≪五節;“雪”が掴んでいた『極秘事項』≫

 

 

〔彼女たちが亡命した理由―――それは、ことある毎に女性が優位、男性は愚劣である事を、広言憚(はばか)らなかったのを、

ハイネス・ブルグの官僚たちは疎ましがり、彼女たちが失策したのをよいことに戦地へと飛ばした・・・

そこから色々とストレスがたまるようなことが起こり、結果―――我慢の限界に着た彼女たちは、

彼女たちの気持ちがよくわかる“同志”とともに、ハイネスと近接しているフ国に亡命していたのです。

 

そこで彼女たちが身を置いたのは、フ国の中でも一番に安定性を誇っているジン州・・・

そこでの会話だったのです。

 

 

そして―――“雪”の宿将イセリアは・・・〕

 

 

イ:それに―――これは単なる“噂”ではあるのですが・・・

 

  私たちが防衛線を行った地から、かなり近くにあるカ・ルマの砦―――ゴモラにて、

  そこの守将が斬殺された・・・。

 

リ:ああ―――その噂なら、私もセシルも耳にしたけど・・・単なる内輪もめじゃあないの?

 

イ:・・・・そう―――ね・・・これがリリアのいうように、“単なる内輪もめ”程度ならば、

  何も私の気にするところではないの・・・

 

セ:それじゃあ―――

 

イ:そう・・・この“噂”には、まだ続きがあるのよ―――

 

 

〔イセリアは―――今回のヴェルノアの出兵騒ぎよりも、寧ろすぐ近くで起きた、敵側の砦での“単なる内輪もめ”の方が気になっていたのです。

 

そう・・・その砦の守将と見られる者と、その部下たる副将が・・・互いを斬り殺すという、全く不可解な事件―――

あの ゴモラ での出来事の事を―――・・・

 

それに、彼女はまだも続けたのです、その“事件”と―――今回の“騒動”の意外なる接点を・・・・〕

 

 

イ:・・・・実は――――その砦には、『夜ノ街』のギルドの関係者が捕らえられていたらしいのよ・・・。

 

リ:ええっ―――?『夜ノ街』・・・って、盗賊やならず者たちが、一つの町を統括している――――って云う・・・あの??

セ:でも・・・それにしてはおかしな話しよね・・・

 

リ:――――そうか・・・一つの町の組織の関係者とはいえ・・・

セ:ええ―――あの黒い噂しか立たない処が、その関係者を捕らえて何をしていたか・・・

 

リ:それに―――そこの守将が殺された・・・っていうのも、そこで何かの利権が絡んで・・・・

 

イ:そこで―――どうやらその件の“関係者”、伝説上のある方の所在を知っているのでは・・・だとか。

 

リ:えええっ――――??? そ・・・その“伝説上の”〜〜・・・って――――

セ:まさか―――・・・“古えの皇”・女禍の??!

 

イ:そう―――・・・と、そこまでは私が100%確信を持てる筋から仕入れてきた情報です。

  ですが・・・たった一つ、私でも不可解なことが―――

 

セ:“不可解な”―――?? イセリア・・・あなたでも??

 

イ:ええ―――・・・その、たった一つの不可解なモノとは、

  その守将が斬殺されたその後―――例の“関係者”の行方がわからなくなっている・・・と、言うこと。

 

リ:・・・・でも―――それは、守将が斬られたとき一緒に・・・

 

イ:・・・・これは・・・余りそうだとは考えたくはないのですが・・・・

 

  カ・ルマの砦の“斬殺された守将”―――そのあとでの“ヴェルノアの軍事行動”・・・

  この二つには、何かしら密接な関係があるのではないか・・・・と――――

 

リ:ちょ――――ちょっと待って??!イセリア!!

  あなた・・・急にナニを言い出したりするの?!

 

セ:そうよ―――それに、それこそ推移の飛躍のし過ぎというべきものだわ??!

 

イ:そう―――そう・・・・ね、ごめんなさい・・・・。

(でも―――私には・・・)

 

 

〔イセリアが握っていた重要な情報――――その始まりとして、まづは・・・・

かの砦―――ゴモラに囚われているギルドの関係者が、以前よりカ・ルマが血眼になって探している存在・・・

『女禍の魂の持ち主』―――であるという・・・現・フ国ガク州公のアヱカの所在を知っているのではないか・・・とされ、

その砦の内部に監禁をされていた――――

 

そこで、何かしらの・・・カ・ルマの内部での利権に絡む事態が発生し、そこの守将が殺害されたのではないか・・・

―――と、いうのが、イセリアの見解だったのです。

 

 

しかし・・・そんな彼女をしてでも、一つだけ不可解なこと・・・

それは―――その“関係者”なる者が、ゴモラの守将・ドズル殺害のあと、行方が霞が掛かったかのように判らなくなってしまっていた・・・・

そこで、イセリアはある仮説を立ててみることとしたのです。

そう・・・“遠からずとも近からず”という、ある仮説を――――

 

それこそが、例の“関係者”なる者が、実は今回のヴェルノアの軍事行動に深く関与している“あの方”なのでは―――

と、したのですが・・・

やはりそれ以前に、“あの方”の真偽を確かめに某国へと渡ったリリアは、危うく恥を掻かされそうになった事もあり、

『そんなことはない―――』と、猛反発をしたのです。

 

それにはイセリアの方も、不確かな条件での発言に、速やかなる謝意を表わせたのですが――――・・・

 

 

―――彼女の手許にある、たった一つの報告書・・・

 

〜〜――亜麻色の髪をなびかせた白銀の騎士が――〜〜、

〜〜――白馬を駆りて、夜半、フ国国境を南下中――〜〜

 

 

実は・・・このことこそが、今のイセリアの胸の奥に痞(つか)えていた、たった一つの事だったのです。〕

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

To be continued・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あと