≪八節;婀陀那―――送還さる・・・≫
〔ついに・・・突き詰められてしまった・・・・自分が“列強”の『統治者』または『それに準ずる者』であるということを・・・。
でも婀陀那は、今、自分が頭を打って記憶が失せているという事を逆手に取り、一つ芝居を打ってみたのです。
それを見たガレスは、ヨキの手で婀陀那の口を割らせる事は不可能だと思い、また、その事を口に出したようですが・・・
それではヨキとしては、立場上非常にまづくなるので、そこからまた小一時間、同じような尋問劇が繰り広げられたのです。
ですが―――依然として記憶の戻らない者には効果がなく、杳として口を割らないでいるのですが・・・・〕
ヨ:ええいっ―――!くそっ!! これでは堂々巡りだ!!
婀:(フフン・・・ザマはない―――)
ガ:それでは・・・これよりゴモラへの移送の手続きを踏まえます、よろしいですな?
ヨ:(くそっ―――!)やむをえまい・・・・。
ところで、一つ気にはなっていたのだが・・・かの地にてこの女を尋問するヤツとは誰なのだ?
ガ:・・・・はい―――。
実は・・・我が主のワグナス様~~―――なのですが、直接担当する者は、ドズルなのです。
ヨ:・・・・ナニ?!ヤツが―――か?
(ククク・・・)そうか―――哀れなものだな・・・・
婀:(ナニ??)そ・・・それは、どういう事なのです??
ヨ:(クク―――・・・)いや、なに・・・敵ながら同情してやるよ。
なにしろ―――そのドズルというやつ・・・他人を虐め、嬲る事に快感を覚えているヤツだからな・・・。
しかも―――キサマぐらいの女ともなると・・・
ア――――ッハッハッハッハ!!そうだと分かれば、早くに送還してやったものを!!
いいか―――キサマ・・・この私を欺いていい気になっているかもしれないが、今まで私に対してやっていた事が、ヤツまでにも通用するものと思うなよ、
ヤツの・・・ドズルの責めは尋常ではないぞ・・・むしろ、今までの私のものが、まるで赤子をあやすかのように思えるほどになぁ?!!
しかも・・・ヤツは『いい女』を嬲る事は厭わないらしいからなぁ・・・。
まあ・・・その結果、キサマがヤツの肉奴隷となったところで、私の知りえたところではない、
呪うなら、せいぜい己自身を呪うことだな!!
〔この―――・・・ヨキの、意味ありげな言葉は一体?
そして・・・今までのらりくらりと追及をかわしてきた婀陀那の身に、迫りつつあるという危機とは・・・?
それはさておき――― 一方その頃・・・ここハイネス・ブルグでは・・・
そこには、自宅にて兄の帰りを待ちわびているセシルの姿が・・・。
しかし―――いつもの時間になっても帰宅せず、そこからさらに二・三時間待ってはみたのですが・・・
以前、杳として帰ってくる気配すら見えないので、やむを得ず捜索隊を組織し、
いつも釣り場としているところから、半径二十里あまりをその対象とし、聞き込みに廻ったところ・・・
その付近の住民からは、北西の方角へと向かっていくカインを見たとの報を聞き、
その時ようやくにして、セシルは実兄がカ・ルマに走った事を知る事となったのです。〕
To be continued・・・・