≪七節;慟哭≫
〔あの不逞の輩・・・バルザックを追い散らしたときには、ヱリヤの開放した能力(ちから)である“炎”は、
それを制御するモノがなかったがゆえに、家のあちこちに飛び火し、危なかしいというものではありませんでした。
けれど―――前(さき)にもヱリヤが申していたように、その家の築材には、
予(あらかじ)め“魔法の炎”にも抵抗(レジスト)しうるようなモノが組み込まれていたから、
焼失するような事はなかったのですが・・・
それが―――この度新調されたモノを着け、心置きなく能力の開放をすると・・・
すると、どうでしょう―――あれだけまとまらなかった炎が、一つのチカラとなって集約され、
彼女の・・・ヱリヤの手足の如く、自由に振るわれていたのです。
このことを、ヱリヤは絶賛したようですが、そのあとに―――思いもかけない・・・
自分の“母”と、今はこの“少女”の形(なり)をしている者が、以前はどういう関係だったか―――を聞かされたのです。
でも、それは・・・今まで見聞したことからは想像も付かない―――“反目しあう仲”・・・
しかし、一つ裏を返せば、それは互いを認め合い、信頼しきっていた証しでもあり・・・
血が流れることを嫌っていたヱリヤが、敢えて血塗られた道を歩んで行った事も、
ニルヴァーナはよく理解しえていた事だったのです・・・。
そして―――今、そのことを、ヱリヤから吐くようにして語られた内から理解したゼシカは・・・
とある処へ、ヱリヤを案内しようと決意したのです。
その、ある処とは―――・・・〕
ゼ:――――こちらです・・・
ヱ:(・・・ぅん?)・・・・・・ここは――――
ゼ:はい・・・あなた様になら、教えても構わないだろう―――そう、私自身が判断をしました。
これが・・・私の母、 ニルヴァーナ=へカテ=ヴェスティアリ の・・・
ヱ:・・・お墓―――
ゼ:はい・・・。
あなた様に来て頂き―――きっと、母も・・・
ヱ:・・・すまない――― 少し・・・一人に・・・してくれないか――――
ゼ:(あっ・・・)は、はい―――
〜〜――サ ァ ァ ・ ・ ・――〜〜
ヱ:・・・ニル―――・・・
どうして・・・どうして―――・・・お前や、丞相のような善い人ばかりが先に逝って・・・・(ずび・・)
私や―――シュターデンのような・・・ロクデナシばかりが・・・・(ほろり・・)
後世に残るのだろうなぁ―――・・・(ぼろぼろ)
私は―――(ぅぐっ)わたし―――は・・・・(ひぐッひグっ―――)うう・・・ぅぅぅ〜〜〜―――・・・
〔そこは・・・自分の古き知己が、靜かに眠る場所・・・・
その場所を目の前にし、なにやら熱いものがこみ上げてくるのが分かるヱリヤ・・・
それを覚(さと)られまいと―――・・・一人にしてくれるよう、ゼシカに云い・・・
そして―――ようやく一人になれた・・・そう感じたヱリヤは・・・
その場所で、靜かに、慟哭したのです・・・。〕
To be continued・・・・