≪九節;呼び止める声≫
〔こうして―――様々な議題が交わし合われ・・・
ですが、やはり、その話題の中心には、新しくガク州公に就任をしたアヱカがいたのでした。
そして、その日の夕刻には、全ての議題が話し終わり、やがてそれぞれの州に帰っていく州公たち・・・
その中には当然、アヱカの姿もあったようで―――
―――と、ところが・・・〕
カ:アヱカ殿、しばしのお待ちを―――
ア:はい―――あの、なにか?
カ:今日はもう陽も遅い・・・それに、あなた様は女性だ。
しかも、ここのところ世間では物騒な事ばかり―――と、いうわけで、
もう一日ばかり、この地に逗留されてはいかがでしょう。
ア:・・・お心遣いはとてもありがたいのですが。
私のところには、官も民たちも残してきております。
それを―――私だけ、ここに居残って悠々としておりましては・・・
カ:そうですか―――まあ、それも一理ありますが・・・
もし―――この夜道に、あなた様の乗る馬車が襲撃され、貴方様を損なわれてしまったなら―――・・・
ア:・・・・そう、でしたか―――
それを言われると、弱いですね・・・。
カ:いえ―――・・・それに、不肖の私としても、もう少し話し合っておきたいことがありますし、
今回開催地であるチ州のソン殿も、未だ残ってくれているのです。
ア:なんと―――それでは・・・
カ:ええ・・・それに―――
今回、アヱカ殿におかれては、議題に立てようか立てまいか・・・と、思われていることも、おありでしょうし―――
ア:――――どうして、それを。
カ:まあ・・・その点については、席を変えて話し合うことと致しましょう・・・。
〔今回為するべきことは為し終えたので、皆の待つガク州へと戻ろうとするアヱカ―――
しかし、そこを『世間が物騒になったから、夜の女性の一人歩きは危険なのでは』―――と、
今回の州公会議の議長を務めた、ジン州公のカに説得されたのです。
それに―――実際のところ、アヱカのほうでも、ある議題を州公会議に上らせても良いものなのか・・・迷っていたのです。
そのことをカより申し立てられ、その上でならば――-としたアヱカは、もう一日だけここに留まることを決意したのです。〕
To be continued・・・・