≪九節;油断のならぬ存在≫
〔それはそれとして―――今回の論点はそこではなく、これからの作戦について・・・なのです。〕
シ:ところで―――早速なんだが、あんたたちにはガルバディア一の『穀倉地帯』を攻略してもらう事とするよ。
ヒ:(えっ―――・・・)ちょ・・・ちょっと待って?
シホさん―――アタイたち・・・アタイとお養父さんの出身が、どこだか判ってそんなこと―――・・・
シ:ダァ〜〜メっ!!
ヒ:(えっ??)ダ―――ダメ??
シ:ちゃん! シホ“ちゃん”・・・って呼んでくれないと、お願い聞いてあ〜げない。(ぷいっ)
ヒ:え゛っ・・・・(なんぢゃそらぁ〜〜)
ギ:――――なんと??
カ:ほほう〜・・・
ヒ:ちょ―――ちょっとぉ?? な・・・なんなんデスかっ―――!“ちゃん”ってっ!!
大体あんたっ・・・て――――(ぐぃ)
(え・・・?)カ、カイン――さん??
カ:・・・本当に、そう呼んでよろしいのかな。
シ:ああ〜〜そう呼んでくれて構やしないよ、中々―――物分りがいいようじゃあないか、カイン殿。
カ:あっははは―――・・・いや、なに、機転は昔から利くほうでね。
じゃあ―――私たちのほうも“ちゃん”付けで読んでもらわんといかんかねぇ。
ところで・・・本来の目的のほうを話していただこうかな、シホ ちゃん 。
ヒ:ちょ―――ちょっと、カインさんまで・・・
い、いやだよ、アタイ・・・こんな歳になっても、まだ“ちゃん”と呼ばれるの―――って。
ギ:ヒヅメ―――
ヒ:(えっ??)お―――お養父さん??
シ:(フ・・・フフフ―――)中々・・・目のつけどころが違うねぇ、カイン殿・・・
それに―――どうやらあんたたち三人は、本当に真から信用していい存在のようだ・・・
ヒ:(えっ?? この―――女(ひと)・・・わざとおどけるようなマネを??)
ギ:(・・・やはり―――そのふざけた言動のウラには、何か含むところがあった・・・と、いうことか。)
カ:――――――・・・・・・・。
シ:それはまぁ〜〜いいとして・・・これからの作戦を話すとするよ。
まづ―――必要な兵力だが、それは前(さき)にカイン殿が傘下に加えた5万もの数で十分だろう・・・
だが、必要な物資は、こちらからは一切提供しない―――いいね。
ヒ:え・・・・どうして?! 物資なしで、どうやってクー・ナを攻略しろと・・・
シ:んん〜〜? あるぢゃないか―――おあつらえ向きなのが・・・あと“二つ”―――
ギ:(二つ・・・)もしかして、『ヨウテイ』と『ジュウテツ』の事なのでは―――
シ:・・・・・・。(ニヤリ)
ヒ:そっ・・・そんな―――
その二つ・・・って、先月獲られたばかりの『チンソー』と並ぶ、クー・ナの生命線なんだよ?!
シ:そ―――そういうこと〜♡
つまり、そこを奪ることが出来たなら、あとはナニをしようが構わない。
<クー・ナへの補給を全面的に断って>も、構わないしぃ〜♡<そこで軍を解散>しても構わない・・・
カ:(この御仁・・・すでに私のしようとせんことを見抜いている??)
ギ:・・・つまり、それは次の指令まで、そこで待て―――と?
シ:・・・ま、そう捉えてくれても、一向に構やしないよ。
それじゃ―――後はよろしく頼んだよ。
〔その人物は―――少しおどけながらも、どこか気の抜けない存在でした。
見るからに成長した大人の女性・・・のようにも見えるのに、自分の事を“ちゃん”と呼ばせるなど―――
しかし、その反面・・・カインがこれからクー・ナ攻略の際に・・・と、暖めていた深遠の謀略をすでに見抜いていたり―――
だから・・・なのでしょうか、その女性―――シホ某がその部屋を去った後でも・・・〕
ヒ:な―――なんなんだよ! あのふざけた態度〜〜!
ギ:(・・・・ぅん?)カイン殿―――いかがなされた。
カ:・・・あの御仁―――なかなかに切レ者のようだ・・・油断がならない。
ギ:――――なんと?!!
カ:まァ―――それについては、ここで話すようなことではないから、かの二つの大兵糧庫を攻略しながらでも、話すこととしときましょう。
〔カインの頭の中で描いていた壮大な謀略とは―――・・・
そして、それをいとも簡単に見抜き、敢えてその方面の攻略を任せようとしていた“一枚上手”な者の魂胆とは・・・〕
そして―――・・・
これからの・・・
この世界の行く末は―――・・・
一気に 闇 が支配する方向へと
向かっていくのでしょうか
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To be continued・・・・