≪九節;異論発現≫
ビ:ふむ・・・フフフ―――いや、中々君たちはいい戦闘スキルを備えているようだ。
お陰で・・・私の内の悪い蟲も出てきそうだよ―――
ヒ:あ・あっ・・・アレを喰らって―――
ギ:無傷―――とは・・・
カ:(しくじったというのか・・・?)いや―――だが、何か手はあるはず、それに・・・こうまでになってしまった以上は――――
〔ヒヅメの、分身による前後左右の同時攻撃―――
ギャラハットの、愛剣・ロンバルディアに唱えた=呪=による一閃―――
そしてカインの、居合による一刀―――
しかし、そのどれでもビューネイの持つ得物の手甲の硬度を破壊するまでには至らなかったのです。
けれども、なぜかこんな目に遭ったとしても、ビューネイからの反撃はありませんでした。
しかも―――この後ビューネイからは耳を疑うかのようなことが次々と・・・〕
ビ:まあ―――待ちたまえ・・・私も久しく血の滾りを感じてはいるのだが、主命に背くのは畏れ多い・・・
ヒ:主命―――って、魔皇・サウロンの・・・かい。
ビ:―――サウロン? なんだそれは・・・あんな「張り子の虎」も同然な奴が私の主・・・だと?
あまりに笑えない冗談を云うものだな。
ヒ:え・・・っ―――?
ギ:今・・・なんだと―――? 自分の主君を・・・「張り子の虎」??
カ:―――まさか・・・そなたの主とは・・・
ビ:私が―――盟主であり創主と崇めるお方こそ、「死せる賢者」と呼ばれている・・・ ガラティア=ヤドランカ=イグレイシャス様―――
ヒ:ガラティア・・・? ―――でも、そんな名前、この国には・・・
ビ:現在では、便宜上―――シホ=アーキ=ガラティーナ・・・と、名乗ってはいるが・・・な。
ギ:シホ殿が―――・・・
ヒ:死せる賢者・・・ガラティア―――!?
カ:(リッチー・・・!!)
〔黒き国・・・カルマの七魔将筆頭であると目された男の口からは、耳を疑うような新事実が次々と暴かれていくのでした。
その中でも・・・
死せる賢者とは―――リッチー・・・そのリッチーこそガラティアであり、これまでに幾度となく真綿で首を絞めるようにカルマに害をなする手引きをしてきた、
タケル率いる=禽=の一羽、 鴉(からす) のシホその人であることを知らされたのです。
それに・・・そう―――ビューネイが主命を帯び、ハルナに来たというのも・・・
シホが彼らに与えた最後の使命―――それを伝えるためでもあったのです。〕
To be continued・・・・