≪八節;至極の闘争≫
〔「らしくない」・・・と、云えば、らしくありませんでした。
マエストロともあろう者が、譬えディストーション・コートを無効にされたとはいえ、ここまで自暴自棄になれるものか―――
それに―――今の大魔法の詠唱も、総ての禍から護るとさえ云われている、光の盾を行使できるタケルの存在を忘れていたとは・・・
「迂闊」・・・と、云えば、あまりにも迂闊過ぎる―――
そも・・・第一何の目的で、自分の母は自分と闘わなければならなかったのか・・・
確かに、マエストロ自身も、存在を復活させる秘術は心得ているはず・・・
なれど・・・では、そのマエストロ自身は、どうやって現世(うつしよ)に蘇る事が出来たのか―――
それは・・・ヱリヤの頭に浮かんできた、ふとした疑問でした。
ヱリヤの母であるスターシアは、マエストロの手によって現世(うつしよ)に蘇ったのには間違いない・・・
しかし・・・肝心の―――マエストロ復活の謎は、未だに解き明かされていなかったのです。
すると・・・ここで―――〕
大:ふむ・・・どうやら面白くなってきているようだな。
ヱ:な・・・だ、大公爵―――!
エ:お父様―――?!
ジ:(!!)マグラ・・・あんた―――
〔機を見計らっていたかのように、エルムのマントから変化をした大公爵エルムドア・・・
その彼が、またしても血生臭い戦場往来を果たしたのです。
その彼の、突然の往来に―――エルムにヱリヤは緊張を際立たせたのです。
それに・・・ジィルガにしても、気が気ではない様子―――
すると、それを見透かしたかのように・・・〕
大:フッ・・・そんな顔をせずとも、汝らの邪魔はせんよ―――
やりたければ好きにするがいい・・・。
だが―――それはいかんなぁ・・・
――=裏面・拾肆式;ブラック・プリズン=――
〔風の噂には聞いていた・・・大公爵の復活―――
けれど、ジィルガの一番恐れていたこととは、自分達の計略の傾向をよく知るこの男によって、
いつ・・・今回の自分達の計略の真意が露わとされるか―――この一点に限っていました。
けれど・・・大公爵は、そんな野暮な事はしない―――と、公言したばかりか、自分達の計略に手を貸してくれたのです。
しかし・・・それは――――闇の力にて、相手を縛る法・・・〕
大:今だ―――征け! ヱリヤ、エルム!!
〔得体の知れぬ闇の縛鎖によって、動きを封じられてしまうジィルガ。
そこを叩くよう促されるのですが―――ヱリヤにエルムは、今一つ状況が把握しきれていませんでした。
けれど・・・この機を逃してしまっては、今回のような好機は二度と訪れないと思ってもいたので―――・・・〕
ヱ:丞相―――お覚悟!!
――=アルド・ノヴァ=――
エ:お師様っ―――!
〜黄昏に消えるがいい〜
――=ラグナレク=――
〔それに、彼女達には迷う暇などありませんでした。
それと云うのも・・・大公爵が仕掛けた闇の呪縛は、既に解けかかっていたからなのです。
けれど一瞬・・・たった一瞬でいい―――
思いの丈を、この技に込められるのならば・・・
そして―――教え子達の渾身の技を、見事受け切ったマエストロは・・・
しかし、それでも彼女は崩れる事はありませんでした。
その眼には、まだ精気は失ってはいませんでした。
でも・・・終焉は、すぐそこまで近づいていたのです。〕
To be continued・・・・