない」・・・何かを心の支えとし、それを護り通していくのは苦ではないことを、
ヴァンパイアの子爵である者はまたも感じて行くこととなるのです。〕
To be continued・・・・