≪七節;公爵の血の涕≫

 

キ:ぬうぅっ・・・くうっ―――!

ヒ:こっ・・・これほどまでとは―――!

 

エ:フッ・・・どうやら、あんた達を買い被っていたようだ―――

 

ヒ:なんだってっ?!

エ:だってそうじゃないか―――

  この二人が、あんなにもむきになって死に逸るあんた達を止めようとしていたから・・・どんなに歯ごたえのある連中だと思っていたら―――それが・・・

  それともぉ〜? ひょっとしてこの私がこんなにも美しくて可愛くて食べちゃいたい〜らい〜v だから・・・手加減してくれちゃったのかい―――

 

ヒ:なあっ!! なんてふざけた―――それに自意識過剰なっ!

 

エ:おや・・・違ったのかい―――それであの程度・・・?!

  ―――だとしたら、どっちがふざけてんのかね!

 

  こちとら、伊達に「帝國の双璧」―楯―の看板を掲げているんじゃないんだ。

  なのに・・・まるで子供騙しのような技の応酬はないだろう!!

 

ギ:うお゛っ―――! な…なんと云う気当たり! 全身に電流が迸るかのような・・・

ヒ:こ・・・っ―――これが・・・ヴァンパイアの公爵の実力?!

 

エ:それとも・・・なにかい―――お前たちは、相手を一撃で葬り去る技を持ち合わせていない・・・と?

  だったら・・・見せてやろうか―――本当に相手を一撃で葬る技・・・と、いうものを!

 

 

〔往時には、「月も光を失くし、花も恥じらう」・・・との喩えにも持ち出されたほど、公爵の美貌には比べるべきものがありませんでした。

 

それ故に、見た目以上にか弱い印象を受け、どちらかと云うよりはいぢめやすいタイプと云えたでしょう。

 

けれどそれは―――より強い強者を惹きつけるための好餌・・・

つまり、偽りの姿に釣られて―――手を出してきた者を、自分の有する技の数々で跪かせてしまう・・・

これが古来からの―楯―エルムのやり口だったのです。

 

 

―――とは云え、自分たちが仕掛けた技を 子供騙し で片付けられてしまった以上は、

最早ヒヅメ達の取る手はただ一つ―――〕

 

 

ヒ:ならば・・・ここは先手必勝―――!

―=殺劇舞荒脚=―

 

リ:(す・・・凄い連撃―――あのエルム様が防戦一方だわ!)

 

エ:フフ・・・おやおや―――やればできるじゃないか・・・中々いい魂の鼓動だ。

  だけどね―――・・・

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―=龍虎乱舞=―

 

=Ultimate K.O.=

 

ヒ:こ―――こんなヤツに負けるなんて・・・

エ:いよっしゃあ〜一本!

 

 

〔ヒヅメが持つ最終武闘奥義―――主に蹴り技主体で、相手に16もの連撃を叩き込む技・・・

しかし、エルムはこの技を前面で腕を交差させて凌ぎ、ヒヅメの連撃が終わりを告げる頃、反撃技の始動―――

その一撃一撃こそが魂の籠った重いものであり、ここにヒヅメはその心を挫かれてしまったのです。

 

その・・・愛娘が敗れ、地面に沈んでいく様子を目の当たりにしたギャラハットは―――〕

 

 

ギ:ヒヅメ―――・・・おのれ〜よくも・・・

  その身に受けて頂こう―――パラディンであるこのワシの剣を!

〜我が剣閃により、魔よ滅びよ〜

―=究覇猛成剣=―

 

 

〔愛する自分の娘が敗北した・・・そのことで眠る潜在意識を呼び覚ませ、剣気・闘気共に昂ぶらせるギャラハット。

そして・・・自分のためにではなく―――愛する者のために振るわれるという、聖騎士最大の奥義が、公爵エルムの身に迫ろうとしていた―――

まさにその瞬間・・・この戦いの行方を見守っていたリリアにマキは見たのです。

 

青褪めているエルムの頬を伝う―――紅い一筋の・・・〕

 

 

エ:やはり・・・そうなんだね―――

ギ:(ナニ・・・っ―――涕・・・?)

 

エ:ならばなおさら―――あんたたち二人を・・・死なせるわけにはいかないっ!!

 

リ:ああっ―――エルム様の目から・・・

マ:血・・・? 血の―――涕だ!

 

エ:はぁああっ―――!

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―=真・昇竜拳=―

 

 

〔=瞬獄=・・・刹那の間に地獄を垣間見た者は、 武 の究極を達観するという―――

 

而して、「光あれば闇ありき」の言葉通り、その技を放つその瞬間に―――闘気・・・況してや殺気などを一切消し、また再びその身体に立ち昇らせたとき、

それまでの反動を利用して放たれた技は、今までにも増して強力且つ凄まじかった・・・と、云えたでしょう。〕

 

 

リ:(す・・・凄い―――やはりこの人は強い、この人達もそんなに弱いわけではないのに・・・)

 

マ:エルムちゃ〜ん!

エ:マキちゃん―――

 

マ:ありがと―――ありがとう! この人達を救ってくれて!

エ:当り前じゃないか―――仕方がないとは云え、今まで自分たちの矜持に逆らうことをしてきたんだ。

  それだけでも十分に罪を償ってきている・・・それを―――なにも死のう・・・だ、なんてさ。

 

 

〔エルムには―――この父子の悲壮な決意が痛いほど分かっていました。

 

―――とは云え、決死の覚悟でリリアとマキの前に立ちはだかるヒヅメとギャラハット・・・

その二人の思いを思い留めさせるためには、最早マスタークラスの者がギリギリのところで抑えて対応するしかなかったのです。

 

だからこそ、二人の窮地を嗅ぎつけ・・・この父子の心情をも汲んだエルムが急遽この場に駆け付け、

悲壮な決意をしている二人の心を折ったのです。〕

 

 

 

 

 

 

To be continued・・・・

 

 

 

 

 

 

あと