≪四節;或る仮説≫
〔こうして、女皇が使った巧みな言葉の綾に、縛られてしまったガラティアは・・・〕
ガ:うっっ―――ぐ・・・か・・・身体の自由が・・・利かない?!
(しかもこれは―――幻ではない?!!)
ア:(・・・。)
さあ皆さん―――今こそ一丸となって、本来の力を発揮する時なのです!
そして・・・皆さん全員の力で、この勝利を勝ち取ろうではありませんか―――!
〔女皇が仕掛けた術により、行動不能に陥ってしまった死せる賢者・・・
するとこの隙に、先程のダメージから立ち直った十聖剣達が立ち上がり、今まさに女皇からの呼び掛けにより、各々が持つ聖剣にその想いを託し始めたのです。
それに―――そう・・・十本の聖剣は、創った者が述べたように「鈍(なまくら)」ではない・・・
その証明を―――今まさに、その為の力を発揮し始めたのです。
それに・・・「その為の力」とは、やはり―――〕
ガ:ううっ?! 「バインド」の力が・・・増し始めている!
フ・フ―――まさか・・・デルフィーネの理論を、この私自らが証明して見せようとは・・・皮肉なもんだねぇ。
婀:誰の・・・なんの理論とな―――
ガ:私の・・・私ら三姉妹の二番目の奴の事だよ。
ここへ辿りつく前、最後に立ちはだかっただろう―――そいつのことだよ。
そいつからなに云われたか知らないけど・・・あんた達が持ってるのは、紛れもなくあいつの快心作さね。
なぜそんな事が云えるか・・・? 自分の作品に愛情が持てない奴は、あそこでは嫌われるからねぇ―――
多分、闘う前にその九本は「鈍(なまくら)」だとか云われたんだろう。
けど―――そんな事、気にする必要なんてないのさ・・・
恐らくは、あんた達の士気を殺(そ)ごうとした騙(かた)りだからね・・・
〔「魔を討ち、邪(よこしま)を払い―――それらを悉(ことごと)く封じるモノ・・・」
よくあるファンタジーの物語にある設定のように、聖属性の付加された武器にはありがちな説明でしたが・・・
指向性のある自分達の顕現(チカラ)を注入した「神鉱」ジルコニアを、対象に向けて放った時・・・対象の反応はどのようになるのか―――
それとまた、緋刀貮漣を除く他の九本が、同時に・・・一斉解放を試みた場合、どうなるのか―――・・・
自分と同じ研究者であった次姉が唱えた理論は、得てして「魔」や「邪」限定ではありましたが、
反論(ディベート)として自分が提唱した・・・「もし対象が、自分達と同じような「神聖属性」だった場合、どうなるのか―――」と、訊ねた時、
次姉であるマエストロ・デルフィーネは・・・〕
ジ:そこまでは・・・考えた事はありませんでしたが―――
恐らくは、「所持している者の意思に反応」するでしょうね。
その為にお姉さまは、この鉱石にそれだけのモノを注いだのですから。
ですから・・・この十本、それぞれの持ち主の想いが一つとなった時―――
そこには、私達ですら予測不可能な・・・とてつもない現象を起こすやもしれません。
〔それは・・・戯れ同然に唱えてみた反論でしたが、如何せん試すと云っても試す機会に対象もなかったので、ジィルガの理論は仮説のままで終わってしまっていたのです。
けれど・・・その仮説を―――自らの身で、正しい事を実証して見せた・・・
女皇からの助言により、十人全員が一丸となって、ガラティアに自分達の思いの丈をぶつけたのです。
しかし―――実は・・・
アヱカは、この事態を収める為に、「全員の力で勝利を―――」・・・と、云っていました。
そう・・・「全員」―――・・・
それは、ここにいる十本の聖剣を携える者達の他に、自分も入っていたのです。
そして・・・もう一つ付け加えるならば・・・実は「あともう一人」、この場に参加しきれないでいる存在がいたのです。
「魔皇」の真実を知り―――・・・
実の姉の「真意」も知り・・・
女皇アヱカの内(なか)に塞ぎこんでしまった存在・・・
果たして―――この世に安寧は訪れるのでしょうか・・・〕
To be continued・・・・