≪四節;忠告≫
〔そしてここまでは、起動の準備に入った二大要塞にどう対処していくかが話し合われたのですが。
もう一つの懸念―――・・・それは、今回ヱリヤが抱いてきたこと・・・
しかも、アヱカによればそのことも構想の範疇だともしていたのです。
とは云え・・・これから述べることは、彼女たち自身にしても辛い処があったのです。
それと云うのも―――・・・〕
ア:それと・・・実は、これは最近になって判ってきたことなんだけども、
どうやら「ハーヴェリウス」と「奉竜殿」の結界が破られ、そこに安置されているはずの二つのオーブが、
今ではカルマにあるらしい・・・
このことから今後の予測を立ててみるのに、「古(いにし)えの丞相」だった私の姉に、「龍皇」と呼ばれたヱリヤの母上が、
これから幾度となく私たちの目の前に立ちはだかってくる可能性が出てくる。
そのことについて―――大公爵、何か意見があるのなら、忌憚なく述べてくれないかな。
婀:おおっ?! エルム様のマントが―――
ヱ:だ・・・大公爵―――エルムドア!
タ:(この方が・・・)
大:フッ・・・フフフ―――余の意見・・・か。
久しく述べたことなどないが・・・述べてみたところで、参考にもなりはしないのも、また事実だ。
ただ―――・・・敢えて述べさせてもらえるのなら、奴らは奴らなりの意志で動いている。
なにも洗脳されている・・・と、云う事ではない。
ヱ:あっ―――コラ、待て!!
・・・奴ら? ママーシャとマエストロのご意思で・・・?
エ:ん、もぉ〜〜お父様ったらぁ。
余計なことを云ってくれちゃってこの人を混乱させてくれるんじゃないよ―――
ア:ヤレヤレ・・・彼にも困ったものだ。
だけども不明瞭なモノよりかは幾分かいい。
敵として現れた者には、それ相応の対処で事にあたろう・・・いいね、それで。
〔ヱリヤが懸念としていたそのものこそ、過去にお世話になった方々が、今後カルマの手先として自分たちの前に現れると云うこと・・・
このことには、余程の苦渋の決断が迫られていたようなのですが、それでもアヱカは、毅然とした態度を取り続け、
もし自分たちが成し遂げようとしていることを邪魔するならば、喩え過去に恩を受けた者達でも致し方がない―――と、したのです。
それにしても、奇妙なのは大公爵エルムドアの忠告とも云える一言・・・
大概のそう云った者達は、敵からの洗礼を受け、自分たちに害を与える様にそう刷りこまれているはずなのに・・・
ならばなぜ―――「奴らは奴らなりの意志で動いている」のか・・・
そのことは―――他者は知らない・・・
知っているのは―――ある人物「龍皇」に出くわしたことのある、ヴァンパイアの一族のみ・・・
あの―――降雷の激しかった嵐の夜に・・・
彼女と彼女の父は何を見たのか・・・
今生の別れ―――とでも云いたげな、哀しみを宿した眸の奥に・・・
悲壮なまでの決意を隠して―――・・・〕
To be continued・・・・