≪五節;擁護する言葉≫
〔そして―――以上の事を、今は王都・ウェオブリに在駐するガク州公・アヱカに、
奏上するべくタケルは、以前母国で飼っていた愛馬スルスミの背に跨(またが)り、
その戦場から王都まで、一日と経ることなく到着したのです。〕
タ:ただいま―――戻りました。
ア:ああ―――タケル、それで・・・どうだっただろう。
タ:はい―――今回も境界は護られたようにございます。
ア:そうか―――それは良かった・・・。
タ:ですが―――ただ一つ・・・
ア:うん―――?なんだろう・・・
タ:主上におかれましては、『蒼龍の騎士』の事について何かご存知ありませんか。
ア:(・・・・・・・。)
蒼龍の―――騎士? 初めて聞く名だな・・・それがどうかしたのだろうか?
タ:・・・どうやら―――その存在が、キリエ殿とヒ殿との前に現れ、
彼らの間に亀裂を生じさせてしまったようで・・・
ア:(ふぅ・・・)そうか―――
タ:・・・以上で―――?
ア:ぅん? ナニが―――?
タ:・・・いえ―――
ワシがキリエ殿にそのことをお訊きしました時、なぜか彼女が――――・・・
ア:・・・・私に報告をするな―――そう云っていたか・・・。
それは判った、気の毒をした―――そう言っておいてくれないか・・・。
タ:・・・本当にそれだけでよろしいのでしょうか―――
ア:・・・いい―――
今のところ、とりあえずは、それだけでいい―――・・・
〔タケルは、有り体のまま、ガク州公であるアヱカに今回の戦の評定を申し述べました。
そして―――あのこと・・・
突如として現れたであろう不確定の存在―――『蒼龍の騎士』・・・
その存在の事を、アヱカは知っているか―――と、訊いたのですが・・・
なぜかその時の言い回しが気になるものには間違いはなく―――
つまり・・・それが―――遠巻きではありながらも、アヱカがその存在を“知っている”ことを暗示していたのです。〕
To be continued・・・・