≪四節;追う者、追われる者・・・≫
〔そして、この盗賊が知っているという木賃宿に案内されている道中・・・!!!〕
騎:・・・・・・・。
騎:・・・・・・・。
ア:は・・・あぁっ!(あ・・・あの・・・鎧姿!!)
〜〜・・・・。(カチカチカチ・・・)
ス:うんっ?!どうか・・・しなすったかい?
ア:い・・・いいえ・・・べ、別に・・・・
〔そう・・・・その道中には、見覚えのある連中が・・・
その身には、墨より黒き「スケール・アーマー」に、
眼だけ覗いて見える黒の「兜」
そして、「黒馬」に跨(またが)った者・・・
そう、姫君の国・・・テラを滅ぼしたカルマの国の騎士が、姫君捜索の為に、既にこの地にまでその魔手を伸ばしていた・・・・そう思われたのです。
(まあ・・・それは、一つにはそうだった・・・のでしょうが・・・。)〕
騎:ふぅム・・・いかんな、どうも迷ったらしい。
騎:チッ!!・・・・ったく、薄気味わりぃクセに、迷路みたいなトコだなんてよう!!
騎:まあ、そうボヤくな、我らとしても、ここを取り込むことが出来るのなら、これは有益な話ではないか。
団:そうだ。 それに、彼の者の生死も気にかかることだし・・・な。
ここに来る道中死体がなかった・・・って事は・・・。
騎:強(あなが)ち、ここに潜んでる・・・ってこともありえるわけですかい。
―――うん?おや・・・?
騎:どうかしたか。
騎:いや・・・・あれ―――
騎:ふぅム、俺が見てこよう。
おい、そこの、どうかしたか。
ス:えっ?!あぁ・・・・いゃ・・・(何だ?こいつら・・・ここの界隈じゃあ見かけねぇな・・・)
・・・うちの連れが、ちょいそこで飲みすぎちまったもんでしてね?いま介抱してるとこでさぁね。
騎:なんだ、酔っ払いか。
震えておるとは・・・余程飲んだと見える。
ス:いいえ・・・・どういたしやして・・・。
騎:ところでお前、この―――女を見たことはないか・・・。
〔こんな町を訪問するのは初めてと見え、すっかり道に迷ったと見られるカルマの黒騎士・・・
するとそこに―――ここの住人らしき二人を視界に捕らえたのです。
しかし・・・それは―――
この者達が血眼になって探している―――テラ最後の生き残り・・・
それを、姫が最初に理解したから、何とかしてこの者達をやり過ごそうとしたのです。
けれど・・・止まらない―――震え・・・
自身が目の前で、繰り広げられた惨劇の記憶が覚め上がっていなかったからこそ、逆に黒騎士の一人から怪しまれたのです。
とは云え、ここは見ず知らずの土地―――故に協力者などはいない・・・
頼むとすれば、今まで良くしてくれたこの盗賊のみ・・・
すると盗賊は―――見るからに怪しい黒騎士たちに本当のことは話さず・・・
一緒になって酒を飲みすぎた同胞を介抱してやっているだけだ―――と、したのです。
するとその騎士、一枚の手配書を、この盗賊に見せたのです。
そこにはなんと・・・・この姫君の人相が、事細かに記されていたのです。
それを見た盗賊は・・・・〕
ス:何ですかい・・・・・この女は、なんかまた―――ひでぇコトやらかしたとでも?
騎:それをキサマ如きが知っていい事ではない。
どうなのだ、知っているのか、知らないのか・・・・。
ス:・・・―――ああ、知っているよ。
ア:(!!)
ス:この先の・・・・あの角曲がるの、見たけどねぇ・・・。
騎:そうか、済まんな。
ス:へへ・・・・いいえ、お互い様で。
騎:それと、モノのついでに一つ尋ねるのだがな。
お前、ここにギルドとか言う機関があるのを存じておるか。
ス:は? あぁ・・・・それなら、ほれ、あっちの通りを右に曲がって、その突き当りの路地の、三つ目の角を曲がりゃ目の前にあるよ。
騎:ほぅ、そうか・・・・では、邪魔したな。
おい、この近くだそうだ、すぐに向かおう。
騎:よし。
〔・・・・・どうやら脅威のほうは去ったようです。
それにしても、他人(ひと)にモノを訊ねる時の、あの横柄な態度に思うところとなった盗賊は、適当なことを話しその場をやり過ごそうとしたのですが・・・
なんと云っても、この黒騎士たちが直面している現実とは、この地理に詳しくなく迷っていると言うこと・・・
すると今度は、「ギルド」のある正確な場所を教える盗賊―――
そして、盗賊、打ち震えている姫君におもむろに近付き・・・・〕
ス:・・・姫さん、ありゃあ一体何者なんです?
ア:あ・・・・ぁぁぁ〜〜・・・・あああ〜〜―――・・・・
・・・お・・・・お父様〜・・・お母様〜・・・ガムラ〜〜・・・マサラ〜〜・・・・
ス:おいッ!ありゃあ一体なんかって聞いてんだい!!いつまでも泣いてんじゃあねぇよ!
あいつら、あんたさんの人相書き持ってなすったぜ??!
ア:あ・・・! う・・・うわあぁぁぁ―――っ!!
ス:(ち・・・っ、これじゃあいくらなんでも人目に付いちまう・・・・早目に、あそこに連れてった方がよさそうだ。)
〔興奮、動揺冷め遣らぬ姫―――
思いの他、追っ手の手が伸びるのが早いと感じた彼女は、いくら盗賊が―――ナゼ黒騎士たちが姫の人相書きを持っているのかの理由を聞こうとしても、
震えるばかりで手がかりを話そうとしない・・・いや、話せない・・・
しかも、ついには泣き出してしまう始末で、このままではやり過ごした者達が返ってこないとも限らないと考えた盗賊は、
改めて姫を自分だけが知っている「隠れ宿」・・・『左馬亭』へ向かったのです。
そして、姫君の落ち着いたころを見計らって、聞き質したところ・・・・。〕
ス:なぁ・・・・姫さん、何であんた・・・追われてたの、黙っていなすったんです?
ア:いえ・・・別に隠していたつもりは・・・。
でも、正直な話、ここに辿り着いたなら大丈夫だ・・・と、半ば安心していた気持ちも、あるにはあったのです。
ス:ふぅん・・・。
なぁ、全部話しちゃもらえねぇですかい、事と次第によっちゃあ、協力してもようござんすぜ。
ア:いえ、しかしそれでは、ステラさんに多大なるご迷惑を・・・・・
ス:姫さん・・・・・。
ア:はい・・・。
ス:ワシゃ云ったはずですぜ、「人様の厚意、受けれるときには受けとくもんだ・・・・」・・・ってね。
ア:あ、ありがとうございます。 何から何まで・・・。
じ―――実は・・・・