≪五節;縄張り≫

 

ヒ:(ギョッ――!?)オッ・・・オイ、なんだ―――ありゃあ―――

兵:(えっ??)あっ―――あれは・・・・

 

敵:も〜・・・もしかしてぇ・・・

敵:(ゴクリ!)ああ・・・ありゃあ―――龍?だせ・・・

敵:で―――でも・・なんであんなのがここに??

 

 

〔そう・・・その存在こそ、『龍眷属』<ハイランダー>・・・。

 

すると―――いきなり、その存在が手にしているある武器を、地上に向け投擲してきたのです。

 

やがて、地上に向け、投擲されたその武器は、蒼龍の騎士の手を離れると、すぐにその先端が音速を超え、

それが地上に激突すると、間も無く・・・・辺り一面を凍結させてしまったのです。

 

 

そして―――未だ天空に残る、蒼龍の騎士が申すのには・・・・〕

 

 

龍:≪キサマ等・・・何をしている・・・。

  この辺りを、ワレの縄張りと知っての狼藉か―――・・・≫

 

ヒ:(な―――縄張り・・・・って。)

兵:ええっ―――・・・ろ、狼藉・・・??

 

敵:ひ・・・ひゃあぁ〜〜・・・

敵:ち―――ちべったい・・・・・

敵:あァ・・・・あ、足があぁ〜〜

敵:い、痛くて痺れて・・・・動かせやしねぇ!!

 

 

〔それこそは―――まさに地の底より響き渡る『死の宣告』にも似通ったものでした・・・。

 

そして、その蒼龍の騎士は、先刻投擲した、自らの武器を拾うため、目にも止まらぬ迅さで地上に降り立ったのです。〕

 

 

ヒ:(は―――速い!!?)

兵:(い・・・いつのまに??)

 

龍:≪・・・・フン――― 大地にもがく卑俗なる輩よ・・・おのれらの犯したる罪―――苦々しく噛み締めるがよい!!≫

 

敵:なっ―――なあっ??

敵:オ・・・オレ達が・・・犯した罪??

敵:な、なんだ・・・そりゃあ、一体―――・・・

 

龍:≪・・・・判らぬか―――判らぬなら、教えてやろう。

  そもそもこの辺りは、ワレがその昔、帝王より直接に下賜されたる場所・・・それを、誰の許可あって踏みにじりよるか―――!

 

  それを・・・・ワレは許すわけにはいかん、この―――フローズン・ハープーン『ヴェンティシュカ』にて、

  キサマらの存在・・・・尽(ことごと)くに滅してくれる!!≫

 

ヒ:なに―――?! ふ・・・フローズン・ハープーン?(氷の画戟・・・?)

兵:ヴ・・・ヴェンティシュカ??

 

 

〔その蒼龍の騎士は・・・しかし女形(おんながた)をしていたのですが―――その言葉の端々には、明らかに怒気が含まれており、

それが、たとえどんなに許しを請うても、消せるものではなかったようです。

 

しかも―――彼の存在が持ちたる武器、『氷の画戟』の、その銘を明かしてしまったことで、

ヒも負傷兵も、そして敵兵までも、とある伝説上の闘士を、髣髴とせざるをえなかったようです。

 

 

そして蒼龍の騎士は、先程より地面に突き立っている、自らの武器を手にし―――

その武器から醸し出される凍気で、凍傷を起こし、動けないでいる者達に対しても・・・

容赦なく裁きの鉄槌を下し始めたのです。〕

 

 

龍:ぬぅぉおおお――――!!

 

敵:――――!!

敵:――――!!

敵:――――!!

 

 

〔その・・・『氷の画戟』と呼ばれる武器は、長さ一丈九尺(5m70cm)に余り、重さも優に百斤(60kg)はあろうかという“大業物”・・・

けれども、その蒼龍の騎士は、こともなげに・・・まるで小枝を振り回すかのように、左右に薙ぎ払ったのです。

 

すると―――断末魔の声を上げるまもなく・・・自らの頸・胴体が分かたれるカ・ルマの兵士―――

おそらく・・・彼等には、今、自分の身に何が起こったかさえ、判らなかったことでしょう・・・・。

 

 

しかし、そのようなことは、全く意に介せず―――と、いったところか・・・

蒼龍の騎士は、彼等の血飛沫が、自分の身に降りかかるよりも速く移動をし―――

また新たなる屍を、築きにかかったのです。〕

 

 

ヒ:す―――すげぇ・・・・何モンなんだ?ありゃあ―――一体――――

兵:で・・・でも、私たちには、眼もくれませんでしたね・・・。

 

ヒ:あ? あぁ・・・そういやぁ―――そうだな・・・

 

 

〔ここで一つ奇妙に感じたこと―――それは、蒼龍の騎士は、カ・ルマの兵士達には、容赦はしなかったのに・・・

ヒや負傷兵には、さして興味がわかないのか、一瞥(いちべつ)すらかけなかった――――と、いうこと・・・。

 

ですが、彼の存在が、この二名を手にかけなかったのも、ある意味―――・・・・〕

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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