≪五節;待ちわびた存在≫
シ:――――ところで・・・何か私に話・・・だって?
ビ:・・・はい―――
実は、北東方面において展開されていた戦線に、新たな動きがあったようです。
シ:ふぅ〜ン・・・コクトー地方・・・ねぇ。
確か、いい米の産地だったか―――・・・。
そういえば〜〜―――あの子に無理矢理、お酒覚えさせたのも、今となっちゃいい思い出の一つ・・・だぁ〜ねぇ♡
ビ:(はぁぁ〜〜・・・)主上―――ガラティア様・・・
シ:おっと―――すまないよ・・・
それで―――?
ビ:(全く・・・)ここ―――暫らくは膠着状態だったのですが・・・
どうやら、四つの砦と、大兵糧庫が一つ―――陥落(お)ちたようです。
シ:ほほう―――どうしてそういえる。
ビ:(フ・・・)最後まで、クー・ナの将が立て篭もっていたビャクテイより・・・
その二将率いる隊が、本国であるクー・ナではなく・・・ハイネス・ブルグのタワラメントへと落ち延びていく様を―――
不肖、この私めが視認を致しました。
シ:(フムフム)それは重畳―――。
ところで―――・・・新たにこちら側に加わった、“カイン”・・・ってのは、どうなんだい。
ビ:(フ・・・フフフ)これは参りましたなぁ―――
確か、その者に関しては、未だご報告申し上げていない・・・はずですのに。
シ:(ふふん〜♪)イケナイ事だよぉ〜? 主人である、この私に隠し事をするなんてねぇ。
ビ:いえ・・・主上は何かとお忙しい方でいらっしゃいますので・・・。
この程度の事は、私のほうで処理しようと思ったまでの事。
―――そのカインと申す者・・・どうやら 我等の味方 ・・・の、ようです。
〔それから引き続いて―――従者が主に報告をするのですが・・・
この・・・ガルバディア一の穀物の生産を誇るクー・ナ方面の事を聞くに及び、
往時の事を懐かしむシホがいたのです。
それはそれとして―――
このとき、ビューネイは、クー・ナの『イナバ』『ホウキ』『サヌキ』『ビャクテイ』の四砦と、
『チンソー』という大兵糧庫の一つをカ・ルマのものとした・・・
ここまでを報告するにとどめておこうと思っていたのです。
そう―――そこでは、あの“カイン”の事は伏せておこう・・・と、思っていた・・・
けれども、やはりこのお方は識っていた・・・。
そう―――自らの盟主であり、“識る”と、いうことを求めて已(や)まない、『死せる賢者』であるこの方は・・・
では、なぜビューネイは、わざとこの報告を怠ろうとしていたのでしょうか。
それは、彼の言の如く―――“自分の主は忙しい”から・・・。
では、どう“忙しい”のでしょうか・・・〕
シ:ほぉう―――“私らの味方”かい。
こいつは、一度直接に会って見ないといけないようだねぇ〜♪
ビ:――――それはいづれ・・・。
その前に、“あの者”は、どうしておりますので?
シ:(フフン―――)実にいい質問だ・・・。
それじゃあ、これからご対面といこうじゃないか。(ニヤリ)
〔今の・・・彼らの会話、気になりませんでしたでしょうか―――
そう、シホとビューネイの二人とも、カインの事を『我等の味方』だといっていたことに・・・。
ですが、祖国であるハイネス・ブルグから、わざわざカ・ルマに走ったのだから、
カインはカ・ルマの味方なのでは?!
では・・・カインのあのときの科白―――
降将・ギャラハットを前にして、その胸中をさらけ出した『私とともに、獅子身中の蟲とならないか』・・・
これを思い出していただきたいのです。
つまり―――カインも、彼に屈せられたギャラハットも、
体面上では、カ・ルマに組みしているものの、その深い処では、少なからずの抵抗をしようとしている・・・
そのことに、シホとビューネイは『我等の味方』だといっていたのです。
それともう一つ―――ビューネイがいっていた“あの者”・・・シホのいっていた“これからご対面”・・・。
そして―――
あれから―――
目立って出てこない
カ・ルマ総帥
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彼らは――― 一体・・・何をなしていたのでしょうか・・・。〕
To be continued・・・・